壇蜜に「たべたいの」と言われてみたい! オクラから魚肉ソーセージまで…食に関するあんなこと、こんなこと

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『たべたいの』(壇蜜/新潮社)

グルメレポート、通称「食レポ」は、レポーターのセンスが問われる。幼い頃から現在に至るまでにその人が口にしてきたあらゆる食べ物が指標となり、いわばその人の食の遍歴を露呈することになるのだ。目の前の食べ物がいかに魅力的であるかを具体的にアピールするためには「味」だけでなく、「香り」「食感」「音」「見た目」など五感を駆使して、舌の記憶の引き出しを開け、相応しい表現を探さなければならない。「食欲をそそる香り」「パンチのきいた味」「ふわふわ」「シャキシャキ」「宝石をちりばめたような」…情報の受け手の想像力をかきたて食欲に火をつけるような言葉が見つけられれば大成功だ。

 

『たべたいの』(壇蜜/新潮社)は、「食べる」という行為をわざわざ立ち止まって考えず、

 

「はん。食べることに好きも嫌いもあるもんか」という可愛くない考えが浮かんでしまう

という壇蜜のエッセイだ。いわゆる「食レポ」とはまるで逆、体温が低くて、読めばそのテーマの食べ物がほしくなるような内容ではない。壇蜜独特の語り口にイラストが添えられ、淡々と綴られる。

 

 

■賞味期限過ぎて劣化

 

このエッセイには特別な食べ物は出てこない。誰の家にもあり、毎日のように私たちが摂取する身近なものが主体だ。例えば「牛乳」。ここで語られるのは、壇蜜のチャレンジ。内容は簡単で、賞味期限を過ぎた牛乳をいつまで飲めるか、に挑戦するというのだ。そのことに何の意味が? とは聞くまい。牛乳と自らの身の上を重ね合わせているのだろう。太ったり痩せたり疲れた顔をするたびに「賞味期限切れ」「劣化」の烙印を押される“見られる”職業の悲哀を感じとろうではないか。

 

 

■禁断の「4P」 オクラから魚肉ソーセージまで…

 

本書は4つの章に分けられているが、それにとらわれず、壇蜜は、気の向くままに思いを書き記す、まさに何でもありの闇鍋状態。「4P」は、パフェ、プリン、ポップコーン、そしてパンケーキ…女の子が絶対大好きな、今時のスイーツの頭文字の「P」4つだとわかった途端、ほっとしたような、裏切られたような。

 

また、チヤホヤされるのが仕事の人気商売ゆえに、切り口が星型に見えるだけでもてはやされるオクラに嫉妬する一方で、少女時代、毛深さを目立たなくしようとして脱色した腕の毛を「オクラの毛」と呼ばれてしまった苦ーい過去に思いを馳せる。

 

さらには、グラビアのイメージDVD撮影時に、魚肉ソーセージ相手に、噛め、舐めろ、食べろ…あんなこと、こんなことをさせられそうになったり。「食」にまつわるのに“食べない”エピソードが多いのも、壇蜜ならではの「味」なのかもしれない。

 

あまり目立たないのだが、テーマごとに壇蜜オリジナルの俳句が付されているのも見逃せない。

 

夏の夜 舌にあてがう 氷点下
しばれ夜に グミと孤独を 噛み締め

壇蜜に誘われ、浮遊するような「食」の世界へ迷い込んでみてはいかが?

 

文=銀 璃子

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