女は男の半分!? 30年以上、年収の格差が埋まらない理由

話題
女は男の半分!? 30年以上、年収の格差が埋まらない理由

女性の年収、低すぎ? 日本はこの30年、男女の格差が埋まっていない【データ】

 

愕然とする調査結果だ。就職超氷河期だ、非正規雇用だ、ブラック企業だニートだと、雇用全般を憂えたり、論じる記事ならいくらでも読んできた。日本における平均年収が約400万円(408万円)だという統計も、あちこちで引用されている。

 

でも、ここに示されているのは、平均年収約400万円というキリの良い数字に隠された内訳が「日本人男性の平均年収502万円、日本人女性の平均年収268万円」なのだという衝撃、そして日本人男性と女性の年収格差が、この34年間ほとんど縮まっていないという絶望的な事実だ。

 

現在、男女格差の社会的規模の是正が進んだ米国では、女性の年収は男性の80%強まで上昇している。いやそれでも本来的には、平等を掲げるあの社会としてはその20%のギャップも「理不尽だ」と激しい論争の種だろう。なぜ性別でこのような格差が生まれるのか、それは差別であると、社会のあちこちで怒号を上げる市民がいるだろう。怒号では解決しないと思うひとは、社会のどの要素が女性の収入に対する「下方圧力」となっているのかを分析して、いまこの瞬間にも具体的に働きかけているだろう。

 

しかし日本の女性は、同じ時代に男性の年収の半分をようやく超えるくらい、53%で暮らすという人生を、おとなしく享受している。必ずしも怒りの声を上げるでもなく、デモやストライキが起こるでもなく。

 

日本は先進国である。GDP世界第3位、最近まで2位に位置した、経済大国である。その先進国で、事実上「女は、男の半分」。日本の女性はなぜこれに発狂しないのか。

 

 

でも、ふと考える。

 

例えば出産で仕事を辞め、幼い子を育てる主婦がネイリストの資格を取り、自宅の一室を使って細々と月8万、年収で100万稼いだとしよう。その夫が1000万プレイヤーなら、単純に年収は10倍だ。2000万ならば20倍だ。

 

専業主婦だとしよう。夫の年収がいくらでも、年収の格差は測れない。ゼロは何倍したってゼロだから。

 

まさに統計通り、年収268万円の女性を思い描こう。自宅通勤の新卒女子だったり、夫も統計通り年収502万円の共働きだったり、シングルマザーだったり、思い描く姿によって268万円の印象は全く違う。

 

1000万稼ぐのが目標というサラリーウーマンもいるだろう。数千万を軽々と稼ぎ出す女性キャリアも数多いる。

 

でも、その彼女たち(日本人女性一般)は不幸だろうか。収入が高かろうと低かろうと、そんな彼女たちを不幸にしてやりたくて、小説やドラマがこれでもかと深層心理をえぐり続けた。本当は違う自分になりたいんだろう、どうだ自分にウソをついているんだろう、と頬を叩き続けた。これからは女の価値は美醜じゃなくて年収で測る時代だ、女よ自立せよ、と大きな声で先導する女性教授もいた。女性の仕事は、結局産み育てることだ、と語った女性名誉教授もいた。

 

 

それでもなお日本社会の現実は「女性の平均年収268万円」で、男女格差は34年間微動だにしないという事実。でも、あの全く縮まる気配のない収入格差の図を見た私たちはなんとなく察している。日本女性の平均年収が低いのは、男女の正社員の賃金格差ももちろんだが、大部分は結婚出産による退職と、パートや契約社員といった、賃金の安い非正規雇用の結果だ。「それで満足だから」にせよ、「それしかないから」にせよ。

 

ああそうだ、これは、この図は老いも若きも日本女性一人一人の人生を砂粒のようにして集めた砂山の姿なのだ。「他にすべがなかった」ひともいるだろうし、「血の滲むような努力で勝ち得た」ひともいるだろう。でもおおかたは、誰かに強いられるでもなく、強硬な主義主張あって主体的に選び取るでもなく、黒を白に、白を黒にするような特別すごい努力はしなかったにせよ、特別サボったわけでもなく、たどり着いている人生。

 

女性の数だけ、人生がある。でもその人生の姿を年収で測った時に「平均268万円」であるというのが、日本人女性の現実であり、事実なのだ。日本における女性は、あちこちのメディアできらびやかに語られ描かれるように、豊かなのか? それとも実は自立して稼げる力を持たず、貧困なのだろうか? 豊かそうに見える日本社会に横たわる、私たちには大きすぎて見えなかった課題だ。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

citrusの人気記事をお届けします

SNSで記事をシェア

コラムニスト

河崎 環

河崎環(かわさきたまき)/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川県育ち。桜蔭学園中高から転勤で大阪府立高へ転校。慶應義塾大学総合政策学部卒。欧州2カ国(スイス、英国ロンドン)での暮らしを経て帰国後、Web...

河崎 環のプロフィール&記事一覧
ページトップ