高速道路で嫌がらせを受けた時の「命の守り方」

話題

 

東名高速で追越車線に停車していたワンボックスに大型トラックが追突し、車外に出ていた夫婦二人が死亡し、シートベルトをして車内にいた二人の姉妹が軽傷を負った2017年6月の事故。乗用車に乗る25歳の男が高速道路上で夫婦の車に嫌がらせを繰り返し、追越し車線に停車させたことが原因だった。大変痛ましい事故で残された姉妹のことを思うと、胸が張り裂けそうになる。逮捕された25歳の男には厳罰を望みたい。


筆者も走行中に煽られたり、進路をふさがれたりの経験が何度かある。はらわたが煮えくり返るほど腹が立つ経験もある。高速道路ではないが、近所の一般道で左折の青信号が出ているのに発進しない車がいた(その交差点ではよくあること)ので、軽くクラクションを鳴らした。その車が動き出したので、私も発進したが50mくらい走ったところで、異常に速度を落とした(徐行レベル)のである。車の不調か何か?と思い、追い越し禁止だったが見通しの良い直線道路だったのでウィンカーを出して追い越そうとした。すると、その車は突然、スピードを上げて私に追い越されまいとアクセル全開で走り始めたのだ。「何なの?」と思ったが、前方に対向車が見えたので仕方なく車線に戻った。が!なんとそのクルマ、私が追越しをやめると、再び、ノロノロと走り始めたのだ。明らかに私に対する嫌がらせである。たぶん、左折青信号に気づかず発進しなかったことを軽く注意(クラクションを鳴らしただけだが)されたことに逆切れしたんだろう。私も相当頭に来たが、横に息子も乗っていたしそこでぐっと気持ちを抑えた。

 

 

■前で進路妨害、後ろで煽られても、車線の選択権はあなたにある


高速道路の本線上でいきなり停車することがどれほど危険なことかは多くのドライバーが知っていることだが、場合によってはタチの悪いドライバーが乗った車に進路を妨害されて、本線上に停車せざるを得ない場合もある。しかし、考えてみれば相手はあなたの進路に合わせて妨害したり、煽ったりしているということはつまり車線を決める主導権はあなたにあるということだ。あなたが車線変更をしても前に割り込んで進路を妨害し、後ろにぴったりついて煽るような場合は、路肩に最も近い第一車線に向かうべし。決して逃げ場のない追い越し車線に「誘導」してはいけない。

 

あなたに嫌がらせをする車をうまく第一車線まで誘導したら、極力、相手と距離を離して路肩に車を停車することをお薦めする。そしてすぐに警察、または#9910(道路緊急ダイヤル)に連絡して欲しい。可能なら相手が車から降りてあなたの車に向かってくる間に車を出して逃げてしまうのがいい。逃げながら警察(110番)または#9910へ連絡をするのが最善策だと筆者は考える。同乗者がいれば電話をしてもらおう。そして、命まで奪われかねない緊急事態であることも臆せず伝えよう。「大事に至らなかったら恥ずかしい」と思う必要はない。


まともな精神状態ではない相手と話し合いなどできるはずもないので、身を守るためにはとにかく、相手に絡まれても冷静さを保って→(警察に連絡)→最寄りのインターチェンジやSAPAに逃げ込む(極力、人や車の多い場所へ)のが良いと思う。


そして、SAPAなど車を停めるのに安全な場所であっても、相手が追いかけてきたら車からは出ない方が良い。車のドアはロック、窓はぴったりしめて車内で警察が来るのをまとう。怒り狂った相手は窓ガラスに殴りかかってくるかもしれないが、フロントガラスはもちろん、サイドガラスでさえも素手で割ることは極めて難しい(相手がガラスを簡単に割る脱出用ハンマーを持っているかもしれないので、その場合は車を発進させて逃げる!)。

 

 

■追い越し車線で停車させられたらどうするべきか?


とはいえ、予期せぬ様々な嫌がらせを受けてパニック状態になり、冷静に路肩まで車を移動させることができないこともあるだろう。そこで、運悪く追い越し車線で停めさせられた場合の最善策について考えてみたい。仕方なく停まることになったらすぐにハザードランプをつけること。そして、ブレーキペダルを何度も踏む(ブレーキランプを光らせる)。リアフォグでも何でも、あらゆる手段を使って後続車が気づいて完全に停まるまで、自車の存在をアピールしよう。そして、相手が車から降りてきても、ドアはきっちりロックして、全員シートベルトはしっかり着用しておくこと。挑発に乗ってはダメ。その間に警察や#9910などに連絡すべし。


高速道路を管理するNEXCOは、高速道路上に車を停止せざるをえない場合の対処法をどう考えているのだろう。

 


「車を路肩や非常駐車帯など安全な場所に停めて、乗員はガードレールの外に退避してください。やむを得ず追い越し車線上に停める場合は、ハザードをつけるなどして自車を目立たせつつ、乗員は中央分離帯側のガードレールを超えた場所に避難してください。決して、道路を横断して路肩に向かわないようにしてください」(NEXCO中日本広報室)

 

故障や事故で、停車せざるをない場合はガードレールの外に避難するのが有効のようだ。さらに高速道路に設置されている非常電話についても聞いてみた。

 


「高速道路には非常電話が約1キロ間隔で設置されています。何等かの理由で携帯電話での通報ができない場合は、非常電話を使うことをおすすめします。非常電話は受話器を取ったらすぐに道路管制とつながりますし、どこから電話しているか、車の位置も瞬時に正確に伝わります」(同)

 

非常電話があるのは路肩であるから、追い越し車線では携帯電話で助けを求めるしかない。いざというときにバッテリー切れにならないよう、シガーソケットで充電できるUSBケーブルは常に携帯しておきたい。また、万が一に備えてドライブレコーダーを備えておくべし。最近は常時録画型で高性能タイプでも1万円以下で販売されている。もちろん、スマホで動画を撮る(カメラを向けるのが難しければ音声だけでも)のも後々、重要な証拠になる。


東名高速でワンボックスの夫婦を死なせた25歳の男は、その後の捜査で事件の1カ月前にも山口県内の一般道で運転中に複数のトラブルを起こしていたことが分かった。わざとゆっくり走って後続車をイラつかせて追越しさせる→車を停めさせて車のドアを蹴るなど、まさに、冒頭に書いた筆者の体験そのものである。そういう車から自らの命と車を守るためには、絶対に挑発に乗らず、極力その車から離れること。高速道路上で停まる場合はハザードランプやブレーキランプなどで自車の存在を目立たせること。車から離れる場合はガードレールの外側に退避すること。最低限これらを実行して欲しい。

 

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自動車生活ジャーナリスト

加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌...

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