「日傘男子」より「帽子紳士」──なぜ環境省は「帽子」をクールビズとして勧めないのだろうか?

ライフスタイル

 

日本の夏は超多湿だ。ジメッと重くて、じっとり汗ばむ。女性の美肌には良いらしいが、男が湿っているのはいただけない。吹き出す汗は乾くことなく、吸汗速乾、接触冷感のアンダーウェアを着たところで暑いものは暑い。冷却スプレーやら汗ふきシートなどで払拭しようにも限界がある。唯一の武器はエアコンのドライ機能だ。日本の夏を快適に過ごすには湿気から逃れることが第一で、空気が湿っていては、どんなに風通しのよいところにいようが日陰に入ろうが、つねに水蒸気がまとわりつくようで不快なことこの上ない。たとえ日傘をさそうとも、だ。

 

日傘男子」は「日傘は女子の特権」という意識があるからこその言葉。だが、あるアンケート結果によれば、「男性が日傘をさすことは気にならない」とする回答が87%を占めたという。日傘=ジェンダーレスアイテムという意識なのだそうだが、UV加工された生地を張った大量生産の安価な傘を「男のギア」と呼ぶのは少々気が引ける。ファッション業界に長く身をおくと、100年を超える英国の老舗で老練職人が一本ずつ丹精込めて作り上げた傘なら、ノータイムで財布を開く気になるのだが、如何せんamazon2000円ぐらいの傘には食指が動かない。かといって一本1万円を超える傘を雨にさらす度胸もなく、結局ビニール傘を常用している自分は、全然駄目だと思う。

 

 

■おっさんだから似合うアイテム

 

むしろ夏場は日傘より帽子をオススメしたい。体全体を覆う影はできないが、顔周りが日陰になるだけでも、陽射しの厳しさはかなり和らぐ。通年帽子を愛用しているが、夏はとくに被っていてよかったと思う。黒い帽子は汗が滲んで乾くと塩が浮くが、毎年新調してでも帽子をかぶる。パナマハットもいい。歴史と伝統に裏打ちされた、紳士の小物としての魅力も十分だ。本パナマと呼ばれるものは、南米エクアドルの限られた街で手編みされたものだけに授けられる呼称で、その証は帽子内側の焼印で確認することができる。個人的にはボルサリーノを愛用しているが、麻生大臣も愛用するこのブランドは、少し前に経営破綻が報道されたが、最近再建の目処が立ったという。この秋には日本法人も設立されるだけに、洗練されたコレクションが展開される予定だ。

 

若い人がかぶるとチャラけて見えるが、分別ある大人の帽子は渋さを増して女性ウケもいい。薄くなった頭髪を隠してくれるという副産物もある。20年以上言い続けているが、いまだ流行らないのは不思議でならない。ちなみに、ここは強調しておくが幸い僕はまだフサフサだ。環境省のクールビズガイドラインになぜ「帽子」と書かないのだろう。

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ファッションエディター・ライター

池田保行

神奈川県横浜市出身。ファッションエディター・ライター。大学卒業後、出版社勤務を経てフリー。 2004年よりファッション エディター & ライター ユニット ZEROYON 04(ゼロヨン)を主催。 毎年1月と6月にイタリ...

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