キユーピー・マヨネーズがキャップを3つ穴に変更…もしかして「インスタ映え」狙い?

ライフスタイル

 

■マヨネーズのキャップの穴が3つになった理由

 

昔、マヨネーズのキャップには大きな穴ひとつしかありませんでした。いつの間にかキャップ部分に小さな穴を追加して、細く出せるようにもなりました。そんなマヨネーズの穴にも久々の改良が施されます。

 

これまで小さな穴1つだったキユーピー・マヨネーズ(内容量350gのみ)のキャップが3つ穴になって、2018年8月3日から順次出荷されるようです。2015年におまけとして3つ穴キャップを試し、綿密な市場調査を行った結果の全国展開。マヨネーズやケチャップなどペースト状の調味料に対して細い穴を複数(3つから5つが一般的)つけた容器自体は、お好み焼き屋や屋台でも使われるもので、アイデア自体は以前から存在しています。こうした容器はAmazonなどでも購入できますが、業務用をうまく転化した発想といえるでしょう。

 

単に小さな穴を1つから3つに増やしただけに聞こえますが、神は細部に宿ります。よく見ると、外側の2つの穴は少し大きく、真ん中の穴は小さくすることで、子供でも出しやすい工夫を施しているのです。

 

担当者への取材記事から、今回のキャップ変更には2つの狙いが読み取れます。一つは、「小さな子供が楽しんでマヨネーズをかけられる」。3つ穴の工夫に力を注いだのも合点がいきます。もう一つは、「比較的若い女性を狙ったインスタ映え」。

 

 

■じつは「インスタ映え」狙いじゃなかった?

 

ちょっと使うのが恥ずかしくなってしまう「インスタ映え」は2017年の流行語大賞ですから、2015年から市場テストを始めたことを考えると、「インスタ映え」を狙ったというよりも、単に「料理映え」のために考案されたと考えるのが妥当かと思います。

 

意外だったのは、マヨネーズの主要ユーザーは中高年で、若者のマヨネーズ離れが課題になっていること。自分自身がその層(若者)にいないと、なかなか気づかないものです。年齢層別のマヨネーズ消費量データは見つかりませんでしたが、全国マヨネーズ・ドレッシング類協会の集計によると、2001年から2010年までマヨネーズの生産量は減少傾向にあり、2011年より現在まで微増傾向にあるものの、直近の2017年~2018年を見てみると伸び悩んでいます。

 

テコ入れのために、マヨネーズで6割以上のシェアを持つキユーピーが若者の需要を喚起しようとするのも納得がいきます。子供時代からマヨネーズに親しませて、若者たちにマヨネーズの使い方や良さをインスタなどを通じて伝えようとする戦略が見えてきます。

 

 

■シェアする瞬間の重要性

 

Googleは、2011年にZMOTという考え方を提唱しています。MOTというのは「Moments of Truth」、日本語で言えば「真実の瞬間」となります。これは80年代に、スカンジナビア航空が「顧客がブランドを体験する瞬間」の重要性を訴えるために普及させた言葉。

 

2000年代になって、P&Gは「顧客がブランドを選ぶ瞬間」としてFMOT(First Moment of Truth)、「顧客がブランドを体験する瞬間」としてSMOT(Second Moment of Truth)というモデルを提唱しました。スマホが普及した2010年代になって、Googleが「スマホが生んだ新しい瞬間」としてZMOT(Zero Moment of Truth)へとさらに発展させたわけです。

 

このモデルでの一つのポイントは、ZMOTで購入する前にスマホを活用し、SMOTでブランドを体験した人がそれをオンラインでシェアをして、さらにZMOTを作っていくという循環です。「顧客がシェアする瞬間」としてTMOT(Thrid Moment of Truth)ということもあります。SNSやレビューサイトでのシェアは、ZMOT形成での重要な要素となります。確かに、比較的若年層や女性に強く、ビジュアル訴求が中心のインスタは、数ある媒体の中でもふさわしいと考えられます。

 

 

■インスタ映えを狙ったら、ウケるのか?

 

そこでインスタ映えを狙った商品企画について調べてみました。

 

2016年に米国のファストフード Sonic Drive-Inは、「インスタのために世界で初めてデザインされたシェイク」を使ってのキャンペーンを行っています。インスタ担当のシェフとデザイナーがインスタ向けに開発した正方形のシェイクです。キャンペーンが継続しておらず、またインスタやYouTubeの動画からの反応を見る限り、期待した効果が上がったのかは疑問です。

 

2018年に資生堂は「POSME」という女子高生との共創事業を始めました。現在は商品としては目元や唇用カラーアイテムの「プレイカラーチップ」しかありませんが、約20名の高校生に商品企画・コミュニケーションを任せて、高校生がインスタでの発信源となっています。試みとしては面白いですが、フォロワー数はまだ1350人程度なので、試行錯誤が必要かと思われます。

 

どうやらインスタ映えを狙って作られた商品が即ウケるという訳ではなさそうです。

 

一方、巷でインスタ映えする言われているのはスターバックス。確かにドトールやルノアールと比べると断然インスタへのアップ率は高いです。これはスターバックスが「インスタ映え」をもろに狙ったり、訴えているからではなく、スターバックスには「場所も含めて見栄えがいい」「各店舗に個性がある」「限定品が多い」「スタバにいる自分が好き(と思わせる)」などという特徴があるからだと考えます。インスタ映えは狙いすぎず、さりげなく、ブランドの本質に沿ってやるべきということではないでしょうか?

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プロダクト・リサーチャー

四方宏明

1959年京都生まれ。神戸大学卒業後、1981年にP&Gに入社。以降、SK-II、パンパースなど、様々な消費財の商品開発に33年間携わる。2014年より、conconcomコンサルタント、WATER DESIGN顧問として、商品、サービス...

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