10万円の靴、100万円の時計、1000万円のクルマ…高級品で人生は変わらないが、人生を重ねていくことはできる

ライフスタイル

 

「そもそもスマホで時間はわかるし、靴なんか減るもんだし、クルマはタイムシェアで借りればいいし。だいたい、給料だってそんなに悪くはないし、競争して頑張ったって大変だし、そんなことするぐらいならウチでユックリしながら動画見てゲームかな。ゆとりですけどなにか?って、お国がそうしたんだから知らないすよ。もちろん10万円の靴とか100万円の時計とかまったく意味分かりません。ポルシェとか幾らするのかすら知らないけどオヤジばっかじゃないすか、乗ってるの」

 

なんて方は、割といらっしゃるんじゃないかと思われます。そんな、競争社会をやめようなんてゆったりとした時代に生まれ育った方々は、早い段階でネット社会があり、情報は大量で、結果合理的で、ある意味そのシンプルさがオシャレだったりします。一方では、バブルってくくられちゃうような拝金高級志向は、メディアの産物気味でもありますが、確かにもっと早い段階から、偏差値世代には存在していました。例えば…

 

時は1982年夏、ちょっと仲良くなりかけた女の子とパーティに行くことになり、大学生にしてはちょっと頑張ってカフェバーで待ち合わせて、いざ会場に入るや、まばゆいばかりの人々とカクテルと音楽。よくよく見るとベルトのバックルがでっかい“G”になってたり、なぜか男子全員が小脇に抱えてるバックがすべてわかりやすいブランドのロゴが入ってたり、靴はサンローラン、腕にはコンビカラーのロレックス、指にはバレンティノのリング、腕にはエルメスの……あーブランドだらけで大黒屋にいるみたい。お開きになり外に出ればデフォルトがアウディで、強者は白いポルシェ。次々かわいい子順にいいクルマに吸い込まれてく有様を見ながら、やっとそれが医大生のパーティとわかり、あらためてどうしたもんかと人生の作戦を帰りの日比谷線で考える一般大生18才。

 

そして、この世代が現代では50代となり、約30年間どうしたもんかと悩み続けながら、あの頃の恨みを晴らすかのようにボクスターを買い、フランクミュラーを買い、オールデンを買ったりします。てことは確かに悩んだ分人生は少しだけ変わったかもしれませんが、買ったからってそんなに人生変わりません。あっという間に所有していることに慣れちゃうでしょうし、残念ながら上には上がいますし、交差点でヨコにアストンマーティンが並んだら、まっすぐ前を見続けるしかありません。

 

ただ10万円の靴の中にはブランドロゴだけのスニーカーもありますが、何度もソールを張り替えてこまめに手入れをすることで一生履くことが出来るローファーとかも多いのです。100万円の時計の中には、定期的にオーバーホールしながら徐々にエイジングしていく文字盤を楽んで自身の時を重ね続けることができたりします。1000万円のクルマも自分の中のある時代を振り返るのに独特の役割を果たしてくれます。ほんとうに良いモノは長く愛することでその価値が継続し、自身のマイルストーンにもなります。

 

高いモノを手に入れることで人生変わったりはしませんが、良いモノであるならばそこに人生を重ねることは出来るはずです。ダウンロードして見る動画や音楽や、オンラインで発注するモノの中にも同様の機能を果たすものはたくさんあると思いますが、何かひとつでも手にとってじっくり吟味して、一生エイジングできそうなモノを手に入れてみるのも一興ですよね。

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ウエディングコンサルタント

橋本明彦

1963年東京生まれ。明治学院大学卒。外資ホテルやラグジュアリーブランドのウエディングコンサル会社運営とともに、恋愛や結婚にまつわるライフスタイルのコラムを執筆。All Aboutの恋愛・結婚ガイドを担当。著書に...

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