独身男性を好きになった既婚女性たち

人間関係

 

男女がいれば、どこでも恋愛が生じる可能性がある。既婚の女性が独身男性を好きになったとき、どういう思いで付き合いに至るのか。そこにどんな葛藤があるのだろうか。

 

■家庭は壊せない

 

5歳年下の男性と付き合って半年になるナオミさん(38歳)は結婚して12年、小学生の子どもがいる。それでも仕事で知り合った彼にほのかな思いを寄せていた。だから猛アプローチされたときはうれしかったという。

 

「でも私には家庭がある。付き合うなんてとんでもないと最初は思いました。だけど、彼は『家庭が大事なのは分かってる。あなたの時間をほんの少しだけ分けてください』って。私もいいなと思っていた人だから心が揺れました」

 

最初は会って食事をするだけにとどめていたが、会えば会うほど好きになる。そしてついに一線を越えてしまった。

 

「自分の恋心が苦しくて、彼の前で泣いたりしていました。彼もいっそ離婚して一緒になろうと言ってくれた。でも現実を考えると、夫を嫌いなわけでもないし、家庭は家庭でうまくいっている。これを壊すなんてできないと思った。家庭は大事、でも女として愛しているのは彼。彼にそう正直に言いました。彼は『分かった』と。そこから私も少し落ち着いたんです」

 

 

■割り切れないけど割り切る努力を

 

人間、そう簡単に気持ちが割り切れるわけではない。ナオミさんも迷いながら、苦しみながら彼との関係を続けている。

 

「一時期、彼が『会いたくてたまらない』と自宅近くまで押しかけてきたことがあるんです。でもそれをされたら、私はもう二度と彼に会えない。そう言って分かってもらいました。お互いに苦しいけれど、これは恋だから、恋としてきちんと向き合おうと話しています」

 

いずれ彼が結婚するときも来るかもしれない。そのことも彼女は想定済みだ。

 

「もちろん、彼が結婚していくことを私は止められない。そのときは潔く別れるつもりです。彼は当分結婚なんてしないと言っていますが」

 

なかには、お互いに結婚して初めて五分五分だから付き合いやすくなるという人もいるが、ナオミさんはそうは考えていないという。

 

「彼が独身だから私に時間を合わせてくれている。お互いに既婚となったら時間を合わせるのはもっと難しくなる。それに恋は情熱だから、きっとそんなに長くは続かない。お互いの炎がおさまったらきっとあとは消えていくだけ。そういう覚悟はしています」

 

独身男性と恋愛している妻たちの多くは、どこか達観している。恋が終わるときのことまで視野に入れて付き合っているのだ。

 

「今、この一瞬を心ゆくまで楽しむ。明日会えなくなってもいいと思っています」

 

彼女はきりっとした表情でそう言いきった。

 

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ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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