時短トレンドに逆行!? メガネスーパーの社長があえて「10時間会議」を行なう理由

ビジネス

 

最近のトレンドとして、会議は短く、最小限に、目的意識をもって……、いかにシンプルで効率的にするかというのは常に言われていることです。いろいろな会社で「会議改革」の取り組みが行われていて、会議に使う総時間数に上限を設ける会社や、座らずに立ったまま開催する会議など工夫している話がありますが、そのどれもが「短時間で効率的に」というものです。

 

そんな中、経営的にどん底だったメガネスーパーを立て直すために外部招聘された「V字回復請負人」と言われる社長が行う会議は、ノンストップで10時間、休憩時間もないという記事がありました。

 

 

■時代に逆行するような会議を敢えてやる理由

 

このタイトルだけを見ると、時代に逆行するような会議をあえてやることで成果につなげているように見え、それで興味を持つ人もいると思いますが、中身を見ていくとその前段にいろいろな経緯があったことがわかります。

 

この社長は、かなり現場に入り込んで、社員と直接のコミュニケーションを重視し、自ら率先して行動して模範を見せるような、ある意味泥臭い改革をしています。マネージャーから上がってくるフィルターのかかった情報が信用できないという理由からです。就任当初は「ダラダラと会議ばかりしていて、物事が決まらない」「場当たりの議論が多く、何でも現場のせいにする」などという問題が挙げられていますから、初めから10時間会議をやろうとしていた訳ではありません。

 

直接現場に関わり、自身が即断即決で物事を決め、その輪を社内に広げることで改革を進めていこうとする中で、それを続けるには自分の身は一つという物理的な問題があり、その解決のために全員が一堂に会して部門横断で開くことにした全体会議が、この10時間会議と言われるものでした。開会したら休憩などは一切せず、ただし飲食もトイレも自由で、社員には「関係者がいてもいなくても、構わずに議論は進め、決めるべきことを決めてしまう。絶対に待たない」と伝えていて、とにかく時間がもったいないので、合理的に考えて行きついたやり方とのことでした。

 

 

■効率を追求した結果の10時間

 

会議の開催方法も進め方も、当初はかなり反発があり、半ば強引に説き伏せて始めましたが、緊張感が生まれて白熱した議論が展開されるようになったとのことです。つまりこの10時間会議は、あくまで社長がやりたいことの実現方法を考えた結果であり、社長にとって最も合理的で効率的なやり方として行きついた形がこれだったということです。

 

ここで他の会社が、「そうか、うちでもこれをやってみよう」といっても、それが効果的だと言える背景や前提がない限り、社員から反発を受け、仕事の効率は下がり、まさに時代を逆行する会議になってしまうでしょう。メガネスーパーでも、もしこれ以上に有効な方法が見つかったとしたら、社員の行動や組織環境などの様子が変わってきたとしたら、たぶんこのやり方に固執することはないでしょう。

 

 

■尖った事例やトレンドを冷静に見極める

 

こういう尖った事例やトレンドを安易に取り入れたことによる失敗は、いろいろな会社での過去の様子を見ていても、本当にたくさんの例があります。成果主義にそぐわない業態の会社がこれを取り入れて、業績低下や組織の混乱を引き起こしたり、他社に感化された社長による組織の引き締めで、多くの社員が辞めてしまったり、私が見てきた中でも数多くの失敗例があります。

 

同じことをやったからと言って、どこでも同じように成果が出るものではありません。成果につながっていることには、それなりの背景と理由があります。トレンドや他者の成功事例に振り回されず、自社の状況を冷静に見極めなければなりません。

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小笠原隆夫

IT業界出身で現場のシステムエンジニアの経験も持つ人事コンサルタントです。 人事課題を抱え、社内ノウハウだけでは不足してその解決が難しい企業、100名以下から1000名超の企業まで幅広く、人事制度構築、...

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