図柄入り「ご当地ナンバープレート」もゆるキャラ頼み? 日本人が“カワイイ”“キャラクター”を好むワケ

ライフスタイル

 

■ついに日本も図柄入りナンバー導入
 

この秋から地域の風景や観光資源を図柄にした「地方版図柄入りナンバープレート」の交付が開始(2018年10月頃~)するのに先立ち、導入する計41地域のデザインが発表されました。

 

地方版図柄入りナンバープレートデザイン

 

この試みは、自動車では2017年のラグビーW杯、東京2020オリンピック・パラリンピック応援のためのナンバープレートが先駆け。また市町村の裁量で自由に決めることができる原付では2006年から導入が始まり、総計は473市区町村(2017年8月現在)となります。原付でこれほどたくさんの種類のご当地ナンバープレートがあるとは知りませんでした。

 

海外のナンバープレートと比較してみると、米国、カナダなど北米がお手本になっているように思われます。ヨーロッパは概して主張を抑えたシンプル路線が主体ですが、北米では、色やデザインは各州によって異なり、地域の特色がデザインに反映され、州の愛称や標語などが併記されることもあります。

 

ユニークな例としては、カナダのノースウェスト準州及びヌナブト準州のホッキョクグマの形をしたプレートがありますし、州によってはCustom Picture Plate、Special Interest License Platesなどの選択できるデザインが存在します。中古の米国産プレートを集めたり、部屋に飾る人もいますが、カリフォルニア、テキサス、ニューヨークなどのプレートは、本物感といいましょうか、風格が漂います。

 

海外のナンバープレート

 

■日本のナンバーは“ゆるキャラ”頼み?

 

今回発表された日本の図柄入りプレートを見てみると、世界文化遺産を訴える和風の「平泉」や空港をイメージした飛行機柄の「成田」などは、頑張った感がありますが、自治体によっては、地域民へのアンケートを行うなど、選定に苦労した様子も窺えます(デザイン選定にアンケートが最善の方法かという議論もあるのですが……)。

 

同時に、やっぱり……という感じなんですが、41件のうち9件はゆるキャラを中心としたマスコットキャラクターに依存したデザインになっています。熊本は当然くまモンです。車種にもよりますが、「ちょっと車につけたくないなぁ~」と思ってしまうデザインもあり、好き嫌いが生まれるデザインの特性上しょうがない部分もあるのですが、この辺りは安直な気もします。

 

その是非は置いておいて、マスコットキャラクター好きというのは、日本人の特性のひとつ。警視庁のマスコットキャラクターとしてはピーポくんが有名ですが、実は47都道府県の警察全てがキャラクターを作っています。

 

警察マスコット図鑑

 

この分野について研究されている方もおられますが、アミニズム信仰やアニメ文化という背景の下、キャラクターを通じて「カワイイ」と「癒し」を求める日本人の心情も見えてきます。その根底にある可能性が高いのは“ネオテニー”説です。ネオテニーとは、子供の性質を残しながら大人になること。人間自体がネオテニー的に進化したとも言われていますが、アジア人(特に日本人を含めた東アジア人)は特に強くネオテニーが起きているため、カワイイ人、動物、ものを好む傾向があるという説です。

 

確かに、欧米と比べると日本を含むアジア人はマスコットキャラクターを好む傾向を感じます。もちろん傾向ですから、欧米にもカワイイ好きはいますし、日本人にもそれほど好きではない人もいるのですが……。

 

 

■外資系企業もキャラクターを活用している?

 

自治体や警察などの公共機関ですらマスコットキャラクターを持つ日本ですから、当然、企業の多くがキャラクターを活用しています。不二家の「ペコちゃん・ポコちゃん」、サントリーの「なっちゃん」、ダイキンの「ぴちょんくん」、ダイハツの「カクカク・シカジカ君」などなど……数えきれないマスコットキャラクターが存在します。多くの企業がLINEスタンプを作る背景にもなっていると考えます。

 

外資系企業の場合はどうでしょう? 企業のジャンルを問わない幅広い展開としては、日本ほどではないと思われますが消費財を中心に海外にも元々キャラクターが存在する場合があります。例えば、「プリングルズおじさん」「ファーファ」(日本ではユニリーバからニッサン石鹸に譲渡)などです。

 

同時に日本のマーケットを意識して作られたキャラクターも存在します。P&Gの「ジョイくん」、ジェットスターの「ジェッ太くん」などです。

 

横並びで、とにかくマスコットキャラクターを作りましょうという考え方は如何なものかと思いますが、ブランドにフィットするキャラクターがその市場の顧客にふさわしいのであれば、コミュニケーション手段の一つとして生み出し、(それ以上に)育てることを考えてみてもいいのではないでしょうか。

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プロダクト・リサーチャー

四方宏明

1959年京都生まれ。神戸大学卒業後、1981年にP&Gに入社。以降、SK-II、パンパースなど、様々な消費財の商品開発に33年間携わる。2014年より、conconcomコンサルタント、WATER DESIGN顧問として、商品、サービス...

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