セレブに靴を売っていたら自分もセレブになった!16歳の少年が築いたスニーカー帝国の実像

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若干16歳の少年が、スニーカーの転売で100万ドルのビジネスを築き上げた。その背景には著名人との出会いと、彼らの影響力を活用したマーケティングが見え隠れする。

 

 

スニーカーの販売で年商100万ドルのビジネスを築いた──と書くと、そう珍しい話には思えないだろう。しかし、この事業を手がけているのは弱冠16歳の少年で、大勢のセレブにスニーカーを転売している、と聞けばどうだろうか。

 

マイアミに住むベンジャミン・カペラシュニクが“転売ヤー”としての第一歩を踏み出したのは、少年らしく学校が舞台だった。ベンジャミンはGQ JAPANのメールインタビューで、当時の様子をこう振り返っている。

 

「ナイキのレブロン ギャラクシーが欲しくて、母さんに買ってもらったんだよ。そしたら学校で“そのスニーカーを売ってくれ!”って言われてさ。“いいよ”なんて言ったら、そいつ、元の値段よりもかなりの高値で買ったんだよ。その瞬間に“これはビジネスになるぞ!”って閃いたのさ」

 

近年、スニーカーの需要は世界的に伸張しており、スポーツブランドは定番モデルだけでなく著名人とのコラボレーション・モデルの商品開発に忙しい。それが限定モデルともなると世界各国で争奪戦が繰り広げられ、その内の少なからぬ数がオークションサイトで転売されることになる。英国の『Financial Times』が2015年4月に掲載した記事によると、世界のスニーカー市場は550億ドル規模。これはケニアのGDPに匹敵する大きさだ。スニーカーの転売市場は10億ドル規模という予測もある。

 

単なる“せどり”や“転売”だけでは、ベンジャミンもここまでのし上がれなかっただろう。少年がスニーカーの転売ビジネスを100万ドル規模にまで成長させられたひとつ(あるいは、唯一)の要因に、マイアミを地盤とするDJキャレドとの出会いがある。

 

 

■セレブだけが持ちうる魔法

 

「DJキャレドを通じて、パフ・ダディ(PD)と知り合ったんだ。PDがニューヨークで開催するコンサートのために、24時間で20足の限定スニーカーを探す必要があって、それを僕は成し遂げたんだよ。ニューヨークは地元じゃないから、大変だったなあ……。でも、頑張ったおかげで、PDは子どもたちを紹介してくれて、彼らとも友達になったんだ」

 

 

こうしてセレブとのつながりを持ったベンジャミンは、次々とショービジネス界で顧客を得るに至る。著名人が著名人を客として連れてくると、自分もセレブのような知名度を獲得するようになる。そうすれば、誰もが「ベンジャミン・キックス(彼のあだ名)からスニーカーを買いたい!」と思うようになる。なぜなら、「ベンジャミン・キックスからスニーカーを買った」ということ自体がニュースになるからだ。セレブだけが持てる“インフルエンス(影響力)”という名の魔法を、ベンジャミンも持つようになったのである。

 

そんな彼も、勉学とビジネスは両立しなければならない。いまはビジネスに重きを置くために、ホームスクール(在宅学習)を受けているという。仕事と勉強の合間にはセレブが主催するパーティやイベントに顔を出し、その様子はInstagram(@benjaminkickz) でも見ることが出来る。

 

ミレニアル世代の中でもっとも年少にあたる年のベンジャミンは、ソーシャルメディアでも活発に情報を発信しており、カニエ・ウェストやドレイク、トラヴィス・スコットといった有名人との2ショットや、アディダスとカニエ・ウェストのコラボ・スニーカー「YEEZY BOOST」を山盛りにした写真、稼いだお金で買ったBMWに乗っている様子など、ミレニアル世代らしい自己顕示欲も見せている。

 

いまや多くの著名人から大量の注文を受けるようになったベンジャミンは、仕入れ元に大量のオーダーを発注するようになった。そこでスニーカーを売買できるウェブサイト「The SneakerDon」を開設。このマーケットプレイスでは年間100万ドルの売上げを見込んでいる。

 

 

■自分のスニーカーコレクションを動画で見せるベンジャミン

 

 

■Boomin!

 

ビジネスパーソンとしても、セレブとしても注目を集めるベンジャミン。彼が米国でどのくらいの知名度を持っているのかは、民主党大統領候補のヒラリー・クリントンまでが彼の真似をしたことからもうかがえる。

 

 

「How is business?(ビジネスの調子はどうだい?)」と頻繁に聞かれるようになったベンジャミンが、いつも「Boomin!(調子いいよ!)」と答えていたことから流行語になったのだ。この言葉は彼のキャッチフレーズになり、「BOOMIN」をロゴにしたTシャツまで登場した。

 

近い将来、米国の内外にスニーカーの販売店を建てていきたいと話していたベンジャミン。これからも「Boomin!」といくか、要注目の少年である。

 

Winsome Li(『GQ JAPAN』ジュニア・ウェブ・エディター)

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