お茶の間のアニメがハリウッド大作に! 55周年のタツノコプロ、歴代傑作に共通するのは“無国籍感”だった?

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(c)タツノコプロ

2017年、タツノコプロが設立から55周年を迎えた。1962年の創立以来、タツノコプロが世に届けてきた作品には『マッハGoGoGo』『科学忍者隊ガッチャマン』『新造人間キャシャーン』『タイムボカン』シリーズ……。時代を超えて愛されてきたキラ星のような傑作アニメが並ぶ、日本を代表するアニメスタジオである。

 

常に最先端を走りながら、いつの時代にも色褪せない。そんなアニメに、子どもも大人も夢中になってしまう。その人気は世代だけでなく、時代も国境も、何もかもを軽々と飛び越える。それがタツノコアニメだ。

 

 

■いつだって“オリジナル”に挑戦し続けてきた

 

タツノコのアニメの何がそんなに魅力的なのか? ひとつは独特のスタイルである。

 

例えば、1972年に放送スタートした『科学忍者隊ガッチャマン』。

 

主人公・ガッチャマンこと大鷲の健らのキャラクターたちは、長髪に彫りの深い顔立ちで、スタイルのよい長身。どこか日本人離れしている。そしてアクション映えする派手なコスチューム、メカニックデザインの数々。そこにはかつての日本が憧れた海外のSFドラマや映画、アニメーションやコミックスの雰囲気が漂う。

 

ただし、それは外国のどこかではなく、タツノコが紡ぎだす世界だ。どこにも属さない無国籍な舞台、それが視聴者の心を日常から別次元に運び去るのだ。

 

『科学忍者隊ガッチャマン』(1972年制作)

 

日本アニメ史の金字塔。誰もが憧れた科学忍者隊が秘密結社ギャラクターの陰謀を打ち砕く!

タツノコアニメの無国籍ヒーロー路線は70年代により明確になり、『新造人間キャシャーン』『破裏拳ポリマー』『宇宙の騎士テッカマン』『闘士ゴーディアン』……と引き継がれ、タツノコアニメのひとつのイメージを確立した。

 

もうひとつ忘れてならないのは、これらの作品の多くがタツノコが自らキャラクターやストーリーまでを創り出したオリジナルだったことだ。ゼロから全てを生みだすタツノコのクリエイティブの強さの源流がここにある。

 

『新造人間キャシャーン』(1973年制作)

 

世界をアンドロイド軍団から守るため、人であることを捨てた少年がいた…。キャシャーンがやらねば誰がやる!

『破裏拳ポリマー』(1974年制作)

 

切れるアクション、ポップなデザイン、何もかもが新しかった。破裏拳ポリマーがスーパーヒーローの時代を変えた!

 

■クール、コミカル、そして華やか──タツノコアニメの多様な世界

 

タツノコのオリジナル作品は80年代も続き、ロボットアニメが活躍の場のひとつになった。なかでも一世を風靡したのが、『黄金戦士ゴールドライタン』だ。

 

黄金に輝くライターが意思を持ち、巨大ロボットに変身するアイディアが子どもたちをワクワクさせた。発売された玩具は大ヒット、80年代ロボット・メカニックの代表的なアイコンである。

 

 

『黄金戦士ゴールドライタン』(1981年制作)

 

黄金に輝くライターが巨大ロボに、その名は「ゴールドライタン」。80年代の子どもたちを熱狂させたメカアクション!

ハードな作品の一方で、コミカルな作風もタツノコの得意とするところだ。60年代末の『ハクション大魔王』、70年代にはお馴染みの『タイムボカン』シリーズがスタート。そして、『とんでも戦士ムテキング』……。

 

クールな恰好よさと、コミカルな楽しさ。そんなタツノコのふたつの流れが見事に結びついたのが、1983年の『未来警察ウラシマン』だ。

 

2050年の未来にタイムスリップした主人公のウラシマ・リュウは、機動メカ分署の刑事となって犯罪帝国ネクライムに挑む。2枚目半のウラシマ・リュウはコミカルなキャラクターだが、時にはシリアスなストーリー展開の中で活躍する。その幅の広さが作品を盛り上げた。

 

『未来警察ウラシマン』(1983年制作)

 

過去から未来にやってきたウラシマン。シリアスに、そしてコミカルに、謎が謎を呼ぶネオトキオで大活躍!

 

■『マッハGoGoGo』がハリウッド大作になった理由

 

タツノコアニメの人気は日本だけにとどまらない。1960年代と早い時期から、海外でもテレビ放送をされてきた。海の向こうの視聴者が作品に心を奪われたのは日本同様だ。

 

なかでも熱狂的な支持を受けたのが、レースアニメの『マッハGoGoGo』である。『マトリックス』で知られるハリウッドの大物監督、ラナ・ウォシャウスキー&リリー・ウォシャウスキーは、2008年に本作を原作に大作ハリウッド映画『スピード・レーサー』を撮った。監督たちは、子どもの頃『マッハGoGoGo』の大ファンだったという。タツノコアニメは、世界のトップクリエイターに大きな影響を与えているのだ。

 

『マッハGoGoGo』(1967年制作)

 

燦然と輝く傑作カーアクションアニメ。世界の心を掴み、マッハ号はいまも時代を駆け抜ける!

 

■歴史を超えるキャラクター、そして新たな時代への挑戦

 

タツノコアニメの大きな特長に、時代を超えることがある。一方で時代の流れを敏感に読み、同時にどんな時代に観ても楽しい。人気の作品やキャラクターは何度もアニメ化され、さらに映画や実写、コミック、ゲームと様々なかたちで生まれ変わる。

 

1975年の『タイムボカン』は、1976年の『ヤッターマン』からシリーズ化。その後も次々と関連作品が誕生した。2009年の実写映画『ヤッターマン』の大ヒットも記憶に新しい。2017年10月からは新作『タイムボカン 逆襲の三悪人』がテレビ放送され、その展開は現在進行形である。

 

『タイムボカンシリーズ ヤッターマン』(1977年制作)

 

数々の名セリフも誕生した国民的アニメ。ドクロストーンを目指して正義の味方ヤッターマンと泥棒一味ドロンボーが大奪戦!

人気作品の新たな展開は、2017年も活発である。10月には『infini-T Force』もテレビ放送をスタートしている。『科学忍者隊ガッチャマン』の健、『破裏拳ポリマー』の武士、『新造人間キャシャーン』の鉄也、『宇宙の騎士テッカマン』の城二が現代の渋谷の街に集結し、ヒロインの少女・笑と世界を守る。四大ヒーローの共演は圧巻だ。

 

もちろん、いまの時代に生まれる新しい作品やキャラクターたちもいる。映画館での応援上映が話題を呼び大ヒットになった『KING OF PRISM』シリーズ、女児に支持の高い『アイドルタイムプリパラ』、そしてアイドルを目指す少女たちの活躍を描く『Wake Up, Girls! 新章』。こんな人気作も、タツノコプロが関わっている。

 

新たなアイディアを次々に世に届けるタツノコプロの伝統は、健在だ。55周年のメモリアルイヤーからさらに未来──タツノコが描き出す夢の世界は、まだまだ続くに違いない。

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ジャーナリスト

数土直志

ジャーナリスト。国内外のアニメーション関する取材・報道・執筆を行う。また国内のアニメーションビジネスの調査・研究をする。「デジタルコンテンツ白書」アニメーションパート、「アニメ産業レポート」の執筆など...

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