“紀州のドン・ファン”が愛したうなぎ──やはり「食べると精がつく」は本当だったのか?

ヘルス・ビューティー

 

連日、メディアを騒がせている、変死した“紀州のドン・ファン”と呼ばれた、和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助氏(77)。実は彼、無類のうなぎ好きだったそうだ。以下、自伝『紀州のドン・ファン 野望編 私が「生涯現役」でいられる理由』(講談社)の抜粋。

 

「うなぎはお好きでしょうか。私は土用の丑の日くらいはうなぎを食べないようにしているというイヤミなジジイでありまして、冬でも夏でもしょっちゅう食べております。生まれ育ち、今でも暮らしている南紀は古座川や日置川そして熊野川のような大きな川が何本もありまして、天然うなぎが名産です」


一般的には、年1度の夏の土用丑の日にうなぎは多くの人たちに食されるが、この野崎氏は真逆だ。普段からうなぎを食しているから、“土用丑の日ぐらいは食べないように…”と、しかもうなぎは天然もの!?というから、唸ってしまう。“美女4000人を抱いた”(貢いだ?)というのも、このうなぎの“せい”もあったのだろうか?

『精力』を調べると、“精神や肉体の活動する力”“物事をやりぬく心身の元気”、また“とくに性的な能力”とも記されている。うなぎの栄養価に関して、基本的に多くのビタミンが豊富に含まれているわけだが、なかでも多いのが “目の健康を守る効果”があるとされるビタミンA、“疲労回復や美容に効果”があるとされるビタミンB、そして“抗酸化作用があり、アンチエイジング効果”が期待できるビタミンE。唯一、微量なのはビタミンCだけ。調べれば調べるほど、栄養価の高さを知ることになるのだが、はたして“性的な能力”が、うなぎを食すことでつくのだろうか。


御託ばかり並べても仕方ないので、紀州のドン・ファン並みにうなぎを食している知り合い4人にズバリ、精がつくのかどうか、どのような気分になるのか聞いてみた。

 

これまでに鰻専門店150軒を訪れた54歳のA氏は

「うなぎは、ビタミンBが多く、強い抗AGE力があるので、天然の薬だと思って食べています。また、肌がつるつるだとよくいわれますが、これはうなぎのおかげでしょうか」

 

また200軒以上の鰻専門店を制覇した58歳のSさんは

「得も言われぬ幸せな気持ちになります。12月のホノルルマラソンに向けてダイエットのため糖質制限していますが、鰻重だけは特別です。“精力”について特に実感はありませんが、フルマラソンの前日には、カーボローディングを兼ねて鰻重をいただきますよ」

 

ほかにも400軒以上の鰻専門店を訪れた55歳のT氏は

「免疫力が上がり、風邪などを引きにくくなります」


そして最後にこれまでに何と420軒以上もの鰻専門店を訪れた強者49歳のY氏は

「うなぎを食べた時の効果はズバリ!心身ともに満たされる幸福感。蒸さない地焼の3尾サイズ(1尾約333グラム)あたりだとすっぽんに匹敵するくらい、身体の奥底からパワーがみなぎってきます。蒲焼が出来上がるまで脳内の思考が整理できるので、気持ちが落ち着き、怒りやモヤモヤ感を忘れます。鰻専門店ならではのシチュエーションも含めての効果かと。ちなみに、戦前は上野界隈ではうなぎ屋の2階でシッポリなんて話もありますから精とは、関係性があるかもですね。当時はまだ江戸前を地焼きで出す店が多いと想像しているので、うなぎエキスでよりムラムラがあったのかもしれませんね」


残念(?)ながら、“精力がついて云々”という話は、“紀州のドン・ファン”並みにうなぎを食している強者からも、まったく聞かれなかった……。ちなみに小生(43)も仕事柄、各地でうなぎをいただく機会は多いが“性的な能力”という意味合いよりは、むしろ他の方も話しているように“幸福感が増す”的な精神面への影響が大きいのではないかと思う。


栄養価の話に戻るが、うなぎは唯一ビタミンCが少ないだけに、ビタミンC豊富なデザートを出されると思わず「わかってるな〜」と感心してしまう。またうなぎにはコラーゲンも多く含まれており、このビタミンCを摂取することでコラーゲンの吸収を高めるのだとか。たしかに鰻屋の女将さんに限らず、うなぎをよく召し上がっている方を見ると皆、お肌が綺麗だなあ、とたびたび思うのである。


ということで、結論としては、鰻を食すことで、“性的な能力”ではなく、”精神や肉体の力がみなぎる、気分が高まる“ということで「うなぎと精力」の話は終わりにしたい。

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うなぎ専門紙・編集長

高嶋茂男

1974年、東京生まれ、A型、寅年、さそり座。成蹊大出身。うなぎの記事が大半を占める業界紙「日本養殖新聞」編集長。全国のうなぎ専門店で組織される全国鰻蒲焼商組合連合会のアドバイザーも務める。生産、流通、消...

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