広瀬すずが10代最後の年に挑む“超難役”。悩む自分を後押しした「せっかくだから」のコトバ

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『anone』(日本テレビ系、毎週水曜22:00~)は、今なお人気の『Mother』(2010年)、『Woman』(13年)を生み出した脚本・坂元裕二、演出・水田伸生のコンビによる最新作。広瀬すず演じるヒロイン・辻沢ハリカは肉親の愛に恵まれず孤独に生きてきたが、初老の女性・亜乃音(田中裕子)と出会い、人生に変化が生まれる。“坂元ワールド”とも評される、心に突き刺さるセリフや水田監督のファンタジックな映像は視聴者を物語の世界に誘う。主演として撮影に臨む広瀬に、今の心境を聞いた。

 

~ドラマ『anone』連動企画~

女優・広瀬すず スペシャルインタビュー(前編)

 

■「ラストはどんな感じ?」と聞かれて…

 

 

──ハリカをめぐる物語はヒューマンでもあり、またスリリングでもあります。広瀬さんにはドラマを観ている皆さんからどんな意見が届いていますか?

 

広瀬:バラエティ番組に出演させていただき、出演者の皆さんにご挨拶すると「anoneどうなるの?」と絶対質問されるんです。ほかの現場でも「すごい作品だね」「これからどうなるの?」と聞かれることが多くて。これまでいろいろな連ドラに出演させていただきましたが、これほどの反響は初めてかもしれません。(脚本家の)坂元さんのファンがたくさんいることを改めて実感します。
「ラストはどんな感じ?」という質問が一番多いんですけど、坂元さんや水田監督、プロデューサーさんの頭の中にはきっと、結末についての考えがいろいろあると思うんです。私もどんな風に終わるのか聞いていません。

 

──それだけ作品に対する期待値が高いのだと思います。広瀬さんにとって、皆さんの熱い想いはプレッシャーにもなりませんか?

 

広瀬:普段からとても良くしてくださる先輩がいて、過去にいろいろな面で悔いの残る作品があったそうです。当時、脚本家の方からもらったお手紙に「誰よりこの作品が大好きな者同士、せっかくだから最後まで楽しみましょう」と書かれていた、と話してくれました。私はその話を聞いて、“せっかくだから”ってすごく前向きになれる言葉だと思ったんです。私もこれまで“せっかくだから”を意識することなく普通に使っていたし、そのお手紙は私に宛てられたものでもありません。
でも、先輩の話にすごく勇気をもらいました。ドラマが始まる前、坂元さんの作品で主演と聞いて私自身、「どうしよう」と悩んでいた部分があり、その先輩にだけ相談していたんです。先輩からは「あのね……」。あのねって言っちゃった(笑)。「こんな素敵なスタッフさん、こんな素敵な共演者の皆さんと19歳のときに一緒に仕事できるのは、すずだけじゃん。よかったじゃん」って言われたんです。そう言われてうれしさがこみあげてきました。いまはプレッシャーより、『anone』の現場にいられることを楽しんでいます。

 

 

■「あ、はい」のセリフに見る“坂元ワールド”

 

──“せっかくだから”という言葉に勇気をもらうって、とても素敵ですね。言葉という意味では坂元さんが紡ぎ出すセリフの一つ一つが繊細だったり、意味深だったり、別の意味があったり……。とてもデリケートな印象です。

 

広瀬:例えば、「あ、はい」とか「あ、でも……」という短い言葉でも“あ”ってつくだけで、そこに何か意図があるのかな、とよく感じます。このシーンでハリカは何か別のことを言いたかったのかも、と。坂元さんのセリフはどれをとっても想像力を刺激されるんです。どのやりとりも、心のうちで何を思っているのか考えずにいられない感じです。
セリフのやりとりで、ここまでいろんなことを考えるのは初めてかもしれないです。書かれたものの意図を私がどれだけ汲み取れているか分かりませんが、水田監督は私がものすごく信頼している監督さんなので、その場面がどれだけ繊細で難しくても、「水田監督がOKと言ってくれたから大丈夫」と思うようにしています。

 

──『anone』という作品自体、あまり考えすぎると、メッセージや本質を見失ってしまうかもしれないですね。

 

広瀬:私はもともと深く考えすぎると動けなくなってしまうタイプなんです。『anone』は、観る人それぞれ感じることや答えが違うドラマだと思うので、「私の感じていることはこういうことです」「広瀬すずが見つけた答えはこうです」というものを大切にしながら演じています。

 

 

■「自分が主演だということを忘れているときもあります(笑)」

 

 

──水田監督とは、今回共演されている阿部サダヲさん主演の映画『謝罪の王様』(13年)でご一緒していますね。主演として、水田さんとのお仕事はいかがですか?

 

広瀬:阿部さんだけでなく、(田中)裕子さんも『Mother』『Woman』で水田監督とご一緒していて、出演者の皆さんが水田監督を信頼されているのをすごく感じます。素晴らしいチームワークに、ついていくのに必死です。最初は「うわ、これもプレッシャーだな」と感じたんですけど、撮影が始まると、水田監督も共演者の方々も、私が台本を読んだだけでは分からなかったもの、理解できなかったものを引き出してくださるんです。無理に気持ちを作らなくてもセリフが自然と出てきたことがありました。水田監督にもですけど、共演者の皆さんにも身をゆだねながら現場に立たせていただいています。正直、皆さんに甘えまくっています(笑)。

 

──お話を聞いているだけで、現場の良い雰囲気が伝わってきます。共演者の皆さんが猫を飼っているので、空き時間は“猫談義”で盛り上がっている、なんて話も聞きました。

 

広瀬:皆さん本当にお優しいです。主人公を演じさせていただいいていることは本当にありがたいですけど、亜乃音さんをはじめ、どのキャラクターにもドラマがあって、ドラマの中でその人の時間がしっかり流れています。ハリカだけの、ハリカ中心の話ではないので、こうしてインタビューなどで「主演はどうですか?」と聞かれないと自分が主演だということを忘れているときもあります(笑)。

 

──ベテランの共演者の皆さんが自然と広瀬さんを支えてくださっているんですね。

 

広瀬:お芝居ではいつも引っ張っていただいています。皆さんのお芝居のリズムがすごいんです。坂元さんのセリフは速いテンポにすることが大事なときもあれば、意識的にゆったりしなくてはいけないときもあります。どの場面も間の取り方がとっても難しくて。裕子さん、阿部さん、瑛太さん、(小林)聡美さん……。皆さんと演じているからこそ、この作品ならではのリズムを生み出すことに全力で挑戦できています。

 


日テレ水曜ドラマ

『anone』(あのね)

毎週水曜22:00~
脚本:坂元裕二
音楽:三宅一徳
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:次屋尚
演出:水田伸生
出演:広瀬すず、小林聡美、阿部サダヲ、瑛太、火野正平、田中裕子ほか
製作著作:日本テレビ

HP:https://www.ntv.co.jp/anone/

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田中あおい

エンタメライター

田中あおい

1969年神奈川生まれ。エンタメ系を中心に執筆するフリーライター。20代前半、テレビ情報誌編集部で働き始めたことをきっかけに、この業界に。テレビ離れと言われる状況が良い方向に変化するのを願いつつ、原稿を書く...

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