【その薬、本当に必要?】「早めに飲めば、早めに治る」の落とし穴

ヘルス・ビューティー

Suits-woman

 

薬を使わない薬剤師、宇多川久美子先生にお薬の使い方を教えてもらうシリーズ。当たり前のことですが、お薬を飲まずに済むならそれに越したことはありませんね。でも中には、医療はとても進化しているし、いいお薬が開発されているのだから、それを飲んでどうしていけないの?と思われる方もいるかもしれません。

 

 

■早めの一錠が免疫システムを弱くする

 

そこで宇多川先生に今一度、聞いてみました。

 

「どうしてお薬に頼っちゃいけないの?」

 

お薬に頼っちゃいけないのは、早めの一錠が免疫力を弱めてしまうから〜!(チコちゃんふうに聞かれたので、チコちゃんふうに答えてみました。)

 

季節の変わり目、早くもかぜ薬のCMが流れ始めましたので、かぜ薬を例にご説明しましょう。熱っぽい、寒気がする、そんなとき早めにかぜ薬を飲めば次の日スッキリ!といったイメージが世の中に広く行き渡っているかと思います。

 

でもそれが落とし穴! 

 

「体温が1度上がると免疫力は3割上がる」と言われています。かぜを引くと熱が出るのは、私たちの身体が、免疫力を高めるために体温を上げているからです。

 

たしかに、かぜ薬には解熱成分が入っているので熱は下がるでしょう。しかし、体温が上がらないので免疫力も上がりません。熱が下がって、いったん治ったように見えて、またすぐ具合が悪くなってしまう人が多いのはこのためです。

 

もともと私たちの体には病気や怪我を治す力、すなわち「自然治癒力」が備わっています。自然治癒力の主役が免疫システムです。たとえば身体にかぜウイルスが侵入してきたとき、熱を上げたり、咳で吐き出したり、鼻水で流したりしてウイルスの増殖を抑えようとします。熱や咳、鼻、のどの痛みといった不快な症状は、自分の免疫システムがウイルスと闘っている証なのです。

 

ところが早めに薬を飲んでしまうと、免疫システムはうまく働きません。かぜ薬を飲むと、たしかに症状は抑えられるかもしれません。それが、「早めに飲めば早めに治る」という思い込みを強固なものにしていくのだと思います。でも一時はよくても、長い目で見れば免疫力を弱めてしまうことになるのです。

 

 

■早めに飲むと逆にかぜが長引くわけ

 

「早めに飲めば早めに治る」の落とし穴は、症状が抑えられるだけなのに「治った!」と錯覚させられてしまうこと。実際にはかぜウイルスはまだ身体の中に残っているかもしれません。

 

もうひとつ、大きな落とし穴があります。それは薬で症状を抑えてしまうことで、身体にさらに無理をさせてしまうこと。熱が下がれば「もう大丈夫」と会社に行ってしまう人が多いですよね? かぜを引いても会社を休めない。これはやはりおかしいですよね。

 

かぜを引いた=身体が弱っているのですから、無理をしないで休まなくてはいけないのです。薬を飲まなければ、熱も下がらず家で寝ていることでしょう。薬を飲むばっかりに熱が下がって、本来休むべきところ無理をしてしまう。これによって身体が休養できず、いつまでも免疫力が回復せず、かぜの治りが遅くなるのです。

 

早めにかぜ薬を飲むことで早めに治るのではなく、むしろ長引かせてしまう可能性があります。それに気がつかないところが「早めに飲めば」の落とし穴です。

 

もちろん、症状がつらいときや、すぐに抑えたほうがいい症状もあります。たとえば、高熱でうなされて眠れないなら薬で下げたほうがいいですよ。そのほうがゆっくり眠れるからです。免疫力はよく寝たほうが高まります。寝られないぐらい症状がつらいなら、薬を飲んでぐっすり寝て、免疫力を高めた方が有効です。

 

そういう時にお薬を使うと、効果が出やすいです。逆に言うと、本当に必要な時のために、お薬は“お守り”として取っておきましょう。

 

お薬は使いどころが肝心。イザという時のために上手なつきあい方を知っておきましょう。

 

賢人のまとめ

かぜの引き始めに薬を飲んで熱を抑えてしまうと、かえって治りが遅くなることがよくあります。薬は本当につらい時のために取っておくのが賢明です。

 


薬の賢人 宇多川久美子

薬剤師、栄養学博士。(一社)国際感食協会理事長。明治薬科大学を卒業後、薬剤師として総合病院に勤務。46歳のときデューク更家の弟子に入り、ウォーキングをマスター。今は、オリジナルの「ハッピーウォーク」の主宰、栄養学と運動生理学の知識を取り入れた五感で食べる「感食」、オリジナルエクササイズ「ベジタサイズ」などを通じて薬に頼らない生き方を提案中。「食を断つことが最大の治療」と考え、ファスティング断食合宿も定期開催。著書に『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)など。LINEお友達限定で、絶対に知っておきたい薬のリスク情報配信中。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

Suits-womanの人気記事をお届けします

SNSで記事をシェア

Suits-woman

Suits-woman

働く〝堅実女子〟のためのリアルライフマガジンとして発行されているSuits WOMAN。雑誌名は、働く女子のための服=スーツから付けられました。またSuitsには英語のsuit (ぴったり合う)という意味も。あなたのライフ...

Suits-womanのプロフィール&記事一覧
ページトップ