クルマ離れが叫ばれるなか、なぜマニュアル車は増えているのか?

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Q:最近、外車も国産車もMTモデルが増えてきているような気がします。なぜなんでしょうか?(東京都44歳男性)

 



A:つまるところ、MTには根強いファンが存在することと、自動車メーカーがMTの価値を見直したということにつきます。

 

日本にはAT限定免許があり、その免許で運転できるのは、2ペダルであることが条件であり、トルコンATやCVTだけでなく、DCTやAMTも大丈夫です。それらトランスミッションが多様化し、それぞれ進化して性能が向上し、なにもMTでなくても十分な性能や効率が得られるようになると、日本のようにATの普及が進んだ市場では、なにもMTでなくてもよいのではと多くの自動車メーカーでは考えていました。

 

ところが、違ったんです。

 

性能が云々という話ではなく、MTを操ること自体に喜びを感じる層が少なからず存在すること、そして彼らの期待に応えることが、ビジネスとしても十分に成立することが、自動車メーカーにも理解されるようになってきました。

 

むろん高価なスポーティモデルには、もともとMTを設定している車種も少なくありませんが、もっと身近な、誰でも手の届きそうな車種で、このところMTの設定が増えているのは、MTを求める声に、こうしてメーカーが応えるようになったからです。

 

アルトワークスはその顕著な例。フォルクスワーゲンの現行の高性能モデルや、ジャガーFタイプなどにも、もともとMTがなかったところ、遅れて追加されました。マニアックなファンの多いフランス車にも、もともとMTが多く設定されています。

 

ご参考まで、最近ではレーシングカーでも2ペダルMTが当たり前になっています。それでも、いかにクルマを自在に操れるか、すなわち自分の支配下に置くかという意味では、3ペダルMTに勝るものはありません。

 

いくらDCTの変速スピードが3ペダルMTよりも速いといっても、クラッチを自分で切ったりつないだりできるかにかかっています。なので、ドリフトをはじめ、ジムカーナやラリー、ダートトラックなどの競技では、相変わらず3ペダルMTが主流です。

 

ちなみに、MT自体も進化しています。エンストしそうになったときにエンジン回線数を高めるよう制御したり、クラッチミートの感覚をよりわかりやすくするなど、昔よりも運転しやすくなっています。また、フェアレディZやコルベットのように、シフトチェンジ時にブリッピングして、ヒール&トゥと同じことを自動的にやってくれるモデルも登場してきました。こういったテクノロジーの進化も、MT復権の要因かもしれません。

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モータージャーナリスト

岡本 幸一郎

1968年5月、富山県生まれ。 学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスのモータージャーナリストとして独立。 カテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅す...

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