今年のあなたは「変な人」だった? どう「変」であるべきかを、ハウステンボス再建の立役者に学ぶ

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「変なホテル」と一気にタイプして検索してみたい気持ちを抑え、そのホテルがどれだけ有名なのかを知るべく、私はゆっくりと文字を入力した。「へん」の時点で検索エンジンは私が偏頭痛に悩んでいると予測してきたが、「へんな」と入力するやいなや、かの有名な変なおじさんよりも上に、変なホテルが候補にあがってくる。ホームページを見てみると「大好評の変なホテル宿泊プランはこちら」と出てくる。念のため補足しておくと、「変な」という形容詞は当然ホテルにかかっているため、宿泊プラン自体は正当性があり、ホームページは白が基調の明るいスタイリッシュなデザインになっている。

 

『変な経営論 澤田秀雄インタビュー(講談社現代新書)』(桐山秀樹‎、丸本忠之/講談社)は、大手旅行会社エイチ・アイ・エスの創業者で、最近ではハウステンボスを再建、変なホテルを創設したことで有名な澤田秀雄氏の、未来を切り開く発想法の秘密を記した一冊だ。

 

成熟社会といわれる今の世の中では、一分野では対応できないような複雑な問題が社会に次々と現れ、ビジネスにおいても柔軟に分野をまたぐようなアイデアが求められている。澤田氏が将来注目しているのはホテル・ロボット・エネルギー・植物工場で、一見さほど関係ないと思えるこれらの事柄は密接に関わっているという。澤田氏は、書中で「観光ビジネス都市」という造語によって、ハウステンボスの将来をこう思い描く。

 

観光地であるハウステンボスにさまざまなベンチャー企業が集結して、世界最先端の技術を実証実験する。そして、ここで生まれたテクノロジーを世界に売る。そんなイメージだ。単なるテーマパークではない。ビジネス都市なのである。

 

様々な働き方が提唱・検証されている中で、観光地・テーマパークの中でベンチャービジネスが展開されるというのは非常に斬新に聞こえる。しかし、本書を読み進める内に、変なホテルでは実際既にそれが行われていることが分かる。

 

変なホテルでは受付・クローク・床掃除・窓拭き・草刈りなどがロボットによって行われている。200体以上のロボットに対して設備投資がかかっているものの、これからロボット技術が発展していくのは間違いないし、人間のスタッフ数は一桁に抑えられているため長期的な目で見ると損ではない。宿泊客からの声をもとにロボットを改善でき、メーカー側としてもありがたい。さらに、ロボットの働きぶりを見た宿泊客がロボットを購入し、その仲介手数料が入る。

 

実践しながら改善していくというこのようなスタイルを、澤田氏は海外個人旅行の苦労になぞらえる。学生時代に西ドイツで学び、さらに世界中を旅した経験は澤田氏にとって貴重な財産だという。

 

ビルマで安宿の薄汚れた天井をながめていたときは、「あれをやっておけばよかったな」「あれに挑戦しておけばよかったな」と後悔ばかりで、涙が流れた。このまま後悔しながら死ぬのだと思った。それ以来、失敗することより、挑戦しないことのほうが恐怖になったのだ。

 

最後に補足しておくと、「変な」というのは進化し続けるという意味合いで使われている。経営者・起業家だけではなく、日々の心構えそのものについて学ぶべき点にあふれた、今年の自分を振り返るのにピッタリの一冊だ。

 

文=神保慶政

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