日本人の完璧主義は異常!? 海外から見たメリット・デメリット

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国籍を問わずオーディオマニアにはこだわり派の多いことで有名ですが、中でも日本のマニアの完璧さは群を抜いているのだそうで、究極の音質を求めるあまり、自宅敷地内に“マイ電柱”なるものを立ててしまう人まで登場したようです。(参照記事:究極のオーディオマニアが行き着く「マイ電柱」)100万円単位で音響投資するとは凄まじい熱意ですが、それを見たゆとり世代では素直に吃驚できず、「気持ち悪い」、「ヘンタイ的」と拒否反応を示してしまう人もいるとのこと。しかしマイ電柱は少し極端としても、海外から見れば、日本には世界でも類を見ないような完璧主義で溢れかえっています。

 

 

■モノづくりへのこだわりと完成度の高い“おもてなし”

 

日本人がモノづくりに深いこだわりを持っているのは世界でも広く知られるところ。多機能な家電類を筆頭とする製造業や自動車産業、100円ショップにずらりと並んだアイディア商品など、ここまで完璧な作動性や利便性を持つ製品の数々は、私の住むヨーロッパではあまり見かけません。また、古くは自動開閉するタクシーからオール電化システムの家など、日本では標準装備だったりするものに驚く外国人も随分目にしてきました。

 

サービス系であれば、かつてのマクドナルドのスマイル0円や標語“オモテナシ”に代表されるように、日本ではおおむね誠実・迅速・正確な接客を期待することができます。レストランでは無料で提供されるおしぼりやお水、お茶に始まり、ストローの口の当たる部分だけ紙袋のついたまま供されるドリンク類など、日本独自の痒いところに手の届くような繊細なサービスも完璧主義のなせる業と言えるでしょう。ちなみにヨーロッパにおいては、良いサービスとはそれなりの対価やチップを払って受け取るものであり、 低価格店や大衆レストランなどは“安かろう、悪かろう”が一般的ですので、日本との差は歴然。

 

この他にも秒刻みで正確かつ緊密に離発着する交通機関や、休日でも希望の時間帯に届けられる宅配便、運転免許証更新や健康診断会場での細かくわかりやすい順番案内など、海外では考えられないような行き届いたサービス例は枚挙にいとまがありません。

 

 

■日本のワーキングマザーは頑張りすぎ! ヨーロッパは…?

 

しかしその中でもっとも完璧主義が顕著であるのは、子育て中の母親たちなのではないでしょうか。昨今では働きながら子育てに奮闘するワーキングマザーも随分増えており、彼女たちの八面六臂の活躍たるや相当なもの。子供の保育所や幼稚園への送迎、学校行事参加、日用品の買い出し、料理とお弁当の準備、家事・育児全般、自宅残業、果てには親の介護までと、一人で複数人分もの役割を完璧にこなしているスーパーママの存在も、ヨーロッパと比べて遥かに多い印象です。

 

一方私の住むオーストリアでは家事・育児を父親が担当することも頻繁で、母親(もしくは父親)の職場復帰後はフルタイムのナニーや家政婦を雇うなど、他人の手を借りることも標準的。そして離乳食に関しては瓶詰の出来合いか、穀類の粉とお湯を混ぜたペースト状のお粥がダントツ人気で、手作りは「したい人がすればよい」といったスタンスです。子供のお弁当には、買ったものか、パンにハムとチーズを挟んだだけのサンドイッチや、せいぜいパスタを持たせるケースがスタンダードという有様! 少し食育にこだわりのある人であれば、このパンやパスタの原料が全粒粉やライ麦製のものに変わったり、オーガニックの果物や生野菜が丸ごと加わる程度ですから、日本とのあまりの違いに驚愕を禁じえません。

 

ただ、そのような緩い子育てだからといって、オーストリアの子供が問題を抱えて深刻な事件を引き起こしたり、栄養失調に陥ったという話はほとんど聞き及びませんし、健康面でも平均寿命が81.5歳(世界銀行統計/2015年)と、日本の83.6歳(同統計)と大差ない様子。こちらの子育てを見ていると、日本の母親たちは総じて完璧を目指しすぎ、もしくは目指すよう周りからプレッシャーを掛けられすぎなのでは?とも思えてきます。

 

 

■完璧主義にはデメリットもある

 

何事も完璧さにこだわる国民性が、世界に誇れる我々のアイデンティティではあるのですが、逆に完璧さが普通であるが故にパーフェクトでないものに対して我慢がならなかったり、すこぶる厳しい評価を下しがちな部分は否定できないところ。例えば、店の従業員の受け答えに不満を感じた来店客が土下座を強要したり、鉄道や宅配便の完璧なタイムマネジメントを追求しすぎるあまり、かえって大事故を発生させてしまったりと、昨今では完璧主義の行き過ぎた事例も多数挙がっています。そして、過度な完全母乳・手料理信仰や、ベビーカー・子供用ハーネス(安全紐)論争などからも窺えるように、この点は母親業に関しても然り。

 

趣味のマイ電柱程度ならまだしも、やはり一部の人間に極端な負担を強いてまで完璧主義を押し通せば、その負の面が色濃く浮かび上がってしまうように思えてなりません。これからどのように完璧主義と手抜き加減の折り合いをつけていくかが、今後の日本社会の課題となりそうですね。

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ライジンガー 真樹

All About「オーストリア」ガイド、ダイアモンド社 地球の歩き方「ウィーン特派員」。 ウィーン移住をきっかけに、オーストリアの歴史・文化・グルメなどの魅力を日本の人々にも伝えたいと願い、CA乗務の傍ら旅行...

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