【ホントは怖いSNS】WHOも“病気”に認定。子どもが「ゲーム依存」から逃れられないワケ

テクノロジー

 

世界保健機関(WHO)が2018年、オンラインゲームやテレビゲームのやり過ぎで日常生活に支障が出る「Gaming disorder(ゲーム依存症)」を、病気の世界的な統一基準である「国際疾病分類(ICD)に加える方針だと明かしました。ゲーム依存はこうして、正式に“病気”に分類されることとなったのです。今回は、ゲーム依存の実態、治療法、SNS的観点から見た恐ろしさを解説していきます。

 

 

■これに当てはまったら「ゲーム依存」

 

WHOでは、ゲーム依存症の症例をこう定義しています。

 

「ゲームをする衝動が止められない」

「ゲームを最優先する」

「健康を損なうなどの問題が起きてもゲームを続ける」

「個人や家族、社会、学習、仕事などに重大な問題が生じる」

 

こんな症状が最低12か月続いた場合、「ゲーム障害」と診断できるようです。ただ幼少期は進行が早いため、この症状に当てはまり重症なら、もっと短い期間で依存症とみなされます。

 

スマホは買ってもらえなくてもゲーム機は与えられている子どもは少なくありません。一方、タブレットやスマホでゲームをする子もよく見かけます。子どもにとって、ゲーム依存はとても身近なのです。なお、LINEやTwitterなどのSNS依存は「その他の嗜癖行動による障害」として、やはり病気に分類されています。

 

 

■3日以上もやり続けて死亡…深刻な韓国のゲーム依存事情

 

2002年10月、韓国でネットゲームを86時間プレイし続けた24歳の男性が死亡しました。男性は3日半以上にわたってネットゲームをプレイ。長時間同じ姿勢を続けたため、エコノミー症候群を発症していたとされています。他にも同年4月、中国でネットワークゲームをプレイしていた高校生が極度の興奮状態で死亡するなど、ゲームに熱中しすぎるあまり命を落とした例は世界中で見られます。

 

こうした背景で韓国では、午前0時から6時まで16歳未満の子どもにオンラインゲームへのアクセス制限を設ける、通称「シンデレラ法」という対策が講じられました。

 

ゲームの中毒性を侮ってはいけません。実際、利用頻度を自分でコントロールできない子どもは少なくないのです。日本にシンデレラ法のような法律はないので、各家庭でルールを決め、利用頻度をコントロールさせるべきでしょう。

 

 

■ゲーム依存は治せるのか

 

ある中学で講演した際、一人の保護者からこんな相談を受けました。

 

「息子がゲーム依存症で不登校になっている。私が勉強しないことをいつも強く叱っていたから…」

 

依存症の多くは、何かの代替手段として、あるいは精神的な逃げ道としてはまっていくものです。この場合も、親に叱られたくないからゲームをプレイした結果、生活は昼夜逆転、一度学校へ行かなくなったことで完全に不登校となってしまいました。ちなみに、「もう卒業できないと思い込んでいるので、ますます学校に行けないでいる」とのことでした。

 

ネット依存もゲーム依存も同様ですが、単に健康被害が出るだけでなく、社会生活や人間関係にも悪影響を及ぼします。生活が昼夜逆転した挙句、学校や会社に行けなくなったり、子育てを放棄したり、離婚に至ってしまう例もあります。まさに、人生が壊れる可能性もあるのです。

 

ゲームを含めたネット依存から抜け出すには、「認知療法」を取るそうです。「始めて得たこと・失ったこと」を考えさせ、今の自分を客観視できるようにします。それで自分の現状を“まずい”と感じられたら、依存性から抜け出すための一歩を踏み出せます。そこからは、利用時間を徐々に減らす訓練が大切です。この中学生の場合も、もう少し早く「はまりすぎている自分を客観視できる機会」があれば、救われたかもしれません。少々時間はかかるかもしれませんが、やはりカウンセリングをおすすめしておきました。

 

 

■ゲーム依存とSNSの深い「つながり」

 

三菱総合研究所の「スマホゲームに関するアンケート結果」(2016年3月)によると、もっともよく遊んでいるスマホゲームを知った経緯について、一位は「友人・知人からすすめられて」(39.3%)で、「友人からSNSを通じて招待されて」も12.3%でした。友達に勧められてゲームをプレイする子どもは少なくありません。

 

また、SNS的な要素のあるゲームや、SNS上で提供されるゲームも少なくありません。たとえば、LINEと連携するLINEゲームは、「友だち」のランキングが表示されたり、友だち間で体力回復のアイテムを送り合ったりする仕組みがあります。また、LINEを通じて友だちを新しいゲームに招待する仕組みもあります。

 

「友だちに招待されたからゲームをやめられない」「友だちとランキングを競っているから続けないと」という話を、ある子どもから聞いたことがあります。人間関係やSNSのつながりは、ゲームを知るきっかけになると同時に、ゲームをやめられなくなるきっかけにもなるのです。

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ITジャーナリスト

高橋暁子

元小学校教員。Webの編集者などを経て独立、現職。 書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。SNS...

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