あなたが「裾上げ」で失敗する理由

ライフスタイル

 

皆さんはデニムやチノーズを買われる際、裾上げをするだろうか?「しないで大丈夫」と言う羨ましい方もいらっしゃるかもしれないが、大抵の方は多少は行うだろう。その一方で、裾上げしたら想定していたシルエットとは微妙に異なってしまい、残念な思いを経験された方も結構多いのではないか。特に近年の流行であるテーパード、つまり膝から裾にかけて徐々に細くなって行くシルエットのものでは、結構な頻度で起きている筈。

 

理由は簡単だ。まず、裾上げすると当然ながら「裾幅」に狂いが生じる、と言うか結果的にそこが想定より太くなってしまうから。膝幅と裾幅にそこまでの違いがないストレートシルエットのものならともかく、その「差」が魅力でもあるテーパードシルエットのものでは、これはかなりの致命傷であることは容易に想像できよう。

 

更には、その種のパンツを裾上げすると股下丈が短くなるだけでなく、「想定上の膝位置」とズレが生じてしまうからでもある。パンツのメーカーは膝位置を通常、股下丈(股の付け根から裾まで内股の縫い目を測った距離。「レングス」とも言う)の半分より5㎝上に設定している。例えば股下丈が34インチ=約86.4㎝のジーンズでは、膝位置は裾から86.4/2+5=約48.2㎝(股の付け根からだと86.4/2-5=約38.2㎝)の位置に定めていて、ここの幅を「膝幅」と称し、シルエットを構成する基準点の一つとしている。もし仮にこの股下を5㎝詰めると、その基準点が詰めた分の半分=約2.5㎝も当初からズレることを意味する。近年のものは美脚効果を狙い「想定上の膝位置」を前述した個所より上に設定している場合も多いものの、この2.5cmのズレは視覚的に決して小さなものではない。

 

アメリカでは同じウェストサイズのデニムやチノーズが、2インチ単位で股下丈を3~4種類も用意されているのが当たり前なのは、昔から通信販売が盛んな土地柄故に店頭での裾上げが省略できるからだけではない。これらのような「見え方の変化」を極力防ぐためでもあるのだ。我が国でもチノーズのレングスを約10センチの差で長短2種類用意するファストファッションブランドもありはするが、できればもっと細かく用意していただきたい!

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飯野高広

飯野高広

1967年東京生まれ。大学卒業後、扱う商品も社風も非常にカタい某大手メーカーに11年あまり勤務し、2002年にファッションジャーナリストとして独立。執筆分野は紳士靴をメインにスーツなどの重衣料やシャツ、傘、バッ...

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