トヨタ社長に「選んでくれてありがとう」と言わしめるアロンソ…世界は彼を中心に回っている!?

車・交通

 

フェルナンド・アロンソのル・マン24時間参戦が正式発表された。TOYOTA GAZOO Racingからの出場だ。アロンソは2017年11月に行われたWEC(世界耐久選手権)ルーキーテストでトヨタTS050ハイブリッドをドライブしており、「ル・マンに出るならトヨタ」の公算は高かった。最大のライバルだったポルシェが2017年限りで撤退したこともあり、2018年のトヨタは勝利に最も近いチームと言っていいだろう。


トヨタ8号車に乗るアロンソがコンビを組むのはセバスチャン・ブエミと中嶋一貴で、どちらもF1参戦経験があるドライバーだ。7号車は2017年と同様、マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの組み合わせである。

 

アロンソは6月17日~18日に決勝レースが行われるル・マン24時間だけに出場するのではなく、WECの2018-19年シーズンにフル参戦する。「スーパーシーズン」に位置づける新しいシーズンは、シリーズのハイライトであるル・マン24時間を最終戦に組み込むため、イレギュラーなカレンダーとなっている。2018年の6月に第2戦としてル・マン24時間を行ったあと、2019年の6月に最終戦(第8戦)として再びル・マン24時間レースを行うのだ。


つまり、1シーズンに2回、ル・マン24時間が組み込まれているのだ。シーズンを通じて参戦するアロンソは、2回のル・マン出場を約束したことになる。

 

 

■アロンソのためなら、開催日程もいとわない!?

 

アロンソに出場してもらうため、WEC富士6時間は開催日程を変更すると言われている

では、F1はどうするのかというと、マクラーレン・ルノー(ホンダとの3年間におよぶコンビを2017年限りで解消した)から継続参戦するのだ。2017年はインディ500に出場するためにF1モナコGPを欠場したが、2018年はF1を優先する。そのため、F1第18 戦アメリカGPと日程が重なっているWEC第4戦富士6時間を欠場する予定だ。


ところが、アロンソが出場するならと、WEC富士6時間は開催日程を変更する調整に入ったと伝わる。世界はアロンソを中心に回っているようだ……。


ル・マン24時間に向けた準備は万端だ。アロンソは1月27日~28日、アメリカ・フロリダ州デイトナで開催された「デイトナ24時間」に出場し、プロのレーサーになって初めて24時間レースを経験した(ゴーカートで経験あり)。デイトナ24時間は市販車ベースの「GTD」と「GTLM」、レース専用に開発された「プロトタイプ」の各クラスで構成されるが、アロンソがドライブしたのはプロトタイプのLMP2(リジェJS P217)で、WECでドライブするマシンと同種だ。

 

アロンソは「デイトナ24時間」に出場。初めて1台のマシンを3人でシェアする経験もした


LMP1に分類されるトヨタTS050ハイブリッドはLMP2よりもはるかに高性能だが、プロトタイプであることに変わりなく、アロンソにとってはいいトレーニングになったようだ。2018年にル・マン24時間に出場する可能性は「フィフティ・フィフティ(50/50)」とデイトナでは語っていたアロンソは、デイトナ24時間参戦の意義について次のように説明していた。


「練習走行、予選、再スタート、トラフィック(前を走る遅いクルマ)の処理など、いろんな経験ができた。とくに夜間走行の経験ができたのは、とても良かった。ドライバー交替を経験できたのも有益だ。次のドライブまでどれくらい休めばいいのか、レースの中盤でどのように集中力を保てばいいのか、学ぶことができた。インディアナポリス(2017年のインディ500)も初めての経験で多くを学んだが、デイトナでも同じだ。いつかル・マンに出場することになるだろうが、その時は『2回目』になるわけで、しっかり準備ができた状態で臨むことができる」

 

「夜間走行の経験ができたのは、とても良かった」とデイトナ24時間について語る

アロンソにとっては、3人のドライバーで1台のマシンをシェアするのも初めての経験だった。


「(F1のような)シングルシーターの場合は、車両のセットアップにしてもコクピットの快適性にしても、自分が完璧だと思うようにアレンジすればいい。だが、プロトタイプは妥協が必要だ。実を言うと、シートポジションが合っていなかったから右肩と足が痛い。ただ、F1に比べるとGフォース(加減速時や旋回時に体にかかる重力)が小さいから肉体的には楽。一方で、24時間レースでは長い時間ドライブするので、それなりに疲れるね。夜はあまり眠れないし」


F1モナコGP、インディ500、ル・マン24時間の世界三大レースを制して「トリプル・クラウン」を手に入れるのがアロンソの夢だ。2017年はインディ500に挑戦したが、勝利を手にすることはできなかった。ル・マン24時間はどうだろう。


アロンソのトヨタ入りを受け、トヨタ自動車の豊田章男社長は次のようにコメントした。

 


「LMP1のクルマに乗ってみたい…、そしてル・マンを走りたい…勝ちたい…。その想いを叶えるためのパートナーとして、トヨタを選んでくれてありがとう」


トヨタの社長にこう言わせてしまうとは、やはり、世界はアロンソを中心に回っている?
 

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モータリングライター&エディター

世良耕太

モータリングライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1世界選手権やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全...

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