「日曜休みのスーパー」で思う。「顧客は意外に合わせてくれる」ということ

ビジネス

 

■スーパーなのに? 「日曜休み」の理由

 

業界では珍しい日曜休みの店舗が多い愛知県のあるスーパーが、毎年売上を伸ばして業績好調だという話題がありました。顧客に新鮮な食材を提供したいという思いから、市場が休みの日曜日は既存店の多くを「日曜休み」にしているとのことです。

 

従業員やパートさんからは、「日曜定休になることで家族と過ごす時間がしっかり取れるのがうれしい」という声が挙がっており、日曜休みであるがゆえに、その前日までにしっかり売上をあげなければならないとしてスタッフにはほどよい緊張感が生まれ、売上にも好影響を与えているとのことです。離職率も同業他社に比べて低く保たれ、従業員にとって居心地の良い会社になっているようです。

 

また顧客からは、“食材が常に新鮮”だと認識されて平日でも賑わうようになり、特に土曜日は、商品を売り切るタイムセールを積極的に展開するため、多くの顧客が集まってきます。「日曜に休んだら売上が落ちる」ということはありません。社長も当初は通年営業にすべきかと悩んだ時期があったそうですが、今は日曜休みにして正解だったと考えています。

 

 

■顧客側がペースを合わせてくれる

 

この話題で私が思ったのは、顧客ニーズに合うものを提供すれば、顧客の方から進んで自分たちのペースに合わせてくれるのだということです。

 

これは以前私が経験したことですが、私がまだ人事の仕事を始めたばかりで主に採用活動にたずさわっていた頃、やはり会社説明会をしても参加者が集まらず、なかなか人が採用できずにいろいろ苦労していた時期がありました。

 

私の前任の担当者は、とにかく応募者の都合に合わせようと、説明会や面接などの日程は、ほとんど応募者の言いなりにしていました。その結果として起こるのは、一人か二人のために極めて静かで活気がない会社説明会を開催し、そんな雰囲気から辞退者ばかりが増え、面接官は時間を細切れに調整しなければならない非効率に陥り、せっかく入社してきた人材も、会社が何でも要望を聞いてくれることに慣れてしまっていて、入社後の仕事環境になじめず辞めてしまうなど、とにかく何事も悪循環で回っていました。

 

その時の私はただ単純に、「そこまで相手に媚びる必要はない」という根拠のない信念で、自社の採用活動スケジュールを作り、応募者にはそれに合わせてもらうようにしました。普通の会社では当たり前のことですが、その当時は「本当に大丈夫なのか」と結構反対されました。

 

ただ、根拠がないとは言うものの、自分自身の感覚として、そんなに何でも応募者の言いなりになるような会社のレベルが高い訳はないし、入社してくれれば誰でも良いような態度の会社に行こうとは思わないし、自分が入りたいと思えない会社に人なんか集まる訳がないと思っていたので、そこを変えればどうにかなるという考えはありました。そこまで見栄えが悪い会社ではなかったので、応募者との関係づくり次第だ、とも……。

 

結果的には私の読み通りになった訳ですが、ただ採用活動が効率化したというだけでなく、説明会に活気が出たことで、説明者の話しぶりも良くなり、適度な距離感を好む自律した応募者が増え、入社後のミスマッチも減っていきました。

 

相手の都合におそるおそる合わせることは、決して正解ではないという経験でした。

 

 

■便利になれば、一方で必ず「不便」が生まれる

 

アルバイトなども含めて何か仕事をしている人は、必ず売る側と買う側、サービスをする側と受ける側の両方の立場を持っています。

 

例えば、自分の休みが増えるということは、反対に自分がサービスを受ける立場の場合は不便になりますが、最近は「休む」ということを許容する空気が作られてきましたし、それに見合った異なるメリットを提供すれば、顧客はこちらの都合に合わせてくれます。

 

「店を開けていれば誰か来るかもしれない」というのは、確かにそういう面はあるとしても、もう今はそれで成り立つ時代ではありません。コンビニで24時間営業をやめたら、売上は少し減ったが逆に利益が増えて、なおかつ働き方に余裕ができたなどという話を聞きました。

 

「こうします」とはっきり意図を伝え、相応のメリットを提供すれば、顧客は意外にこちらのペースに合わせてくれます。提供する側とされる側で、負担が偏らないWin-Winのサービスが、これからは主流になっていくのではないでしょうか。

 

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小笠原隆夫

IT業界出身で現場のシステムエンジニアの経験も持つ人事コンサルタントです。 人事課題を抱え、社内ノウハウだけでは不足してその解決が難しい企業、100名以下から1000名超の企業まで幅広く、人事制度構築、...

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