SMAP解散は「いい人」をやめた現代の40代らしい決断だった

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「いくつになってもあの頃のまま走り続けよう」そんなロマンを私たちに振りまきつづけてくれたSMAP。40才を越えてもまだトップアイドルとして君臨し続けた彼ら。「いい仕事して、いい仲間に恵まれて、しっかり稼いで、寄付金も出して、理想の中年生活をしている なあ…」そんなふうに感じていた同世代の方も多いのではないでしょうか?

 

木村拓哉氏は周囲の反対を押し切り16年前に結婚を選択、家族を持ち、それがグループの最初の崩壊と言われています。確執は解けないまま2016年1月を迎えました。「家族の意見を尊重し、家族を守るために会社に残るという選択」。この木村氏の決断が解散劇をさらに加速させたと言われています。残りの4人から見た場合、彼は「裏切り者」。同時にグループの存続の危機を招いたとも報道されています。

 

しかし、一般のビジネスマン、そして会社員の視点からみれば、これはこれで1つの「ありうる選択」ではないでしょうか。家族と安定をとる…ここはある意味「会社を辞められない穏健派の"いい人“」の決断とも言えるでしょう。保守的、安定、安全を好む人の思考パターン。家族を持つ日本的サラリーマンの考え方からすればある種一般的と言えます。あるいは「会社幹部を狙う出世競争の覇者」という見方もあります。二重丸の優等生です。

 

しかし、残りの4人から見れば木村拓哉氏は「自分本位な裏切り者」。4人は最初の約束通り元マネージャーのIさんへの仁義を通しました。彼らもまた同時に「Iさんと運命をともにしようとしたいい人」であります。しかしそれでいてジャニーズを見限った「自分本位な人達」ということも言えます。どこに「義」があるか?「 大切なものは何か?」、本人がどのように考えるかで「いい人」と「自分本位な人」の見え方、印象は別れる……これを見せつけられた出来事だったと感じます。

 

つまり、今回はそれぞれが「自分のなかで思う“大切なもの”にしたがって動いた」ということ。木村拓哉氏は「家族」をとり、そのほかのメンバーは「Iさん」を選んだ。

 

これがもし20代、あるいは30代半ばだったら、それぞれの判断は異なったはず。現にこれまで、グループ存続が「大切」であると、それぞれが我慢をしてきたのではないでしょうか。それぞれが「グループ存続」のために「いい人」になってきたのです。注目すべきはこの一連の解散劇 が「40代」で展開されたということです。40代というのは「いい人」をやめて「自分本位に生きる決断の年代」。しかも10代、20代、30代の「実績のない自分本位」とは違います。「社会」や「体制」や「王道」に沿う、あるいは貢献する形で「多くの実績」を残した後の「自分本位」。つまり会社員であればこれでもか!と「いい人」をやった後の「自分本位」ということになります。

 

40代。それは、出世競争の結果が出始める時期。普通の会社では役員候補と一般社員候補に別れる年代です。「競争に勝とうとがんばる人」と「勝負から降りる人」に顕著に別れます。会社を去る人、残る人の最後の決断がなされる年代でもあります。 「いままで我慢してやってこられたけど、もう我慢できない」もしくは「もういいかな、やるだけやったし、これは逃げではない。卒業だ」と思い思いの岐路が生じます。「ここまでやったから新しいことに着手しよう」と自らを前向きにリセットし、後ろ盾とのへその緒を切る。そんな世代なのです。

 

SMAPも例外ではなく「40代ビジネスマン」らしく変化を選びました。生き方、働き方を考え、自分が思う「義」や「理想」に従って「自分を通す」それが「穏健派」であろうと独立などの「強硬派」であろうと、自分を貫く、あるいは貫いても許される、あたらしい挑戦と戦い。そして「本当の自分流」と出会う世代、それが現代の40代 。

 

今この瞬間に新しい働き方、新しい環境、新しい部署、新しい職場、独立……そして会社外で本当にやりたかったことに「パラレルワーク」として挑戦しようとする40代。そんな、新しい働き方を摸索している方も多いと思います。

 

それはある意味正しい「変化」であると私は感じます。

 

60歳まであと正味10年と少し、本当の「自分流の生き方・働き方」にシフトし、そこに「命」を使う。そのためにこれまでの輝かしい、しかし、本来の自分とは少し違う、その嘘を蹴っ飛ばす。「いい人」を辞め「本当に大切にしているもの」のために賭けてみる。その全力疾走の先に「本当の自分らしさ」「自分流の人生」との出会いが待っている気がしてな りません。

 

残りの人生、何に「命」をつかうか?今回のSMAPの解散劇を「40代がこの先の人生を考えるよき機会」に活用すべきです。外からは華々しく見えていても、心中の違和感、もどかしさ、苦しみは当事者にしかわかりません。新しい人生の摸索を、柔軟に考える。残りの夏をそんなふうに過ごしてみるのも悪くありません。

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作家・パラレルワーク研究家

潮凪洋介

著者・作家/ライフワーク・クリエイト協会理事長。著書68冊・累計165 万部。「国民1人に1 つの“社外ライフワーク(パラレルワーク)”を」をテーマに「誰もが社外でもう一つの“好きで得意な仕事・活...

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