なぜいまだに「G-SHOCK」人気は衰えないのか? 「タフ」なだけでは35年も生き残れないはず…

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カシオの「G-SHOCK」の人気が衰えないどころか、今や90年代を上回るほどの人気なのだという。それはそうだろうというか、もはや「G-SHOCK」は、正しく評価された腕時計の名品なのだ。それこそ、発売された当初は、「良い時計」だという評価はされつつも、どこかキワモノというか、「カシオだからなー」的な評価だった。

 

何といっても見た目がゴツかったし、デジタル時計の価格がとても下がっていた時代だった。その中で「丈夫」とか「防水」と言われても、今一つピンと来ないまま、しかし、そのメカっぽさ、各種センサーが入った多機能性には惹かれるものがあり、「温度が計れるんだぜ」とか、よく分からないこと言い合って、お互いのモデルを見せあっていたりした。それは、どちらかというとガジェット的な面白さだった。

 

その後、限定モデルやBaby-Gなどの発表で、ファッションアイコン的な存在になっていくというのも、何とも凄いというか他にはない方向性だった。マニア向けのガジェット的な製品が、ファッションの世界でヒットした例というのは中々無い。しかし、そうやって、性能方面ではマニアに、デザイン面ではファッションとして、一定の評価を得ていった。しかも、買いやすい価格で、そして、ここでようやく登場するのだけど、ラフに使っても、まず壊れない。ソーラータイプなら電池も充電も不要という気楽さまで付いてくるのだから、売れない訳がないのだ。もはや間違いのないアイテムとして定着していった。

 

 

■「タフ」なだけでは人気は出ない?

 

しかし、この「タフ」であることが売りになっている製品というのは、「タフ」であるだけでは、あまり売れないというか人気が出ないのだ。一般的に、機能として「タフ」でなければ製品として意味を成さない製品は、当たり前のように「タフ」だし、それをことさら売り文句にすることはない。プラスチック製のカップは、落としても割れないからといって、それを「タフなコップ」という人はいないし、革のカバンは簡単には破れないけれど、「このカバンは破れにくいんですよ」と取り立てて言う人はいない。

 

「G-SHOCK」は、一般的に落としたり水没させたりしたら壊れる腕時計だからこそ、「タフ」であることが売りになる。そして、そういう製品がタフであると、やっぱり使う側としては、かなりストレスが軽減されるのだ。そして、その製品が高機能であればあるほど、「タフ」であることは価値になる。洗面器を落としても気にしないけれど、スマホを落としたら気にするということだ。

 

ただ、ここで優先されるのは、タフであることではない。iPhoneが売れているのは、やはり、丈夫さよりも機能やデザインを取る人が多いということだ。画面が割れたままでも、使い続けるのは、丈夫さ以上に使いたい何かがあるからなのだ。そして、私たちはつい「私は落としたりしないから大丈夫」と思ってしまう生き物だ。「落としたって、簡単には割れないだろうし」とか思うのだ。全てのものを丈夫さ順で選べば良いのなら、世の中楽ちんだが、そうはいかない。

 

 

■笑っちゃうほど丈夫だと「魅力」になる

 

では売れている「タフ」な製品とはどういうものかというと、それは「G-SHOCK」のように、タフでなかったとしても魅力的な機能がある製品が、ビックリするくらいタフだったりする場合だ。例えば、オリンパスのデジカメ「Tough TG-5」は、レンズを写す対象にくっつけて撮影できる顕微鏡モードを備えていたり、シャッターを押す前から記録を始めて決定的瞬間を逃さない機能があったりと、スマホでは撮れない写真が簡単に撮れるコンパクトデジカメの名機なのだが、その上、防水、防塵、耐衝撃の機能が充実。

 

ちょっと落としたり、水に浸けても平気だから、どんな時でも取り出して写真を撮ろうという気になる。カバンの中に適当に放り込んでも大丈夫だから、いつでも持っていこうという気になる。カメラとしての性能が良いから、それを使おうという気にさせるための「タフ」が効いてくるのだ。そして当然のように人気カメラになっている。

 

映画「Mr.&Mrs. スミス」で、パナソニックの「タフブック」の丈夫さが、ギャグのように扱われていたけれど、あのくらい丈夫でないと「タフ」は名乗れない。「タフ」ツールの人気は、その製品そのものの性能と同時に、行き過ぎたくらいにタフであることも重要。笑っちゃうくらい丈夫というのは、それだけで魅力なのだ。

 

Design88による恐竜サングラスは、ハンマーで思いっきり叩いても割れない。誰もいきなりハンマーで殴ったりしないとは思うけれど、そのくらい極端にタフであることも、タフグッズの重要なポイント。そう考えると、タフグッズを作るのは色々と大変だけど、だからこそ、現在市場で一定以上の人気を保っているタフアイテムは、それだけで、名品かもと考えていいのだ。あ、かっこ悪過ぎるのは避けた方がいいけどね。タフであることで他の何かを犠牲にしてはいけない。「G-SHOCK」は伊達にファッション人気が出たわけではないのだ。

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小物王

納富廉邦

フリーライター。グッズの使いこなしや新しい視点でのモノの遊び方などを得意とし、「おとなのOFF」「日経トレンディ」「MONOマガジン」「夕刊フジ」「ココカラ」などの雑誌をはじめ、書籍、ネットなど、さまざまな...

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