そもそも「学歴フィルター」はなぜ存在するのか? 新たな学歴差別の真実に迫る

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『学歴フィルター』(福島直樹/小学館)

学歴フィルターという言葉がある。就活などの場面で、企業が学歴のみを理由に学生をふるいにかけることを指してこう言う。一部では「学歴差別」などと言われ、批判の対象にされがちな学歴フィルターだが、そもそもこれはなぜ存在しているのだろうか? なぜ企業は学歴にこだわるのか、また企業の学歴フィルターを突破するにはどうすればいいのか? それを紹介したのが『学歴フィルター』(福島直樹/小学館)である。

 

そもそも、本当に学歴で優秀な人材かそうでないかは測れるのだろうか。企業側の意見としては、これは「YES」と考えられているようだ。本書曰く「優秀な学生」の出現率は出身大学の偏差値に在る程度比例しているという。企業側から見て、偏差値の高い大学の学生には優秀と感じられる人材が多いのだそうだ。つまり、より優秀な就活生を捕まえたい企業側としては「偏差値の高い大学の学生だけを集めたい」が本音だということになる。この心理と、それを裏付けてしまう合理性が、学歴フィルター誕生の理由だ。

 

では、高学歴の学生の方が優秀な人材が多いという事実がある以上、学歴フィルターが存在するのは仕方ないのだろうか。いいや、そうとも言い切れない。そもそも学歴フィルターの存在に肯定的な人は、得てして次のような意見を述べる。

 

「高学歴の人はそれなりに努力して上位大学に合格したのだから、学歴によって高評価を得たり、チャンスを得たりするのは悪いことではない」

 

このような意見に基づいて考えると、学歴を基準に判断することはむしろ合理的かつ平等であるようにも思えてくる。しかし、それには評価対象となるすべての人が平等に学習機会を得ていることが大前提となるのだ。まったく同じ条件で指導を受け、同じレベルの環境で勉強をしていた2人がそれぞれ偏差値の違う大学に入学したとしたら、そこにあるのは確かに本人の努力や才能の違いのみだろう。しかし、現実はそうではない。貧困から大学進学を断念せざるを得ない人も居る。本書では、奨学金を借りて中堅私立大に進学し、勉学に励んで優秀な成績を収め、しっかりした会社の内定をもらった人のエピソードが紹介されている。

 

著者は、このエピソードの主は環境にさえ恵まれていればもっと上のランクの大学に入学できたのではないかと考えた。環境さえ整えばもっと上を望める人が、お金などの外的要因から進路を断定せざるを得ない、こういった例は、さほど珍しくないだろう。学歴フィルターの存在は、こういった背景を持つ人にとってはより理不尽なものとなる。ここまで顕著なものでなくても、幼少期の家庭環境などで勉強の習慣がついていたりいなかったり、親の教育方針などでも環境の差は生まれるのだ。そして、幼少期の家庭環境や親の教育方針は本人の意志で選べるものでも変えられるものでもない。学歴がこういった本人の自由意志とは無関係な要素の積み重なりだとすれば、それだけで判断するのはなんとも不平等ということになる。

 

現実問題として、学歴フィルターを突破することは可能なのだろうか。結論から言えば、不可能ではない。まず、会社説明会において、たとえインターネット上の表示が「満席」となっていても構わずセミナー会場に行くことだ。アポなしで行くわけだから、予約して行くよりもいっそうきちんとした対応が求められることにはなるが、少なくともその場で企業の担当者に怒られて追い返される、ということはまずない。会社の説明会は、多くの場合たとえ予約段階では満席でも、実施までにいくつかのキャンセルが出ることが多い。そのため、飛び入りで行っても意外と参加できるという。

 

また、一度跳ねのけられても食い下がる姿勢を見せることで、仕事に意欲的・行動力があるという印象を企業側に与えることもできる。うまくいけば、得られるメリットは大きいと言えるだろう。本書では、さらにES書類選考を突破するためのコツも紹介されている。志望している企業に学歴フィルターの存在を感じるのであれば、一度目を通して見ると良いだろう。

 

文=柚兎

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