悪臭で飛行機を降ろされた男性、体組織が壊死する感染症だった

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本人や家族にとっても乗り合わせた乗客・乗員にとっても悲惨な体験だった Tuayai-iStock.

 

■他の乗客が吐いたり気絶したりするほどの臭いで飛行機は緊急着陸。人々は不潔だと思ったが、男性は恐ろしい病魔に侵されていた

 

5月に国際線の機内で体から強烈な異臭を放ち、緊急着陸を余儀なくさせた男性乗客が、壊死性感染症が原因で6月25日に死亡した。オランダ紙テレグラフが報じた。

 

この不運な乗客はロシアのロックギタリスト、アンドレイ・スチリン(58)だと判明。彼は5月29日、スペイン領カナリア諸島でオランダの格安航空会社トランサヴィアのアムステルダム行きに搭乗。耐えがたい悪臭を放ち、周りの乗客が嘔吐したり失神する事態になったため、ポルトガルのファロ空港で緊急着陸。待機していた救急車に運ばれた。

 

この飛行機に乗っていた乗客の一人はオランダのテレグラフ紙に、緊急着陸に至るまでの機内の混乱ぶりを語った。「彼が通路に足を踏み入れたとたん、乗客は叫び始めた。皆、バッグをのぞきこんで鼻をふさぐためのハンカチを必死で探した」

 

乗務員は香水をふりまいたり、スチリンをトイレに座らせてドアを閉めたりしたが、何の役にも立たなかったという。

 

 

■「よくある感染症」と医者に言われ

 

乗客たちは「何週間も体を洗っていない人のような臭いだった」と感じたというが、悪臭の原因は彼が不潔だったせいではなく、皮膚や筋肉などの体組織が細菌に感染し、組織が壊死して腐敗臭を放つ病気だった。ポルトガルで降ろされた後、彼はフェイスブックに自嘲気味の投稿をした。「この悲劇的かつ漫画チックな一連の騒ぎではっきりしたのは、俺が感染症だったということ。それも、人を凄まじく臭くする病気だった」

 

スチリンは病院に搬送されたが、病状が悪化し昏睡状態になった。感染症を食い止めるための手術を繰り返したが、6月25日に死亡した。

 

スチリンのフェイスブックページ

妻のリディアは治療中、夫のフェイスブックを通じて友人に逐一状況を知らせた。スチリンは搭乗前、滞在していたスペイン領カナリア諸島のリゾート地、グランカナリア島で医師の診察を受けたが、「ビーチでよくなる普通の感染症」と診断され、抗生物質を渡されて終わったという。ロシアの保険会社には治療費の支払いを拒否され、フェイスブックで友人に医療費の援助を呼びかけるしかなかったという。

 

トランサヴィア航空は本誌に宛てた回答で、スチリンの遺族に哀悼の意を表した。同じ便に乗り合わせた乗客と乗務員に「感染のリスクはない」と念を押した上で、緊急着陸までに起こったことは、「患者とその家族はもちろん、他の乗客や乗務員にとっても非常に不快な出来事だった」と述べた。

 

スチリンは一流のギタリストで、彼のバンドC-Majorは1980年代の旧ソ連でロックンロールを広めた草分け的組織、モスクワ・ロック・ラボラトリーの創設メンバーだった。最近はジャーナリズムや音響エンジニアの分野で活動するほか、劇場音楽の作詞も手掛けていた。

 

(翻訳:河原里香)

文=デービッド・ブレナン

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