なぜ日本人は、コストコの駐車場でもクルマをバックで入れるのか?

ライフスタイル

 

■欧米では「前入れバック出し」が普通だが…

 

海外に行って気づいた人も少なくないと思うが、アメリカではハワイでもニューヨークでも、クルマは頭から突っ込んで停めるのが普通だ。ヨーロッパも同様。日本と気質が似ている?といわれるドイツでも駐車方法の指示がない限り、前から入れてバックで退出する。筆者は20年以上前からアメリカには仕事や旅行で毎年3-4週間滞在するが、巨大なスーパーの駐車場の車たちはほぼすべて前入れで停められている。前から停めやすいよう、斜めに区切られた駐車枠も多い。「バックから停めていると日本人観光客だとわかるので、車上荒らしや強盗に遭いやすい」などと言われたこともある。

 

アメリカのショッピングセンターの駐車場。ほぼ100%頭からクルマを駐車している

 

■日本の中のアメリカ。コストコでは「前入れ」をルール化すべし!

 

コストコは日本の中の小さなアメリカである。買い物客のほとんどは車で出かけて、車室も通路も広くとられた無料の駐車場に停める。そして買い物が終わればアメリカと同じ巨大なカートに大量の買い物品を入れて駐車場へ向かい、トランクやバックドアをあけて荷物を積み込む。駐車枠はほとんどの店で2列になっているわけだが、この場合、前向き駐車~つまり、2台が頭と頭を突き合わせている状態が圧倒的に便利だ。それなのに、いまだに「バック入れ前出し」の車が大変多い。

 

日本のコストコの駐車場。これだけ接近しているとリアハッチが開けられない…

隣の車にぶつけないかと気にしながら巨大なカートを押して後ろに回り、トランクやバックドアを、これまた背後の車に当たらないかと気を付けながら開くのである。欧米で普通の「前入れ」なら、何の苦も無く大胆にバックドアを開けてガンガン荷物を積み込めるのに……。また、「バック入れ前出し」の車の中には、後ろの車との距離が近すぎてバックドアが開かず、わざわざ1メートルくらい前に出して荷物を積んでいる車もいる……、スライドドアから器用に荷物を積み込んでいる車もある。最初から「前入れ」にしておけばそんな手間も不要なのに。大きなカートが他の車にぶつからないか?見ていてハラハラする。

 

コストコによく行く友人に聞いてみたら、やはり彼女もバック入れ駐車をしているそう。私が、「頭から入れたほうがコストコでは便利だよ!」と教えたら、「そういえばそうね~考えたこともなかった!」とたいそう喜んで?くれた。彼女も今はもちろん、頭から停めて、コス友にも熱心に「前入れ」布教活動をしているそう。コストコでは前入れ駐車に統一して欲しいくらいだ。

 

 

■日本人がついバック入れ駐車をしてしまう理由は?

 

コストコの駐車場はかなり余裕のあるつくり。これならば頭から入れても問題ないはずだが…

日本人の気質というか、行儀の良さということはもちろんあるだろう。隣の車との距離を均一に確保するには、バック入れの方が停めやすい。少し曲がったり、枠の左右の線に対して等間隔じゃなかったりというだけで、停めなおす車も珍しくない。見た目を綺麗に、という理由もあるだろうが、隣にどんな車が来ても駐車枠のど真ん中に駐車していれば、文句を言われることもないだろうし、ドアをぶつけたりぶつけられたりの危険も少なくなる……。日本のドライバーはそれほど几帳面(?)なのだ。また、なんせ日本の駐車場は枠も通路も狭い。最初に面倒な思いをしても出すときにスッと出る方が楽と考えるのだろう。実際、狭いスペースに綺麗に停めようとするならばバックからの方が停めやすい(実際は停めるときに手間と時間をかけ過ぎると駐車場渋滞を引き起こす原因になることも多々あるのだが)。

 

 

■海外の駐車場では珍しい「アレ」が日本の駐車場では普通?

 

今回、記事を書くにあたって改めていろいろな国の駐車場の写真を見ていて気付いたことがある。日本の駐車場には欧米ではあまり見かけないものがほぼ、どこの駐車場にもある。そう!それは「車止め」である。

 

日本特有の「車止め」。車高の低いクルマだとリップスポイラーを擦る危険性がある

車止めは何のためにあるのか?それは、クルマをバックさせたときこれ以上後ろに行かないように車を止めるためにある。つまり、この車止めこそが「バック入れ」を推奨(?)する無言の圧力的存在なのである。

 

また、車止めがある駐車枠に頭から入れる場合、車高の低い車はリップスポイラーやアンダーガードをぶつける危険性がある。実際筆者も、その昔、車高の低い車で頭入れ駐車をした際、数回、スポイラーをぶつけた経験がある……(恥)。今乗っているアルファスパイダーでは前から入れて、車止めにアンダーガードをぶつけて破損させたこともある……(恥)。

 

 

■「斜め入れ」駐車枠なら、迷わず突っ込もう!

 

女性客が多いショッピングモールやデパートの駐車場の中には近年、斜めに区画した駐車枠を用意するところも少なくない。斜めの駐車枠なら、進行方向に向かって少しハンドルを切るだけでそのままスッと前向きで入りやすい。また、退出する場合も斜めの状態から出れば、広いスペースも必要としない。横浜タカシマヤの駐車場にも「前止め」しやすい斜めの区画が6階と7階にそれぞれ4台ずつあるが、駐車場が空いている平日の午後でも、ここは駐車が苦手な横浜マダムのメルセデスやアルファード、ボルボなどでほぼ埋まっている。

 

結論を言えば、前でも後ろでもどちらでもいいのだが、周囲の状況や混雑具合をみて判断するのが賢明と言えるだろう。とにかくきっちりと、時間をかけて左右の白線との距離を等間隔に綺麗に停めないと気が済まない人は、これまで通りバック入れでいいと思う。車高の低い車もバック駐車が安心だ。しかし、後ろが詰まっているような混んだ駐車場なら、車の流れを考えて多少曲がっても取り合えず前から突っ込むのが◎。細かい調整は停めてからでもできる。またコストコのように車止めがなく、大きなカートから荷物を積みこむ場所なら前入れがマスト。そのためにコストコの駐車場はアメリカ同様、通路も車室も広く設計されているのだから。

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加藤久美子

加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌...

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