「酒に酔うと外国語がうまくなる」:欧州の研究者らが実験で確認

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<英リバプール大学とオランダのマーストリヒト大学が行った研究で、適度にアルコールを摂取すると、外国語を話す能力が向上するとの研究成果を発表した>

 

「酒の上のから元気」を意味する英語の慣用句に"Dutch courage"(直訳すると「オランダ人の勇気」)という言葉がある。

 

これは17世紀ヨーロッパの三十年戦争の頃、イングランド兵が戦闘前にオランダ製のジンを飲んだ故事に由来するが、英国とオランダの共同チームはこのほど、飲酒が脳に及ぼす影響により外国語を話す能力が向上するとの研究成果を発表した。少なくとも外国語の話者には、酒の上のから元気がプラスにはたらくと言えそうだ。

 

 

■テストの手法

英リバプール大学の研究者らがオランダのマーストリヒト大学と共同で行った研究で、英国精神薬理学会が発行する学術誌に論文が掲載された。

 

研究チームによるテストは、ドイツ語を母国語とし、最近オランダ語の会話と読み書きを学んだマーストリヒト大の学生50人を対象に実施。被験者は、無作為抽出によりアルコール度数5%のビールかノンアルコール飲料を飲んでから、実験者とオランダ語で会話した。ビールの量は被験者の体重によって調整され、たとえば70kgの男性には460mlが提供された。

 

この会話は録音され、オランダ語を母国語とする2人が採点した。採点者は被験者がビールを飲んだかどうかを聞かされなかったが、ビールを飲んだ人のほうがしらふの人よりも採点が高くなる有意の傾向がみられ、特に発音が向上したという。なお、被験者にはオランダ語の能力の自己採点もしてもらったが、自己採点にアルコールの影響はみられなかった。

 

 

■アルコールが脳に及ぼす作用

 

リバプール大によると、アルコールは認知機能と運動機能を損なうことが知られている。記憶力、注意力、不適切な行動を抑制する能力を含む「実行機能」が特にアルコールに敏感であることから、外国語を話すときに重要な実行機能が酒の影響を受けると、会話の能力が損なわれるとの予想もありえる。しかし実際には外国語の会話力の向上がみられたのは、「不安を軽減するアルコールの作用が有効にはたらいた可能性がある」としている。

 

研究者らは、アルコール摂取量が少ないことも重要な点であり、飲み過ぎてしまうと外国語能力にプラスの効果は見込めくなりそうだと指摘。また、50人という被験者数が少ないことも認めており、さらに大勢をテストする必要があると述べている。

 

文:高森郁哉

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