他人を攻撃せずにはいられない人たち…SNSにはびこる悪意

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SNSでは「ネトウヨ」「左翼」といった単語を散乱させ、他人を攻撃する人間が絶えない。しかし、よく文章を読み込んでいくとまったく相応しくない文脈で「右翼」や「左翼」などを使用しているケースが目立つのだ。目にするだけでもおぞましい人種差別的なスラングにも同様のことが言えるだろう。

 

 

Twitterをやっていて「文字は読めるけど文章は読めない人」の多さに驚きませんか。

 

そんな問いかけからロマン優光の新著『SNSは権力に忠実なバカだらけ』(コアマガジン)は幕を開ける。著者が本書で問題視しているのは、最初から「答え」ありきで他者を貶めずにはいられない悪質なSNSユーザーたちである。著者は躊躇せず、そんな人々を「バカ」と呼ぶ。そして、「バカ」の本質と、「バカ」が支持する人間たちの傾向を解き明かしていくのである。

 

いつの間にか、ネットは「偏見」としか言いようのない決めつけが横行するようになってしまった。著者は冷静に「自分とは違う陣営の中から異常な人間を見つけ、それを基準にしてしまう」ことが問題なのだと説く。

 

こうした問題が集約されているのが2017年9月に起こった「水原希子叩き」だろう。水原さんが出演しているビールのCMが公式アカウントに上がったところ、コメント欄が彼女の国籍に関する誹謗中傷で埋め尽くされたのだ。彼女を批判したネットユーザーの多くは「日本人が日本のCMに出てほしい」「反日的な行為をSNSで行った人間を日本企業のCMに起用しないでほしい」と主張した。しかし、水原さんに限らず日本で活躍している外国籍のタレントは大勢いる。水原さんの「反日的な行為」とは、かつて中国で炎上事件を引き起こした際に「日本人でないから許して」と発言したというものだが、該当する動画を見ればまったくのデマだということが分かる。

 

「言ってもいないことを捏造してまで気に入らない相手を攻撃する」SNSの現状を著者は「気持ち悪い」とバッサリ切り捨てていて痛快だ。しかし、そこには「人にされたら嫌なことを自分もしない」という非常に基本的なルールが働いている。SNSはネガティブな感情を発散させやすい場なだけに、自戒もこめて、人としての基本に立ち返って利用したいと感じた。

 

SNSを騒がせている有名人に対する批評眼も冴え渡っている。とりわけ、「出家騒動」が大きく報道された清水富美加を「悪くない」とする文章は大衆の盲点をつく「正論中の正論」である。事件の表層だけで当事者の思いを語ることは、問題の本質に目を背ける行為になるだろう。

 

本書が主張しているのは、大きな権力に寄りかかって生きることのバカバカしさである。有名人の発言を楯にして他人を攻撃したり、政治的主張だけで他人の人間性まで決めつけてしまったりするのは思考停止そのものだ。本人が信じている「権力」が間違うこともあるという発想が、すっぽりと抜け落ちているからである。著者の文章は辛辣に思えるかもしれないが、ラストまで読み通すと語り口が冷静なトーンで貫かれていると分かる。SNS時代で自我を保つには、著者のようなドライな視点もまた重要になるのだろう。

 

文=石塚就一

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