【サヨナラ平成】新語・流行語で振り返る30年「1991年編」~トレンディ。それは時代の最先端~

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もうすぐ平成が終わろうとしています。そこで新語・流行語で当時を振り返っていきます。今回は「1991年(平成3年)」編です。

 

この年、世界で話題になったのは湾岸戦争。CNNなどが流す報道映像は「テレビゲームのよう」とも評されました。また日本では証券会社の大口顧客に対する「損失補填」が社会問題化。新宿で新都庁(丹下健三設計)が開庁しました。

 

 

■【トレンディドラマ】「ねぇ、セックスしよ」が世間に与えた衝撃

 

80年代後半から90年代前半に人気だったのが、都会の恋愛模様をお洒落に描く「トレンディドラマ」でした。特に注目されたのが東京ラブストーリー」。いわゆる「月9」枠の作品です。リカ(鈴木保奈美)がカンチ(織田裕二)に対して「ねぇ、セックスしよ」と言った場面は、恋愛観の変化を象徴する場面としても話題になりました。なお「カーンチ、セックスしよ」とは言っていないので念のため。

 

もうひとつ話題になったのは「101回目のプロポーズ」で登場した「僕は死にましぇん」という台詞。月9として異例の抜擢であった武田鉄矢の泥臭い台詞が、当時の視聴者には新鮮に映りました。

 

 

■【若貴フィーバー】角界を賑わせた「兄弟」の物語

 

かつて「角界のプリンス」と呼ばれた名横綱、初代貴ノ花(1950年~2005年)。その息子である兄・若花田(のちの若乃花、現・花田虎上)と弟・貴花田(のちの貴乃花)が揃って活躍したことから、この兄弟に注目する流行現象が起こりました。

 

とくに印象的だったのは、夏場所で貴花田が千代の富士(モデル・秋元梢のお父さんですね)を初対戦で破った取り組み。その2日後に千代の富士は引退を表明するのですが、その記者会見で千代の富士が絞り出すように「体力の限界…」と語った場面はあまりにも有名です。

 

 

■【ヘアヌード】解禁のきっかけは樋口可南子と宮沢りえ

 

この年の11月、当時人気絶頂のアイドルだった宮沢りえが、ヌード写真集「Santa fe(サンタフェ)」を発表。これが150万部のベストセラーとなりました。91年は「ヘアヌード」や「ヘア」という言葉が普及しはじめた年でもあります。樋口可南子(ソフトバンクのCM「白戸家の人々」のお母さんですね)のヌード写真集「water fruit 不測の事態」(91年1月)あたりを境目に、摘発対象であったヘア表現が実質的に解禁されたのです。

 

ところで貴花田と宮沢りえという名前から、二人の婚約(92年11月)とスピード解消(93年1月)を思い出した人もいることでしょう。その騒動のしばらく後、宮沢りえは缶チューハイのCM(94年)で「すったもんだがありました」との流行語も発信しています。

 

 

■【WWW】人知れず生まれていた現代につながる大発明

 

1990年代前半、通信ネットワークといえば「パソコン通信」が全盛の時代でした。そんな時代に、後のネットの利用形態を大きく決定づける発明がひっそりと生まれていました。91年、ティム・バーナーズ・リーという技術者が「WWW」(ワールド・ワイド・ウェブ)の運用を開始したのです。WWWとは、ざっくり言えばウェブページの仕組みのこと。世界中のコンピューターにテキストが置いてあり、テキスト内のリンクをクリックするだけで、他のページに簡単に移動できるという今ではお馴染みの仕組みです。この発明がなければのちに「IT革命」や「インスタ映え」が流行語になることもなかったでしょう。

 

※ほかにもこんな新語・流行語や、商品・サービスも……

新語・流行語:じゃあ~りませんか、チーマー、パンピー、火砕流

商品・サービス:ひとめぼれ、ウォーリーをさがせ!、カルピスウォーター、ストリートファイターII

 

 

■【まとめ】トレンディに漂う、懐かしいバブルの香り

 

動向・傾向を意味する「トレンド」という言葉は、現代でもよく使うカタカナ語です。例えばトレンドセッターといえば流行仕掛け人の意味ですね。しかしこれが「トレンディ」(流行の、最新の)という言葉に化けると、途端にバブル時代の空気が漂い始めるので不思議なものです。冒頭で紹介したトレンディドラマもそうでしたし、また、ある雑誌は「トレンディにデューダしませんか?」とのコピーを登場させていました(89年10月。デューダは造語で「転職」の意。同名の転職情報誌名から)。お洒落なドラマも、街も、ファッションも、時には転職さえもトレンディと形容されたのがこの時代だったのです。

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新語ウォッチャー

もり・ひろし

1968年生まれ。電気通信大学卒。CSK総合研究所(現CRI・ミドルウェア)を経て、新語・流行語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・ウェブサイトなどでの執筆活動を行う。代表的連載に日経ビジネスオンライン(日経BP...

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