「ゲームばかりしている子、朝ごはんを食べていない子は成績が悪い」と言う大人たち

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京橋 拝志朗

「ゲームばかりしている子、朝ごはんを食べていない子は成績が悪い」と言う大人たち

ぼくは「塾通い反対派」です。3人の子どもたちを学習塾へ通わせたことがありません。一番年下の次男は今年高校へ入学しましたが、やはり塾へは通わず、受験勉強は独学に終始しました。

 

なぜ「塾通い反対派」なのかというと、勉強とは心を豊かにするものだと思っており、学習塾に通っても「心は豊かにならない」と思っているからです。むろん、学習塾に通ったら必ず「心が豊かにならない」とは限りません。もし、心が豊かになりそうな塾ならば、通わせても良いと思います。ただし、残念ながらそういう塾にお目にかかったことはありません。

 

長男が中3になった春のこと。妻が長男を連れて、とある塾の説明会へ参加してきました。妻としたら長男の受験が心配だったのでしょう。当時の成績ですと、志望校の合格ラインにギリギリだからです。妻から説明会の報告を聞いたぼくは、「その塾には通わせないほうがいい」と言いました。その理由は、当然「心が豊かにならない」と感じたからに他なりません。

 

その塾の先生が、下記のようなことを言ったというのです。

 

「ゲームばかりしている子どもは、脳に異常をきたすようになります。成績は確実に下がります。もしお子さまがゲームをしているようでしたら、すぐに取り上げて禁止してください」

 

これは「ゲーム脳仮説」というものです。もう何年も前に某学者が、ゲームをやり過ぎると脳が痴ほう症のようになるという本を書いたのです。その後、科学的に、完膚なきまでに否定された疑似科学です。未だに、こんなことを真に受けて父兄に話すような先生がいる塾に、大切なわが子を通わせることはできません。

 

ただ、大事なわが子の将来がかかっていますから、なかなか妻も引き下がりませんでした。ぼくは、「最終的には子どもが決めたらいい」と言って折れました。で、長男はどうしたかといいますと、「どこの塾にも通わない」と言いました。その理由をたずねると、次のような答えでした。

 

 

「今どきの中学生が全員ゲームをやっているから頭が悪い、と決めつけているように感じた。友達の○○君はゲームが好きだけど、ぼくよりも成績がいい。単純に決めつける大人は嫌いだ。そもそもぼくは、やりたことがあるから、自分のペースで勉強したい。だから、どこの塾にも通わない」

 

ぼくも妻も、本人の主体性を尊重しました。

 

そもそも長男は、ゲームをしません。長女と次男はゲーム好きですが、長男は嫌いなようです。そして長男は、親が言うのもなんですが、成績は優秀なほうです。受験合格という目標を抜きにすれば、あえて塾通いの必要性はないです。最終的には、しっかり志望校に合格しています。

 

一般的には、受験合格はものすごく重要な目標になるのでしょうが、私は全然重要だと思っていません。どんな学校に行ったって勉強はできます。勉強とは教えてもらうものじゃなく、自分でするものです。

 

しかし、科学的な思考ができない大人が増えていることに、がっかりしました。塾の先生ですらこの程度なのですから、困ったものです。まあ、お国の文部科学省も似たようなものですけどね。

 

1998年に文部省(当時)は「子どもをキレさせないための食事」の研究に取り組むために予算を組みました。非行少年ほど、スナック菓子やインスタント食品を食べているというデータから、「食べ物が原因でキレやすくなる」と判断し、研究のための予算を確保したのです。

 

可能性としては何でもあり得ます。しかし、そのデータだけで、「食事が原因で非行になる」という「因果関係」が証明されたわけではないのです。「相関関係」が見出されたに過ぎません。相関関係と因果関係の違いすら分からない人たちが国家公務員をやっているのですから、世も末です。

 

 

非行少年の食生活が荒れていることは事実でしょう。これだけなら相関関係です。その食生活が原因で非行に走ることが証明されれば因果関係となりますが、そんな証明はなされていません。

 

食事が問題ではなく、家庭が問題なのだと考えるのが論理的です。ろくな食生活をさせない家庭だから、子どもが非行に走るようになると考えるべきです。

 

懲りずに文科省は、2000年にも「朝ごはんを食べていない子どもは成績が悪い」というデータを示して、「めざましごはんキャンペーン」を展開しています。朝ごはんと成績に因果関係があるのではないでしょう。相関関係に過ぎません。やはり、家庭の問題です。朝ごはんも食べさせないような親が問題なのです。

 

「ゲームが原因で成績が悪い」という考えも、しかり。子どもがゲームばかりして、家事や学業をおろそかにしてしまうような育て方をした家庭に問題があるのです。ゲームに支配されてしまうような人間ではなく、ゲームをうまく使いこなせる人間に育てるべきなのです。

 

子どもたちを正しく導く責任がある大人たちは、科学的思考ができるようにしてほしいものです。相関関係と因果関係の違いくらいは、ちゃんと理解してくださいませ。

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京橋 拝志朗

1964年生まれ。新聞や雑誌の記者・編集者、映像クリエーターを経て、マルチメディア・コンテンツ制作会社のサラリーマン社長となる。しかし、経営に頭を痛めることよりも、クリエイティブな仕事が恋しくなり、2014年...

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