不妊症の半分が男性側! 意外と知られていない「男性不妊」

ヘルス・ビューティー

清水なほみ

 

3月20日放送の「サンデー・ジャポン」(TBS系)で、爆笑問題の太田光さんが、自分のことを「種無し」と称して話題を呼んでいますが、「病院で調べた」とおっしゃっているのでおそらく本当に男性不妊だったものと思われます。

 

「男性不妊」とは、不妊の原因が男性側にあるケースです。「不妊症」と聞くと、どうしても女性側に何らかの原因があるために妊娠しないのだろうと思われがちですが、実は不妊症の原因の半分は男性側にもあるのです。

 

女性は「月経」という形で自分の卵巣機能をある程度実感できますし、最近は「卵子の質の低下」が話題になる機会も増えて、加齢が妊娠に対してどのように影響を与えるのか意識しやすくなってきました。危機感の個人差は大きいとはいえ、多かれ少なかれ「将来ちゃんと妊娠できるだろうか」という漠然とした不安を抱える方も少なくありません。20代の、まだ結婚の予定も特にないという方が「妊娠できる体かどうか検査をしたい」と希望されて受診なさるというケースも珍しくないのです。

 

一方男性は、まさか自分が「男性不妊」だなんて思ってもいないことの方が多く、若いうちから「将来妊娠させてあげられるだろうか」なんて心配する人はかなり少数派でしょう。中には、知らず知らずのうちに男性不妊の原因となる生活習慣を続けてしまっている方もいらっしゃると思います。

 

男性不妊は、女性不妊と異なり原因が単純です。「精子がない」「精子が少ない」「精子がきちんと動いていない」のいずれか、または複数の要因で「卵子まで精子がたどり着けない」ために不妊症になるのです。

 

男性不妊かどうかは、「精液検査」を受ければすぐにわかります。女性側の不妊検査は多数の項目があり、痛みをともなう検査もあるのに対して、男性側の検査は単純に精液を提出するだけです。もちろん、検査のために精液を出すという、心理的抵抗は大きい検査になりますが、女性の身体的負担に比べたらそれほど大変な検査ではありません。夫が精液検査を受けてくれないと悩む不妊患者さんもいらっしゃいますが、不妊検査は男女そろって行わなければ意味がないのです。

 

精子の数や動きに問題が出る原因は、染色体異常などの先天的要因もあれば、生活習慣や睾丸炎などの後天的要因まで様々です。先天的要因の場合は予防することが難しくなりますが、後天的要因はある程度減らすことが可能です。例えば、おたふくかぜなどの睾丸炎の原因となりうる感染症にならないように予防接種をする、喫煙、多量の飲酒、熱いお湯での入浴、膝の上にパソコンを置いて作業をするなどの避けるべき生活習慣を改めることなどです。

 

男性不妊の場合も、治療法はありますので、精液検査で異常があっても妊娠できないわけではありません。薬物治療や手術、人工授精や顕微授精など、精子の状態とその異常を引き起こしている原因によって様々な方法が選択可能です。男性不妊だと診断されることは、女性が不妊症だと診断される以上に心理的ダメージが大きいことも少なくありません。場合によっては、不妊治療を進めるとともに、心理的サポートも受けながら、夫婦で上手に二人三脚できる環境を整えることも重要です。

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清水なほみ

女性医療ネットワーク発起人・NPO法人ティーンズサポート理事長。日本産婦人科学会専門医で、現在はポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。女性医療の先駆者の下、最先端の性差医療を学び、「全ての女性...

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