広島カープの熱烈オファーに奥田民生もプレッシャー!? 想像以上に“重い”スポーツ応援ソングの裏話

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広島カープから「優勝したら曲を作ってください」と持ちかけられ、いったんは快諾したものの、しり込みしていると言う奥田民生さん。自身も広島出身で、カープに思い入れがあるだけに「曲が使われ出した瞬間、負けたらどうしよう」という不安、関係者やファンに対するプレッシャーが大きいようだ。

 

思えばこの手のスポーツ応援ソング、イメージソングというのは音楽作品として非常に特殊なジャンルである。

 

 

■何十年先も歌い継がれることを考えると…制作者はツライ?

 

僕がぱっと思い付くのは阪神タイガースの『阪神タイガースの歌(六甲おろし)』、中日ドラゴンズの『燃えよドラゴンズ!』、高校野球の『栄冠は君に輝く』あたりだが、今それを聴いてオリジナル歌手の中野忠晴さんや板東英二さん、伊藤久男さんを思い浮かべる人はもはや少数派だろう。

 

スポーツ応援ソングは、たとえ歌手や作家が亡くなった後も、選手やファンに愛され歌い継いがれてゆくもの。良くも悪くも独り歩きするもの。そう思えば「軽い気持ちでは作れない」「気が進まない」というのも、うなずける話だ。

 

スポーツ応援ソングを手がける歌手やアーティストはどんな気持ちで制作に当たるのだろうか。2016年に設立したばかりの女子プロハンドボールチーム・大阪ラヴィッツの応援ソング『手の鳴るほうへ』制作者でシンガーの大山まきさんにお話をうかがった。

 

大山まき
岡山出身・大阪在住のロックシンガーソングライター。バンドを率いたパワフルなステージングで“ロック新世代の歌姫”と称される。シングル『手の鳴るほうへ』は大阪ラヴィッツ試合会場、ライブ会場などで発売中。http://www.oyama-maki.com/

──どのような経緯で大阪ラヴィッツの応援ソングを手がけることになったのですか?

 

あるパーティーで関係者の方と知り合い、私の音楽に興味を持っていただきました。「大山さんは今、階段をのぼっている人。大阪ラヴィッツと同じ境遇にいる人だと思うので一緒にやりたい」という言葉が印象的でお引き受けました。

 

──奥田民生さんの言うような不安やプレッシャーはありませんでしたか?

 

自由に作らせていただけたし、不安はあまりありませんでした。ただ広島カープのように長い歴史があってイメージもある程度固定されたチームだと難しい部分も多いだろうし、奥田民生さんのおっしゃることもわかる気がします。

 

私の場合は、楽曲提供ではなくタイアップという形でやらせてもらえるようお願いしました。応援ソングであることに違いはないのですが、大山まきの楽曲だということも大事にしたかったんです。その点を理解いただけたことも、不安やプレッシャーなく制作できる大きな助けだったと思います。

 

──制作にあたってどんなことを心がけましたか?

 

歌詞を大きくハンドボールに寄せることはしていないのですが、ハンドボールや大阪ラヴィッツの魅力が伝わるような、試合中に聴くことで心が奮い立つような曲にしたいということは大前提でした。

 

その上で「なぜ私に依頼してくれたのか」ということも考えました。ハンドボールって闘いの要素をひしひしと感じるとても激しいスポーツなんですよ。選手の方たちも普段は可愛らしい女子なんですけど、試合になったらケモノ丸出しみたいな……(笑)。それって私がやってきたロックの世界観と共通しているんですよね。女らしさや優しさの世界ではない……そういう激しさも盛り込んでいます。

 

シンガーとしても、選手の方たちと一緒に“闘える”ように、キーはあえて楽なものにはせず精一杯のパフォーマンスができるよう努めました。

 

***

 

どんなチームやスポーツの応援ソングなのか、楽曲の定義、制作者の性格によって不安やプレッシャーの有無は大きく変わってくると思う。

 

しかし皆、真剣に対象に向かい合い、自分の最大のパフォーマンスを引き出して制作にあたっているであろうことは想像に難くない。そこには通常の楽曲制作とは異なる種類の楽しみやプレッシャーがあることは、大山さんの話からもご理解いただけただろう。近年は新進気鋭のミュージシャンが起用される例も増えているので、このジャンルからさまざまな名曲が生まれるのではないかと期待している。

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シンガーソングライター/音楽評論家

中将タカノリ

シンガーソングライター、音楽評論家。2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。深い文学性と、歌謡曲、アメリカンポップスをフィーチャーした音楽性で独自の世界観を構築している...

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