【もやもや】東京医科大学の女子一律減点「女は結婚出産して辞めるからいらない」は、本当に妥当なんだろうか

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東京医科大学に入試試験の採点操作があったことが報道され、話題になっています。最初の報道では、一般入試の一次試験で女子受験者の点数を一律に減点していたとされ、それを「性差別だ」と憤っている人も少なくありません。

 

「明らかな人権侵害だ」と言っている人もいます。「メディアで働く女性ネットワーク」という団体は、「当事者への謝罪を求める」との声明を発表し、文部科学省や厚生労働省、内閣府男女共同参画局に対して、全国的な実態調査や再発防止を要請したとのニュースもありました。

 

この件についての内部調査委員会の発表によると、2018年度の入試では、二次試験の小論文の点数を全員0.8倍にして、さらに現役と1浪、2浪の男子は20点加点、3浪男子は10点加点、4浪男子と女子は加点しないという取り決めのもとに採点が行なわれたそうです。

 

つまり実際は「女子減点」ではなく、3浪までの男子だけ、テストの点数にゲタを履かせてもらえていたということでした。つまり東京医科大学は「2浪までの男子しか、基本いらない」と思っていることの表れといえましょう。3浪は「ギリ」。女子と4浪男子は「よっぽど優秀じゃなければいらない」ということで、女性だけを差別しているわけじゃないことがうかがえます。単に「東京医科大学はいろいろ偏っているだけ」とでもいいましょうか。

 

医学部は他の大学の学部と違って、教養を学ぶ場所ではなく、いわば職業訓練的な役割を担うところです。そして、親や知り合いが病院を経営していたり、開業医にでもならない限り、自分の入った大学の病院かその系列の病院に就職することになるわけです。なので私立の医学大学が、「大学病院に勤務してくれる人を入学させたい」という気持ちはわかります。東京医科大学はこの報道の直前にも、不正合格者を出したことでニュースになっていましたが、それだって、その人を合格させたほうが大学病院にとってメリットがあったからなのでしょう。

 

筆者は東京医科大学を受けたわけではないし、そもそも医学部を志したいと思える頭脳も資金もなかったですから、東京医科大学がどんな入試方針をとっているとしてもどうでもよいのです。それに、人生の中でお医者様とは、患者として診てもらう際しか関わらないですし、いいお医者さんになってくれる人さえたくさん輩出してくれさえすれば、問題ないのです。

 

実際にお医者様になった30代の女性に聞いてみると、「東京医科大学だけじゃなく、私が受験したころから、〇〇大学の医学部は女性は3割しかとらないといった入試情報は普通に出回っていたし、受験生の中で女性の定員が男性より圧倒的に少ないというのは、暗黙の了解という感じでした」とか。受験するご本人たちがご承知で、それを受け入れてらっしゃるのであれば、部外者が口出すことでもないよな、とも思うのです。

 

ただ、自分の大学が女性と4浪ばっかりになるのがイヤならば、普通に女子枠と男子枠、そして多浪枠を分ければいいのに、とは思います。何が不快かって、「うちは男女平等だし、縁故入学とかさせてませんし、フラットにやってますから」的な見せ方をしている裏で、ごにょごにょやってるところです。ですから、病院としてあまりいい印象は持てないし、患者として東京医科大学に行くのはイヤだなぁとは思ってしまいます。

 

 

■「女性は結婚、出産、育児で離職するから」の構造を変える気はないのか!?

 

そして、もっともひっかかるのが、「女性はいらない」という理由が「女性はたとえ医師になっても結婚、出産、育児などで離職するため、現場での戦力にならないから」というところ。これは、お医者様の世界だけでなく、一般の企業でも言われがちなことです。女性は、この枠からいつまでたっても出られないのかなって思ってしまいます。

 

女医でタレントの西川史子さんが、テレビで言っていた「入試の点数で上から合格させてたら、日本の医師が女性ばかりになってしまう。そうなると、体力が必要な外科医が足りなくなってしまう」「男女でできることが違うから、バランスをとるのは大事」というのは、わかるんです。でも、結婚も出産も育児もしてないうちから、「戦力にならないでしょ」と切り捨てられるのは、やはり人権侵害じゃないでしょうか。結婚も出産も育児もしない女性のことは無視ですか……となりませんか?そして、優秀な女性が仕事を続けながら結婚も出産も育児もできる環境を整えるっていう発想はないですか?と思ってしまうのです。

 

実際、結婚や出産や育児などで離職する女性は多いです。確かに、「できることなら働きたくない」という女性もいます。しかし、女子は基本的に欲張り。なので、「できることなら仕事を続けたいけれども、環境が整っていないから諦めるしかない」という人のほうが圧倒的です。「無理をしてでも働く」という道を選んで疲弊している女性も少なくありません。この状況はいつまで続くんでしょうか。

 

女医さんを含め、働く30代40代の女性のみなさんに聞いた「“女子は結婚出産育児で辞めるから戦力外”は妥当と思いますか?」の回答を紹介します。

 

「職場環境が悪いから結婚出産したら辞めざるを得ない」という状況は、平成最後の夏でも改善はおろか理解もされてない。

 

「私は医者なのですが、西川史子先生がおっしゃる通りだと思います。女子の定員操作は東京医科大学に限らず、どこでもあることですし、私の大学は女子が4割でしたが、外科には乳腺外科に1人進んだだけ。臨床実習などで外科を回ると、ここでは働けない……って思ってしまって、外科に進みたいという子はほとんどいないんです。現在の状況で女性ばかりになれば、外科医は足りなくなると思います。

そして、戦力外というのも、そうなのかもしれません。私の仲良しの女医15人いる中で、フルタイム勤務しているのは1人だけで、その彼女は独身です。それ以外の14人は、結婚と出産を理由に退職、産休、育休、非常勤。現実問題として、出産や育児とフルタイム勤務の両立は無理なんです。院内保育できるとか、働きやすいシフトが組まれるとか、女性が働きやすい環境をもっと作ってくれたら、外科に進みたい子も増えるかもしれないですけど……」(医師・33歳)

 

「入社試験でも、採用担当者が上司から“男子を多めに残せ”と言われるところもあるみたいです。普通に試験をしたら女子の点数は高くなる。で、点数の高いほうから採用したら、社員が女子の方が多くなってしまうからって。つまりは、女子は結婚出産で離職率が高いから困るっていう理屈です。

でも、戦力外と思われていると感じれば、優秀な女性や仕事を続けたいという人ほど、子供は持てないなって思うじゃないですか。少子化に歯止めがかからないのも当然ですよね…。子供は産め、働け、でも働きやすい環境は作らないよ、だってここは男社会ですからね、っていうの、もはや地獄じゃないですか?」(マスコミ勤務・47歳)

 

「基本、日本の男性って働き者ですよね。働いてないとクズって思われるし、たぶん本人たちも、働かない男はクズだって思っていると思うんです。だから、働いてなくても威張っちゃうんでしょうし。ある意味、気の毒ですよね。

女性の場合、働いていなくてもクズなんて言われないし、本人たちも思ってないと思う。ひと昔前は、“家事手伝い”なんて肩書きもまかり通っていましたしね。むしろ働かないことのほうがステイタスなところも、いまだにあるじゃないですか。だからこそ、一生懸命働いている女性たちが肩身が狭いっていう部分はあると思うんですけど。

男性から、“女はいいよな、結婚っていう逃げ道があって”とか言われると、お前は妻子を養えるくらい稼いでるのかよ、って鼻で笑っちゃいますけど、確かに、男性は逃げ道がないって思っちゃうんでしょうね。いや、逃げ道はあるけど、それはクズの道っていう(笑)。だから、女性は戦力外だと思わないとやってられないんだろうな、かわいそうな人たちだなって思っています」(医師・40歳)

 

 

 

■家庭を持っても働きたい……!けど、働けない環境に諦める

 

「私が出産した病院の産科の担当の先生が女性だったんですが、3日間、ずっといたんですよね、病院に。“なんで帰らないんですか?”って聞いたら、“あなたたちがどんどん出産するからでしょうが”って笑ってらっしゃったんですが、お医者様も大変だなぁって思いました。私は出産を期に徹夜三昧の職場から、フリーランスになりました。職場の雰囲気が、私に辞めてくれという状態になったからです。

私は、職種がちょっと特殊だったのでキャリアを諦めずにいられましたが、一般企業に勤めている場合、真面目な女性ほど、戦力から離脱したら働き続けることはできないって考えてしまうと思います。ライフワークバランスなんて言われていますが、実際問題、ムリですよ。だって、仕事に24時間捧げろ、みたいな風潮があるじゃないですか。男女問わず、働き方の工夫にもっと頭脳を割いたら、もっと生きやすくなると思うんですけど、考える気も、そんな心の余裕もないと思います。ただただ働いているだけなんで(笑)」(フリーランスPR・34歳)

 

「結婚出産育児での離職率が高いのは、辞めざるを得ない環境しかないからです。私は出産後、子供が小学校に上がる前まで働いていましたが、それも子供が1人だったからです。2人目の子を妊娠して、もう仕事は無理だなと思いました。それまでも、家事育児はワンオペだったので。

今、ものすごく辛いです。主人は働いていない私を見下しているし、私も、夫に捨てられたら経済的に生きていけません。だから、罵倒されたりして悲しい気持ちになっても、耐えなければいけません。子供はかわいいです。でも、仕事を続けられていたら、こんなに夫にバカにされたりなめられたりすることもなく、もし、そうだったとしても、離婚できる。今は、本当に動けないんです。寄生した生き方は心を蝕んでいくと思います。働きたいです」(主婦・36歳)

 

女性のみなさんにお話を伺ってみると、意外というべきか、「戦力外と言われてもしょうがない」という意見が多かったです。その理由として挙げられていたのが「職場で求められていることが実際できないから」でした。そこには、諦めにも似た感情が漂っていました。こんなに、生きる希望を消し去ってしまっていいのでしょうか。いや、いけないと思います。次の元号の時代には、ワークライフバランスとか女性の働く環境の改善とか男女平等といった言葉が、ただのきれいごとじゃなく、きちんと稼働しますように。

 

「対等に扱って欲しいなら、女性は男性の3倍頑張らないと」はいつまで続くのかな……。

 

 

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