元SMAP3人「新しい地図」の“逆”忖度──“ハンデがある人”の希望となれるか?

エンタメ

日本中の話題をさらった「72時間テレビ」からひと月。


香取慎吾さん、稲垣吾郎さん、草彅剛さんの“ヤンチャにもほどがある”リスタートは、今年人々を最も勇気づけた男たちに贈られる「GQ」2017年インスピレーション・オブ・ザ・イヤー受賞をもって、鮮やかな完成を見た。


「72時間テレビ」の告知では短パンの体操着で組体操をやってのけ、ヲタの胸に住む“オカン心”をハラハラさせた彼ら。これが一転、「GQ」では洒落たタキシードで微笑みかけ、これまたヲタが飼う“カノジョ心”をスマートに抱きすくめてみせた。好評の同誌は完売が続出、異例の重版を決めたという。“おもしろ”でぶったまげさせて、“華麗”に押し倒す。まさに「天晴れ」としか言いようのないシークエンス。3人のリスタートは、私たちに二つの福音をもたらした。

 

 

■忖度なき忖度とは…

 

ひとつは、なんといっても“逆”忖度! 「忖度なき忖度」とも言うべき荒技で、しっかりとスタートダッシュを決めた彼ら。


森且行さんとの再会や、SNSを通じたファンとの交流など、「そのうちあるかも…」のすべてを一気にやりきったスタイルは、「中途半端な忖度は逆に失礼。全力でぶつかることで礼とする」という心意気を感じる。

 

彼らのスタンスは、一度レールを外れた人たちに大いなる勇気を与えた。すなわち、たとえば正社員といった王道から降りても、険しく楽しい“けもの道”は自ら切り拓けること。また、どんな足取りでその道を行くかは自分たちしだいだと、教えてくれた。

 


■城を出た王子と村娘


もうひとつは、いつも素敵な感動をくれる彼らが「甘える、頼る」姿を見せてくれたこと。SMAP時代から彼らを応援するファンの女性は、この喜びを「なんか、村娘気分を味わってる!」と喩えてくれた。

 

「城から降りてきた王子たちと、嬉し恥ずかし交わってるみたい」

と。

 

香取さんはインスタ、草彅さんはYouTube、稲垣さんはブログと、まだ不慣れなSNSの海に漕ぎ出した彼らが、手探りでこれに臨むさまは、誠に好もしい。ツイッターで香取さんが「これで合ってるかな?」とつぶやけば、ファンはすぐさま「大丈夫!」と返せるし、稲垣さんは頻繁にブログを更新、草彅さんはファンの「いいね!ください!」にきめ細かく応えてくれたりもした。


たしかに、「もう王子ではない。そなたらと共に歩もう」という声が聞こえてくるようだ。与え、受け取るだけでなく双方が支え合う“インタラクティブな関係”が始まったことは画期的だし、明らかに彼らへの心理的距離が縮まった。


この土台を築くまでが「新しい地図」の“これまで”だとすると、その先はどうなるか? 私は彼らが、“ハンデをもつすべての人”の支力となっていくと読む。


くしくも、香取さんは2020年パラリンピックのスペシャルナビゲーターに就任。また、稲垣さんとともにノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー」のCMに出演することが発表された。パラリンピックは、障がい者のスポーツ参加を応援し、オールフリーはアルコールやカロリーの縛りを解く飲み物だ。いずれも、“ハンデのある人”がそれに負けず食や人生を楽しむことをコンセプトにしている。


だが、今の日本に“ハンデから完全に自由な人”なんているだろうか?


年齢で、性別で、職場や学校で、家庭で、学歴で、経済力で、あるいは容姿や身体機能、またコミュ力といったもので。なんらかの不自由さ、息苦しさを感じている人は、とても多いと思う。たとえば彼らと同じ40代の人は、人生の折り返し地点に立ち、いろいろと逡巡する年頃だ。同じ痛みをわかちあえる彼らの存在は、とても頼もしい。


「逃げよう。」とは、彼らが公式サイトで発信したメッセージだが、それは「卑怯なトンズラ」ではなく、ハンデを逆手に取った幸福へのアプローチ。

 

“王道”でなくていい。

オリンピックではなく、パラリンピックから。

ビールではなく、ビール風飲料から。

 

新しい地図は、「ハンデがあっても強く楽しくそれを跳ね返す、たくましい人たちの象徴」として、次代の強烈なアイコンとなるに違いない。

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ジャニヲタ・エバンジェリスト

みきーる

ジャニヲタ・エバンジェリスト、女子マインド学研究家。出版社勤務を経て、ライター&編集者として2000年に独立。女心を知って楽しく生きるためのライフハック“女子マインド学”を提唱。ふだんはファッシ...

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