コンビニの外国人店員はなぜ増えた? 日本の外国人労働者問題にメスを入れたルポルタージュ

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『コンビニ外国人』(芹澤健介/新潮社)

24時間365日、いつでも欲しいものが手に入るコンビニエンスストアは、今や全国に5万5000店舗以上存在している。そんなコンビニ業界に今、起きているのが外国人スタッフの増加という異変だ。この問題は世界に先駆け、本格的な人口減少社会に突入した日本が、今後どうなっていくべきかを考えるきっかけともなる。


それを記した『コンビニ外国人』(芹澤健介/新潮社)によれば、全国のコンビニで働く外国人は大手3社だけで、2017年に4万人を超えたのだという。これは、全国平均で見ると、スタッフ20人のうち1人は外国人という数字なのだそう。こうした状況の裏には、コンビニ業界が人手不足に陥っているという問題がある。

 


■働く外国人が増える現状と、移民政策とのギャップ


筆者も5年ほどコンビニで働いた経験があるが、その時実感したのが、コンビニ店員という仕事は時給が安くてハードだということだ。コンビニではいつでも手軽に作りたてのファーストフードが購入できるが、それは即ち、24時間365日いつでも温かく提供できるよう、スタッフがスタンバイしている必要があるということだ。そのため、コンビニスタッフには通常の接客以外にファーストフードを作るという負担も圧し掛かってくる。しかし、それでいて時給は県の最低賃金にほど近く、働きたいと思う若者が少ないため、稼ぎたいと考えている外国人留学生が多く働いているのもうなずける。


しかし、このように外国人スタッフに頼り切っている反面、彼らを取り囲む日本の環境はシビアである。本書によれば、現在の日本には約250万人という在留外国人がおり、彼らはコンビニ業界以外でも貴重な労働力となっている。また、日本は2014年の時点で、経済協力開発機構(OECD)に加盟する34カ国のうち、世界第5位の「移民流入国」であった。(最新データによれば、2015年度は加盟35カ国中で世界第4位に)。


しかし、政府は「留学生三十万人計画」を推し進めている一方で、外国人留学生の就職のケアにまでは十分に配慮できていないのが現状だ。


また、起業を目指す外国人のために設けられた「ビジネスコンシェルジュ東京」という窓口も、彼らの間にはまだまだ浸透していない。こうした事実は日本という国が今後、どう外国人と向き合っていけばいいのか考えるきっかけとなる。

 


■外国人労働者との共生の道とは


コンビニで労働力となってくれている外国人スタッフや在留外国人の多くは希望を持ち、ジャパニーズ・ドリームを掴もうと我が国にやってくる。そして、彼らの大半は日本の若者よりも将来に対して明確なビジョンを持ちながら働いていることが本書でも明らかにされている。しかし、今の我が国が彼らに感じさせているのは日本という国の冷たさや生きづらさではないだろうか。


「移民」という言葉に抵抗感を持ってしまう日本人ももちろんいるだろうし、自分とは違う国籍の人に対して、どう接したらいいのか分からないと思ってしまうこともあるだろう。しかし、彼ら外国人労働者はただ人手不足を解消してくれる便利な労働力なのではなく、日本でまっとうな生活を送り、幸せになる権利がある人間なのだということを忘れてはいけない。


そのためには、彼らが持っている価値観や異なる文化・習慣を分からないからといって切り捨てるのではなく、どうすれば共に生きていけるようになるのかと、多文化共生の考えを持つことが大切だ。


生まれた国が異なっていると、壁を感じてしまうこともあるかもしれない。しかし外国人というフィルターを外し、ひとりの人間として相手の価値観を尊重していけば、さらに日本の未来は明るくなっていくのではないだろうか。


少子高齢化社会である日本は、今後も人口がどんどん減少していく見込みだ。そんな日本の未来を担っているのは私たちと、多くの外国人である。「日本はいい国だ」――そう言ってくれる外国人のリップサービスに甘えず、心が繋がる交流をしていき、彼らの人生を共に考えていくことこそが、今の日本人に与えられた課題なのかもしれない。


文=古川諭香

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