「風邪にかかったとき、薬を必ず飲む医師は2割以下」という結果を医師(私)はどう考えたか

ヘルス・ビューティー

今村甲彦

「風邪にかかったとき、薬を必ず飲む医師は2割以下」という結果を医師(私)はどう考えたか

■風邪に罹患、医師で「必ず服薬」は2割以下

 

今回は、医療者自身の服薬に対する意識についてお伺いしました。

 

(略)

 

インフルエンザでは概ね7~8割が「抗インフルエンザ薬」を服用すると答えましたが、生活習慣病では、「必ず服用」は4割弱から5割強に。風邪では1割から3割とバラつきがありました。特に、生活習慣病にかかった時、薬物治療を行うかどうか、医療従事者でもその判断は迷うようです。

 

風邪の時に「必ず服用する」と答えた割合が高かったのは、「その他の医療従事者」で28%、最も少なかったのは「勤務医」で13%でした。風邪は「服薬しない」を選ぶ割合も高く、特に勤務医の20%は「服用しない」を選び、「必ず服用する」が「服用しない」よりも少ないという結果になりました。

 

※医療従事者専門サイト「m3.com」調べ

 

なるほどですね。私自身も風邪では薬はほとんどのみません。幸い風邪をひくこと自体がほとんどないので、機会そのものが少ないのですが……。この記事のように、多くの医師は風邪で薬を飲むことは少ないと思われます。

 

通常、“風邪”というと、“かぜ症候群”。つまり、“急性上気道炎”のことを示します。急性上気道炎の原因のほとんどはウイルスです。

 

よく言われていることですが、ウイルスには抗生剤は効きません。抗生剤は効きませんが、たいていは免疫力で治癒することが可能です。咳や発熱など、症状がきつい場合に咳止めや解熱剤などを処方します。

 

咳は異物を除去するための体の防御反応として出ている面もあり、よほどきつい場合以外は薬を飲む必要はありません。ただし、ウイルスをまき散らす可能であるので、人前ではエチケットとしてマスクをした方がいいでしょう。また熱に関しても、発熱した方が免疫力が高まるので下げる必要はありません。

 

38度の熱だから下げるのではなく、熱で身体がキツイ場合に下げるべきであり、そうでなけれなれば無理に下げなくても大丈夫です。欧米では、風邪で受診しても、解熱剤ぐらいしか出してくれません。これは不親切な訳でなく、処方しても効果がないと知っているからです。

 

 

「注射してほしい」というリクエストもあるのですが、風邪を治す注射なんて存在しません。あれは昔の悪しき風習で、医者が熱さましの注射をしたり、ビタミンや栄養剤の点滴をしていた名残なのです。もしも風邪で注射を勧める医者がいたらあやしんだ方がいいでしょう。そもそもビタミンや栄養剤は風邪の診断名で処方することはできません。熱さましの注射なんてショックなどの副作用の方が問題視されておりもっての他です。

 

風邪の治療は、昔から言われているように「体を温かくして、水分や栄養を十分とってゆっくり休む」。これが一番なのです。免疫力を有効に利用して治療することが一番の特効薬です。

 

ただし、風邪以外の場合は薬が効果がある可能性があります。インフルエンザの初期の場合は症状を緩和することができますし、肺炎を発症した場合には抗生剤が有効になります。発症するかもと予防的に飲む抗生剤は効果がないとされています。

 

必要なのは、風邪なのかそうでないのかという点でしょう。高齢者や心臓や肺の病気を持っている人、糖尿病や免疫力の低下している人などは、逆に「風邪だと思っていたら肺炎だった」ということも少なくありません。38度以上の熱が続く、咳がひどい、息苦しい、ぐったりしているなどの症状がある場合は医療機関に相談した方がいいでしょう。また症状が「いつもと違う」というのも治療を必要としているサインのことがあります。本人や周囲の人のしかわからないことも多いので、「いつもと違う」場合は申告した方がいいでしょう。

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今村甲彦

医師。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医。久留米大学病院高度救命救急センターを経て、現在は地域の中核病院で内科診療および内視鏡検査に励む。「患者さんの声に常に耳を傾...

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