戦略を練れば「出世」は可能。そのとき役立つ学問と技術とは?

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『戦略的に出世する技術』(加谷珪一/かんき出版)

出世したい。そう願うビジネスマンはたくさんいるが、企業の役員クラスまで上り詰められるのは、ほんの一握り。それどころか、課長クラスでキャリアを終えてしまう人もいる。このままずっと平社員なのか。私たちはどうすれば出世できるのだろう。そう思い悩む人は、ぜひ『戦略的に出世する技術』(加谷珪一/かんき出版)を読んでみてほしい。社内で戦略的に出世する技術を紹介しているのだ。

 

 

■出世したいなら経営学を学ぼう。その理由は――

 

出世する技術を紹介する前に、まずは本書の根幹である「経営」と「出世」の関係について説明したい。そもそもビジネスマンが出世するには、上司からその仕事ぶりを評価される必要がある。だが、なかには自分の好みの部下しか評価しない上司や部下の手柄を根こそぎ奪い取る上司もいるかもしれない。「出世なんて自分には関係ないよ」。そう嘆いている方も多いだろう。

 

しかし特殊な上司やケースを除いて、ビジネスマンの出世には必ず合理的な理由がある。会社に雇われているとあまり意識していないが、ビジネスマンは市場で競争する“商品”のような存在だ。私たちは、同僚(いわば競合商品)に負けないように社内でもっと自分自身を売り込み、その仕事ぶりを買われなければならない。これを活かすのが、「経営」だ。自分自身(=商品)を上司(=市場)に上手に売り込み、その仕事ぶりを買ってもらうことで出世につなげる(=企業が成長する)ということなのだ。これができた人が次々に出世していく。

 

そこで役に立つのが、競争の激しい市場を勝ち抜くために生まれた「経営学」だ。本書では、経営学をいちから分かりやすく解説し、その知識を自身の出世に応用する技術を紹介している。ここからはその技術の一部をほんの少しだけご紹介したい。

 

 

■係長までに理解しておきたい経営戦略論

 

本書は以下の5つの章で構成されている。

第1章:平社員のうちに知っておきたい経営学の歴史と効率的に仕事を進める方法
第2章:主任や係長へのし上がるための経営戦略論
第3章:部下を束ねる課長が理解するべき組織論
第4章:部長になるべく自分自身の存在を売り込んで会社に評価させるマーケティング手法
第5章は、人事で何が起きているのか読み解く役員のためのロジカル・シンキング

このように本書は、全世代に対応した出世の技術を述べている。本書を読んだ私としては、この中でも特に第2章が重要ではないかと感じる。というのも、若手社員のうちは目の前の仕事を効率的にこなすことで誰でも「仕事がデキる人」になれる。だから係長までの昇進は、意外となんとかなる。

 

しかし課長から始まる「管理職」になると、人を管理する仕事がメインになるので、業務内容がガラリと変わる。若手時代は仕事がデキていても管理職で苦戦する人が多いのは、これが理由だ。

 

これを克服するためには「組織論」が必要なのだが、その根幹として「戦略論」も理解しておきたいのだ。課長から部長への階段をつなげるためにも、係長のときから出世を意識した「戦略」を学んでおきたい。その手法が本書にある。

 

 

■競争戦略から学ぶ出世の技術

 

 

経営学においての戦略論は、主に「競争戦略」「ドメイン戦略」「資源戦略」の3つに分けることができる。

 

その中でも競争戦略論は、他社との競争がどのようなメカニズムで発生するのか、そして競争に打ち勝つためにはどのような手法が有効か分析するためのものだ。出世は基本的に同僚などのライバルとの勝負なので、この競争戦略がとても役に立つ。

この競争戦略は、さらに「コスト優位性」「差別化」「集中化」の3つの項目に分かれる。このうち最もイメージしやすいのが「コスト優位性」だろう。自社のサービスや製品について、競合他社とどう差別化するのか考えたとき、価格面で優位に立つのは基本中の基本だ。つまりライバルの中で自分のコストを安く設定できれば、相対的に優位に立てる。同じ職場でも、たくさん仕事をこなす社員は給料に対してコストが低いし、仕事の処理が遅く上司からの修正指示が何度も飛ぶ人はコストが高いといえる。仕事を効率的に進めながら、たくさん処理できるデキる人を目指そう。

 

しかし中には、思いつきで部下に仕事を振る無能上司も存在するかもしれない。こういった場合でも、上司というのは部下に何かしらのアウトプットを求めているので、それを理解し「先回り」して提示するようにしよう。無能上司からでも高い評価を得ることができるかもしれない。「そんな上司から高評価を得ても…」と思われるだろうが、出世する人の多くは「先回り」が上手だ。相手が欲しいと思うものを理解し提示する能力は、どんな役職でも必須のスキル。出世すればいずれ無能な上司ともお別れなので、ここは「先回り」スキルを磨くためにも歯を食いしばって頑張りたいところ。

 

続いて、「差別化戦略」だ。これは他社にはない付加価値を提供することで、他の製品やサービスとの違いをはっきりさせる戦略だ。ライバルにはない自分の「プレミア」を高める行為で上司にアピールしてみよう。ただ、差別化には落とし穴がある。たとえば「自分は業務の決断が早いビジネスマンだ」と社内で打ち出しても、上司がそのスキルを重要視していなければ「プレミア」にはならない。社内で自分を評価・判断する人が重視する項目を理解しておく必要もある。

 

そして3つ目が「集中化戦略」。ただ、こちらは少々リスキーでもある。というのも、特定分野にフォーカスし、他の分野はあえて放棄する戦略だからだ。日本の企業はローテーション人事が多いので、得意な業務に「集中化」したくても難しい場合が多い。当たれば「最強」だが、リスクも高いハイリスクハイリターンな戦略だ。

 

 

■新しい視点で経営学をあなたの人生にいかそう

 

このように本書は、経営学を知ることで出世に活かす技術を紹介している。実はこの第2章、まだある。先に挙げた「ドメイン戦略」と「資源戦略」の解説がこの後に続くのだ。他の章も同様のボリュームで紹介しているので、出世の技術だけでなく、経営学そのものを学びたい人にもおすすめだ。

 

過労やパワハラなど、ビジネスマンの働く環境は激化している。「あと数十年もこんな職場で働くのか…」と悲観的に考えてしまいがちだが、どんな会社にも、どんなビジネスマンにも必ず希望がある。その1つが「出世」であり、それを叶える方法が本書にある。よりよい仕事人生を過ごすためにも、ぜひ経営学を当てはめた働き方を実践してほしい。

 

文=いのうえゆきひろ

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