9割の会社はバカ? 職場の「理不尽」にどう立ち向かうか

人間関係

 

多くのビジネスマンは気づいていないし、当てはまる会社側にも自覚はありませんが、何を隠そう「9割の会社はバカ」です。あなたは、今の「働き方」や今の「会社」に不満や悩みがあるとしたら、それはあなたが贅沢を言っているからでも能力が不足しているからでもありません。大きな理由は「9割の会社はバカ」だからです。

 

サービス残業もパワハラもセクハラもお粗末な危機管理も業界の古い慣習にしがみついて何も変えられないところも、ひとえに会社が「バカ」だから。そんな調子なので従業員に平気で理不尽なことをしたり言ったりもしてきますが、振り回される必要はありません。自分の人生を守るために、きっちり立ち向かいましょう。

 

特定社労士による法律や制度を踏まえたアドバイスと、周囲を味方に付ける大人力的なアドバイスを融合した本、その名も『9割の会社はバカ――社長があなたに知られたくない「サラリーマン護身術」』(飛鳥新社)が、7月5日に発売されました。「従業員は会社より弱い立場」という“大きな勘違い”を根底からひっくり返し、実践的な戦い方を指南する一冊。その中から、ふたつのケースをご紹介します。

 

 

【ケース1】上司の意向を忖度してグレーな行為に手を染めたが、問題化したとたんにハシゴを外された

 

上司に「どうすればいいのか、わかってるな」と言われ、意向を忖度してグレーな行為に手を染めました。ところが、明るみに出て問題になった途端、上司は「なんてことをしてくれたんだ!」と重い処分を課そうとしてきました。最近も、どっかの大学で聞いたような話です。あなたは次の3つの選択肢のうち、どの対応が「正解」だと思いますか。

 

①自分がやってしまったのは事実なので処分されても仕方ない

②下っ端が責任を取る必要なんてない。会社ときっちり話し合う

③裁判で戦うことを見据えて、弁護士に相談する

 

著者のひとりである特定社労士の三矢晃子さん(美人)は、こう言います。

 

「会社の不祥事の責任を取ることができて、対外的に頭を下げる必要があるのは社長だけです。減給や降格はあってもクビなどの重い処分を課せられる筋合いはありません。まずは、周囲を味方に付けましょう。会社が怖くて誰も味方してくれそうになかったら、社内や社外の組合に相談して話し合いを求めたり要望書を提出したりするのが有効です」

非は会社や上司にあるのに、自分が泥をかぶらされることがあるのが、世の中の理不尽なところ。この問題に限らず、会社生活でもっとも怖くて危険なのは「孤立」です。日頃から円滑な人間関係を維持する努力を怠らないのが、身を守る最大のリスクヘッジかもしれません。ここは②が正解。①のようなお人好しな発想で言いなりになるのは、一種の逃げです。最初から③を選ぶのはややハードルが高いし、解決への近道とは限りません。

 

「忖度にせよはっきりした指示にせよ、上司がグレーな業務や違法な業務を要求してきたら、きっぱり断わりましょう。何かあったらすぐにハシゴを外されるなど、リスクやデメリットのほうが何倍も大きい。まったく割に合いません」(三矢さん)

上司や会社の意向を忖度して手を汚せば、一時的には覚えめでたくなるでしょう。しかし、そんな上司や会社に未来はないし、本当の意味での信頼や評価は得られません。追いつめられて冷静な判断ができなくなるケースもありそうですけど、つまらない相手に利用されたあげくに心中するのは、極めてつまらない話です。

 

 

【ケース2】ウチの会社には「社内結婚をしたら女性が退職」という暗黙のルールがある。辞めなければならないの?

 

時代遅れですが、こうした暗黙のルールがある会社は少なくないでしょう。半年後に社内の男性と結婚する予定だけど、今の仕事は大好きだし経済的な面を考えても、会社を辞めたくはないというケース。辞めずに済むようにするためには、次の3つの選択肢のうち、どの対応が「正解」だと思いますか。

 

①明らかに法律違反なので、即座に公的機関に訴えて指導してもらう

②後輩たちのためにも、「暗黙のルール」なんて無視して働き続ける

③無理に居座っても会社に冷遇されそうなので、おとなしく辞める

 

①は正攻法のアプローチ。

「完全に男女雇用機会均等法に違反しているので、労働局や労働相談センターに行って申し立てれば、ほぼ間違いなく会社に指導が入るでしょう」(三矢さん)。ただ、いきなり外部の力を借りると、今後の会社生活に悪い影響が及ぶ可能性はあります。自分だけでなく、同じ会社にいる配偶者が不利益な扱いを受けるかもしれません。

 

「痛いところを突かれたからって、会社が社員に不利益な扱いをするのも大問題なんですけどね。かといって③の道を選んだら自分も後悔するし、会社のためにもなりません。会社にしたって、せっかくお金をかけて社員を育てたのに、たいして回収しないうちに結婚して辞められるのは大きな損害です。そんなことを続けている会社はアホです」(三矢さん)

ここは、自分のためにも後輩たちのためにも、そして会社のためにも、②のように働き続けましょう。会社の上層部も、深く考えずに「そういうもの」と思い込んでいるだけかもしれません。多くの会社でも、誰かが先鞭をつけて「暗黙のルール」を果敢に変えて、そのおかげで少しずつ世の中が変わってきました。

 

「会社に『辞める決まりなんですか』って聞いたら、きっと『いや、辞めろとは言っていない。みんなが勝手に辞めるだけだ』って答えるはず。『あっ、会社は言ってないんですか。私、勘違いしてました。じゃあ、このまま働きます』と言えばいいんですよ」(三矢さん)

周囲も、それまでの「洗脳」の影響で最初は戸惑うかもしれません。でも、きちんと仕事をしていれば必ず応援してくれます。勇気を出して道を切り開きましょう。

 

といった感じで『9割の会社はバカ――社長があなたに知られたくない「サラリーマン護身術」』(飛鳥新社)では、ほかにも「上司のセクハラを会社に訴えたら、逆に自分の立場が悪くなってしまった」「働かされすぎて、このままでは過労死するか辞めるしかない。どうすればいい?」「私用メールや勤務中の飲酒は、実際のところどのぐらいまずいのか?」といった30のケースを紹介しています。

 

挑戦的なタイトルですが、会社にケンカを売りたいわけではありません。働く側と会社がお互いにとって、もっといい関係を築くための本です。従業員のみなさんだけでなく、経営者のみなさんにも、大いにお役に立てるはず。あなたを守るための鎧や武器が、きっと見つかるでしょう。うっかり言い忘れるところでしたが、いや、すでにお察しかもしれませんが、もうひとりの著者は私です。ぜひ、お手に取ってみてください。

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コラムニスト

石原壮一郎

1963年、三重県生まれ。コラムニスト。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。大人の新しい概念と可能性を知らしめ、以来、日本の大人シーンを牽引している。2004年に出版した『大人力検定』は...

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