ミニバンは高齢者に全然優しくなんかない!

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籠島 康弘

ミニバンは高齢者に全然優しくなんかない!

最近、国内のタクシーがミニバンに切り替わりそうだというニュースがあった。なんでも高齢化社会を迎えるにあたり、お年寄りの乗り降りのしやすさに配慮し、また2020年の五輪に向けて外国人観光客が増えることも考慮したという……んだけど、いやいや、ちょっと待ってくれ。

 

体の大きな外国人観光客は喜ぶだろうけど、お年寄りが本当に喜ぶとでも思っているのだろうか。ミニバンですよ。ようやくホンダ以外にも低床をウリにしたミニバンも出てきたけれど、たいていは「セダン並み」と謳う。ということはメーカーもミニバンのほうが床が高いと認めているということだ。

 

つまり乗り込む際で言えば、ミニバンのほうが片足を大きくあげて「どっこいしょ」となる。若者や私のようなおじさん、さらに昔と比べて元気な最近の60代にとって、車の床の高さなんて気にならないだろうけど、ヒアルロン酸の錠剤が手放せなくなってきたお年頃の方々には、実はこれ、結構骨の折れる作業なのだ。

 

それこそ杖をついたり、一見ベビーカーみたいだけど子どもが乗るべき部分はよく見ると買い物バッグが付いているという謎の4輪車(シルバーカーというらしい)を押しながら歩く人からしてみれば、この「どっこいしょ」がホント、やっかい。

 

 

だから日産の福祉車両を手がけるオーテックや、トヨタの福祉車両を扱うトヨタハートフルプラザによると、福祉車両の一歩手前として、ミニバンにサイドステップを付ける人や、乗降時につかまるためのグリップを用意する心の優しい息子さん&娘さんも増えているのだとか。

 

たかが「どっこいしょ」、されど「どっこいしょ」。か弱い親のこの言葉を無視してしまうと、息子&娘さんはきっと後悔をすることになる。何しろ、片足を上げた状態、つまりもう片方の足一本で立っている状態というのは、足腰の弱った人間でなくても本来不安定な姿勢ですから。

 

転倒でもしたらさあ大変。骨密度の低い方々だから、下手すりゃ骨折だ。そうなると骨折が治りにくいお年頃ゆえ、寝たきり生活に。寝たきりになるとさらに筋力が衰えるため、例え骨折が治っても今度は起き上がるのが大変。こうして多くの場合、長期寝たきり生活へと突入し、息子&娘さんはその介護を迫られることになる。

 

それよりもセダンタイプのほうが床は低いし、車によっては両足を地面についたままお尻をシートに落として座れる場合も。その際間口の広いタントのような軽自動車のほうが、お年寄りには優しい。

 

 

というわけで、ミニバンは高齢者に全然優しくなんかないんだけど、冒頭の通り、なぜか勘違いしている人が多い。

 

きっとミニバン=3世代家族で楽しくドライブ、というイメージが強いからだろうけど、それは孫と一緒に車に乗れるから笑顔になるだけであって。見知らぬ運転手と出会えるからってミニバンのタクシーに乗りたがる人がいるとは思えない。

 

ついでに「親のためにミニバンを買った」という心優しき息子さん&娘さんにアドバイスしておくと、もしも親がミニバンに乗るのが辛そうに見えたら、先述の通りサイドステップとか、乗降口に大きなグリップなどをつけてあげて下さい。さらに乗車中に掴まれるグリップがあるとベスト。何しろ体幹が弱っているので、乗車中に揺れる体を支えきれないから。

 

まずは自分の親が車に乗る際に辛そうかどうか、また乗っている時に何かにつかまりたそうにしていないか、そっと観察してみてはいかがだろう。

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籠島 康弘

All About 「中古車」ガイド。カーセンサー編集部、フリーの編集&ライターを経て、“中古車アナリスト”として活躍中。豊富な知識、独自の審美眼でキャッチした「おいしい中古車」情報が好評。

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