玉山鉄二×佐々木希も衝撃的な展開に「ヤバイですよ…」 “セックス依存症”を題材に描く、新婚夫婦の愛のカタチ

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橋本達典

 

 

現在配信中のHuluオリジナル連続ドラマ『雨が降ると君は優しい』。第1話、第2話を配信した時点で、そのあまりに衝撃的な展開が、ネットを中心に話題沸騰中だ。

 

主人公は、妻の「セックス依存症」という病気を知り、筆舌に尽くし難い苦悩と向き合う立木信夫(玉山鉄二)。そして優しい夫の愛情を一身に感じながら、“まぶしく晴れた日”には抵抗しがたい衝動から不特定多数の男性と肉体関係を持ってしまう彩(佐々木希)の“悲劇的純愛”を描く物語。意を決してカウンセリングに通い、信夫には内緒のまま、なんとか自身の障害を克服しようとする彩だが、彼女の病気を受け止める信夫にもどうやら心の病がありそうで……。

 

脚本は『高校教師』や『未成年』、『人間・失格~たとえばぼくが死んだら』など数々の社会問題を取り上げてきた野島伸司。セックス依存症を題材に夫婦の悲劇的純愛を描く本作で、一途であるがゆえに悩める夫、その夫を愛する一方で人に言えない病気に苦しむ妻を演じる玉山鉄二と佐々木希に、物語や役の捉え方、気になる今後の見どころを聞いた。

 

――撮影が終了してしばらく。玉山さんは髭もたくわえられて、ようやく信夫が抜けた様子ですね。

 

玉山:そうですね。8月いっぱいまで撮影していたんですけど、悩める毎日だったので、ようやく(笑)。

 

佐々木:ようやく優しい、普段の玉山さんに戻られましたね(笑)。

 

玉山:クランクインする前から怖くて……逆に、それくらい自分の中でこの作品に懸ける思いが強かったですし、そういう意気込みで現場にも臨んで。野島さんのホン(脚本)も、当たり前ですが、すごくよかったので、プレッシャーもあったり。だから今は正直、ホッとしています。

 

玉山鉄二:1980年4月7日、京都府出身。182cm。血液型O型。ファッションモデルを経て、ドラマ『ナオミ』(フジテレビ系)で俳優デビュー。『百獣戦隊ガオレンジャー』(テレビ朝日系)の戦士役で人気を博し、以降、数多くのドラマ・映画に出演。2014年にはNHK連続テレビ小説『マッサン』で朝ドラ初出演かつ初主演を果たす。野島作品への挑戦は『薔薇のない花屋』(フジテレビ系)以来、2度目。

 

――撮影開始当初は、「信夫のキャラクターも含め、見えない部分があまりにも多過ぎました」(玉山)、「彩の心の動きが複雑に感じたので、演じることは簡単ではないと思いました」(佐々木)と、おっしゃっていました。

 

玉山:彩の病気のこと、病気を知った時の信夫の反応や対応……いわゆる日本の文化の中で暮らす男性の一人である僕が台本を読んだ時に、最初は理解し難い部分がたくさんあったんですよ。でも、いざインして信夫を体感すると見えてくるところがあったり。現場での彼女のお芝居によってひょっこり引き出された信夫がいたり。そういう意味で、佐々木さんには非常に助けてもらいましたし、毎回“どんな信夫が出てくるんだろう?”と期待しながら撮影に臨んでいました。普段は台本に、自分が演じる役の感情の起伏などを書き込むんですけど、今回はそれがなく。佐々木さんをはじめ、相手の方とのお芝居に委ねたんです。

 

佐々木:私こそ、玉山さんとは「もし自分の相手がそう(セックス依存症)だったら、それを背負えるか?」というお話をさせていただきましたし、たくさん助言もいただいて。とはいえ、彩は本当に波が激しく……カウンセリングを受けている時は、感情の揺れ動き方がとても大きく、演じながら自分でも予想しない感情が沸き起こってきたりするんです。ほかにも急に涙が出てきたり、前日に台本を読んで自分なりに考えていたことが上手くできなかったり…。毎回感じることが異なるので、カウンセリングのシーンは演じていてとてもツラかったです。

 

佐々木希:1988年2月8日、秋田県出身。168cm。血液型AB型。女性ファッション雑誌『PINKY』(集英社)のオーディションでグランプリを受賞して専属モデルとして活躍、ファッションモデルとしてのキャリアを重ねる。2008年には映画『ハンサム★スーツ』女優デビュー。初の野島作品で難役に挑む。

 

――小説家を目指していた信夫は、かつて仔犬を題材にした作品を新人賞に応募。彩が他の男性と…という中、信夫が仔犬のような無垢な表情をするものだから、見る側は余計に胸が苦しくなります。

 

玉山:そこは監督とプロデューサーとも話したんですよ。通常の作品であれば「信夫の方がヒロインの側じゃないか」って。だから彼の苦しい表情、苦しみに耐えている表情を見てくださる方にリアリティをもって伝え、なおかつ同じような感覚になるよう演じました。

 

 

 

佐々木:信夫の気持ちを考えると、彩の病気を知った時の計り知れない衝撃や悲しさ……いろいろな葛藤が生じて、すごく切なくなりました。

 

玉山:第1話での、その無垢な表情は、後の信夫の苦悩をより際立たせるために必要かなと思い、やっていました。“野島節”じゃないですけど、強烈な題材であるぶん、お芝居は極力フラットに。はみ出すところははみ出しても、はみ出し過ぎないことを心がけていて……まあ、中盤以降は怒とうの展開で、そうも言っていられなくなりましたが(笑)。

 

――片や彩は、「ノブちゃんと別れたら死んじゃう」と言ってしまうほど信夫に深い愛情を注いでいる女性であるにも関わらず、わりとあっけらかんとしている部分もあると言いますか。捉えどころのないキャラクターです。

 

佐々木:大人だったら隠し通すことも優しさじゃないかと思ってしまいますが、彩は信夫に隠していることもツラいし嘘をつくのもイヤという真面目な性格。だけど、一方では自分の病気のことを信夫に話してしまうことですっきりするような、どこか子どもっぽいところがあったり……最初は“彩の考えていることは何だろう?”って考え込んでしまうほどでした。

 

――クランクイン前に、野島さんとご飯を食べる機会があったようですが、その時は何かアドバイスが?

 

佐々木:「彩は、ひとつの感情が続かない。笑ったかと思えば急に泣き出したりする女性だから」とキャラクターについてお聞きして、漠然と……ですが、彩という女性が少しつかめました。そうでなければ、なかなか理解できなかったと思います。

 

――撮影前のコメントで玉山さんは「野島さんが手がけられた作品に出演した時、すごく悔しい思いをしました。そんなこともあり“ここでいいものが出来たら、また違った景色が見えるのではないか”と意気込み、二つ返事で飛びつきました」と。

 

玉山:台本の解釈があまりにたくさんあるため、僕の中で破たんしそうになっていたんです。だから、現場に入るまで怖かったんですけど。でも、僕もキャリアや年齢を重ね、感情が入り乱れた時に人間は“本当はこういう表情をするのかな”、“むしろ逆の表情をしたり、態度をとったりするのかな”ということが少しずつわかってきた……つもりではあるので。リベンジではありませんが、今回の意気込みは相当なものでした。

 

――佐々木さんは野島作品に初参加、そして玉山さんは本作が初主演作。お二人が思う野島脚本の魅力は、どこだと思われますか?

 

玉山:一筋縄ではいかないところ……かな、いい意味で(笑)。

 

佐々木:(笑)、とにかく続きが読みたくなりますよね? 読みながら“このシーンはどうやって演じよう?”と考えながらも、途中から、いち読者になってしまって。そのぶん演じるのは難しいですけど。

 

玉山:ど真ん中ではないんです。先ほども言ったように読み手によって、いくつもの解釈があるから“僕の解釈は大丈夫だろうか?”という不安が常にあって。それは監督、プロデュサー、スタッフみんなそうだったと思います。だからディスカッションは重ねましたし、実際カメラマンさんも、照明さんも「僕はこう解釈したので、こう動いてみました」というような、無難にいくのではなくて、チャレンジをしていて。僕らキャストも非常にかきたてられる部分がありましたし、そうしたもの作りをしている現場にいられたことが心地よく、幸せでした。

 

佐々木:とてもプロフェッショナルな現場でしたし、玉山さんがおっしゃったように“攻めている”という感じがしました。みなさんがいいものを作るために努力していらっしゃるので、私も絶対に集中を絶やさないようにしようと撮影に臨みました。

 

――ちなみに、思い出に残る野島作品はありますか?

 

玉山:『人間失格』、『聖者の行進』……野島さんの作品はほとんど見てきて。その時代ごとに影響も受けてきて。テーマ性や取り上げる題材が抱える問題の深さには、大いに考えさせられました。

 

佐々木:私もリアルタイムではありませんが、『高校教師』など野島さんの作品を拝見してきて。子どもながらに“禁断と言われるような愛を描いているのに、なんてピュアなんだろう……”と思ったことを覚えています。

 

玉山:毎回、主題歌も印象に残っていますね。『高校教師』の主題歌だった森田童子さんの「僕たちの失敗」しかり、『未成年』のカーペンターズ(「Top Of The World」)しかり。作品をより魅力的なものにしていましたし、何よりテーマとすごく合っていた。自分が俳優になり、そうした野島さんの作品全体へのこだわりを知ることで、改めて尻を叩かれる思いです。

 

――『雨が降ると君は優しい』のエンディングは、野島さんいわく「世界で一番好きな曲」。ボズ・スキャッグスの名曲「We're All Alone」が余韻を残します。

 

玉山:野島さんが込めた思いを感じ取るべく、空き時間でもひたすら主題歌を聴いていましたね。打ち上げの時スタッフさんに聞いたら、陰にこもる感じが悪い人に見えちゃってたそうで(笑)。ただ、それをやった甲斐はありました。本当に、主題歌が作品のすべてを表していると思ったから。

 

佐々木:和訳を調べると“信夫と彩の愛”を彷彿とさせる歌詞なんだなって思いました。(当初つけられていた日本語題の)“二人きり”を意味するタイトルもそうですし、“雨”というモチーフも歌詞の中に出てきますし。野島さんにお聞きしたら「たまたま」と、おっしゃっていましたけど。

 

玉山:いやいやいや! それ、絶対に狙ってるよ(笑)。

 

――(笑)、サビでは「すべて水に流そう」とも。

 

玉山:野島さんがおっしゃるには、最終話のラストシーンとも深くリンクしているそうですが……さあ、どうなるんでしょう。そこは楽しみにHuluをご覧いただいて(笑)。主題歌以外に物語自体も伏線だらけですし、それがまた、この先……ね?

 

佐々木:ハイ。もう、大変なことに(笑)。いろいろな点と点がつながっていきます。

 

玉山:ですから、1話たりとも見逃さないでいただきたいです。

 

――信夫が働く出版社のやり手の上司・倉田和馬(陣内孝則)、激しい罪悪感に苦しむ彩が訪ねる著名なカウンセラー・小早川志保(木村多江)、倉田との間に根深い確執と因縁を持つ大物作家・小野田史郎(古谷一行)、信夫の同期・新城玲子(奥菜恵)、ヒット作を連発する女流作家・雫石奈美(笛木優子)、信夫の部下で小野田を担当する平川百合(奈緒)……。彩と信夫を取り巻く人々もまた、それぞれに心の闇を抱えていそうで、今後の展開が楽しみです。

 

玉山:第1、2話はまだ序章にしか過ぎない。この先は結構、ヤバイですよ(笑)。

 

佐々木:(笑)、危険度……と言いますか。爆発力がすごいんです。それぞれが、それぞれに秘密を抱えていて、それが少しずつ明らかになって。特にノブさんは今後……。

 

玉山:どエライことになっていきます。中盤以降は台本を読みながら、毎回「マジかー……」って、うなだれてたから(笑)。

 

 

 

佐々木:うなだれていましたね(笑)。

 

玉山:彩を心配する不安感が、彼女に対する優しさにつながり。その優しさが、彼を崩壊させていく。第3話、第4話から5~6話にかけては演じていて本当にしんどかった。でも、この素敵な夫婦が“困難や障害を乗り越えてほしい”と思えるまでの、野島さんが作った大きな壁だと思いますから。みなさんも物語の中に入り込んで見てほしいです。

 

佐々木:見ようによっては、ちょっとおかしな夫婦に映るかも知れませんが、それを超える夫婦の純愛や絆が描かれている作品だと思います。

 

玉山:通常のドラマで盛り上がる部分をサラっと流したり、そうでない部分を深く描いたり。野島さんの脚本は、とにかく“裏、裏”と攻めてくるのでお楽しみに。

 

佐々木:確かに、先ほど玉山さんがおっしゃったように、笑いそうな部分で笑わないとか、怒りそうな部分で怒らないとか、野島さんの脚本ならではの、人間の機微が描かれています。

 

玉山:喜怒哀楽……人間の感情が全部、吐き出されたその先には、きっとサプライズがあると思いますし、感動もあると思うので、みなさんぜひご覧ください。

 


Huluオリジナル

雨が降ると君は優しい

 

脚本:野島伸司
音楽:太田惠資
主題歌:「We're All Alone」ボズ・スキャッグス(Sony Music Japan International)
演出:大塚恭司、岩﨑マリエ、松原浩
エグゼクティブプロデューサー:長澤一史(Hulu)、毛利忍(Hulu)
企画・プロデュース:松原浩(AX‐ON)
プロデューサー:西原宗実(Hulu)、岩崎広樹(Hulu)、大森美孝(AX‐ON)
制作:AX‐ON
製作著作:HJホールディングス
HP:http://amefuru.com/

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橋本達典

橋本達典

1968年東京都生まれ。宮崎県出身。フリー編集&ライター。テレビ情報誌『TVガイド』の記者、『TVBros.』での編集・執筆を経てフリーに。現在『Men'sJOKER』、『一個人』、『Numero TOKYO』、『Street JACK』等の...

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