「スターバックス顧客満足度ランク外」は、むしろポジティブに捉えるべき!?

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2017年度「JCSI(日本版顧客満足度指数)」の調査結果によると、カフェ部門の顧客満足度指数において、ドトールコーヒーが3年連続で1位を獲得。スターバックスは顧客期待、知覚品質、推奨意向の3指標では首位だったものの、顧客満足では上位4社から外れる結果となった。

 

 

 

スターバックスといえば、1995年の日本上陸以降、若者やビジネスマンを中心に広く支持を得てきた。家(ファーストプレイス)、職場(セカンドプレイス)でもない、サードプレイスを生活の中に提案することで、時に人々を癒し、エネルギーチャージをする場を与えてきた。そんなスターバックスはなぜ顧客満足度の上位4社から外れてしまったのか。

 

 

■急速な店舗数拡大でマスブランド化したスターバックス

 

前提として、スターバックスの顧客満足度がずっと低いのかといえばそうではない。2014年度は初めて顧客満足で1位を獲得し、消費者から高い評価も得ていた。ただ15年度、16年度と徐々にそのランクは下がっている。

 

満足度が下がった原因に「店内でMacなどのPCを開く“意識高い系”の客が多いから」と言う人もいるようだが、私は “スターバックスの急速な店舗数拡大とマスブランド化”に原因があると考えている。スターバックスは1995年の上陸以来、この約20年で急速に店舗数を増やしてきた。2017年12月末のデータによると47都道府県で、計1328軒を展開している。今回顧客満足で1位のドトールは1980年創業で、全国1122店を展開(2017年12月時点)。スターバックスの急速な店舗拡大は比較すれば明らかだ。

 

サードプレイスを浸透させたスターバックス

 

■“憧れのスターバックス”は“身近なスターバックス”へ

 

上陸した頃のスターバックスを思い出してみると、「感度の高い若者やビジネマンがオシャレなドリンクを楽しみ、店内にいるだけで誇らしい気分になるコーヒーショップ」という印象があった。

 

しかし、駅前など好立地での急速な店舗拡大、シーズンごとに変わるキャッチーなフラペチーノなど、メニューを充実させたことによって、スターバックスの客層は広がり、老若男女だれもが入れるサードプレイスになっていった。“憧れのスターバックス”は“身近なスターバックス”に変わってきたと言える。

 

ともなれば、様々な人が集まり、多様な目的で利用されるのは当然で、これがもともとのスターバックス愛好者からするとマイナスに映ったのかもしれない。しかし、この変化は、スターバックスのビジョンにある「サードプレイス」が限定的な顧客だけでなく、広い層に浸透している結果なので、私はむしろポジティブに捉えるべきことなのだと思う。

 

シーズンごとに変わるフラペチーノメニュー

 

■顧客満足度を上げるために「人」と「食」がキーワードに

 

今回はスターバックスを挙げたが、大手チェーン、個人店ともに増え続けているカフェ業態において、顧客満足度が重要なことは間違いない。満足度が低ければリピーターは増えず売り上げが厳しくなっていくからだ。今後、顧客満足度を上げるためにキーワードになることは何か?

 

ひとつは「人」。そして、その人が提供する「ホスピタリティ」だ。世界的に有名なコーヒー専門店のオーナーも、これから求められるバリスタ(コーヒーを作る人)は、「まず、お客様の気持ちを察することができる人」と答えている。「お客様が今日は話しかけて欲しい雰囲気なのか、そっとしておいて欲しい雰囲気なのかを察知してコミュニケーションをとれることが大事。その上で、美味しいコーヒーが作れればさらにいい」とのこと。また別のコーヒー店のオーナーは、「イタリアではバリスタが変わると月の売り上げが100万円変わる。 “人は人に付く”ことを実感させられた」とも話していた。毎日挨拶をしに行きたくなる、暖かいホスピタリティで迎えてくれるオーナーやバリスタのいる店は、今後も残っていくだろう。

 

もうひとつは「食」だ。「カフェはフードメニューが充実していない、美味しくない」と思っている人もまだ多くいるように、日本ではカフェにおける食のイメージがまだ弱い。しかし、カフェやコーヒーの先進国と言われているオーストラリアでは、食との融合が活発で、「美味しい食事を食べた後に美味しいコーヒーを飲む」ことが一般的になりつつある。また、それはオーストラリアにおけるコーヒー文化の発展にも影響している。日本でも海外志向があるカフェのオーナーは、フードメニューを始めているし、大手コーヒーチェーンが今年新業態としてスタートする予定と話している事業も、コーヒーを飲んでもらうために食を全面に出していく、という話があった。

 

例えば、今回の顧客満足度において上位だったドトールコーヒーは、作りたてのサンドイッチをウリにしているし、急成長してきているコメダ珈琲は名古屋発祥ということでモーニングのメニューや、シロノワールといったスイーツメニューにも力をいれている。


 

デニッシュパンにソフトクリームとシロップがかかったコメダ珈琲のシロノワール

 

カフェやコーヒーショップを日常的に訪れる習慣があるオーストラリアや北欧と比べると、日本のカフェやコーヒーの文化は発展途上だ。当然のことながら、大手チェーンと個人店の役割は違う。それぞれがどのようなビジョンと役割をもって顧客の満足度を上げていくか、それが今後の日本のカフェ文化と市場を育てるキーワードになりそうだ。

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カフェ・ジャーナリスト

大井彩子

個性の光るカフェが探せるアプリ&メディア「CafeSnap」代表。全国9000軒以上のカフェ情報を掲載するアプリと、業界を牽引するカフェオーナーやバリスタのインタビューを掲載するウェブサイトを運営。その他、ブ...

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