高齢者や女子、若者などの貧困には「2つの共通項」がある

マネー

citrus 中川寛子

高齢者や女子、若者などの貧困には「2つの共通項」がある

 

このところ、貧困問題に関する本が目につく。関心があり、何冊か読んでいるが(そしてまだ何冊も積まれているが)、年代、性別、家族構成に関わらず、すべての貧困には共通項があることが分かる。

 

ひとつは人間関係。経済的に同じくらいだとしたら、人間関係があるケースとそうでないケースでは問題の様相が変わってくる。少し前に読んだ「最貧困女子」ではプア充女子と貧困女子という比較をしていたが、それも人間関係が左右する差異だった。 

 

もうひとつ、自分の商売に近いところでああ、そうだと思うのが貧困と住まいという問題だ。これは高齢者に限らず、である。家賃、住宅費負担が重すぎるのだ。

 

このところ、ずっと収入の3分の1までが適正という言われ方をしていて、なんとなく、それが当たり前というように思っていたが、8月頭に高知であったシンポジウムで大分大学の川田さんが、その常識というやつ自体がつい最近のものであることを教えてくれた。

 

それによると、単身者の家計に占める住宅費負担の割合は1969年時点で数%。ところが、2009年には2~3割にまでなっている。ここ50年ほどの間に大幅に上昇しているのである。

 

家賃自体はバブル期以降、一部の地域を除き、ものすごく緩やかに下がってはいるが、それ以上に収入が大幅に下がっているので、収入に対する割合が大幅に拡大、大きな負担になっているのである。そして、日本には公営住宅が足りていない。

 

高齢者のみならず、若者の自立や少子化などを考えると、ここは再考すべき部分が多々あるのではないかと思うが、今のところ、そうした動きはほぼない。

 

自己責任でなんとかできる人はまだしも、それが難しい人達を救い上げることで、以降にかかる負担を減らすことができると考えると、住宅費が軽減されるだけで、世の中はずいぶん変わるんだろうと思うのだが。

 

下流老人 一億総老後崩壊の衝撃(朝日新書)(藤田孝典著、朝日新聞出版)

 

最貧困女子(幻冬舎新書)(鈴木大介著、幻冬舎)

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中川寛子

住まいと街の解説者。東京生まれの東京育ち。中高の頃は自転車で、現在は徒歩で首都圏を隈なく歩き回る不動産オタク。子どもの頃から歯を磨くより作文を書く方が楽と言い切り、現在もヒマがあると何か書いているか、読んでいる。おかげさまで原稿書きで細々と生計を立てている。所属学会/日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会

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