【中年名車図鑑|2代目トヨタ・ソアラ】世界最先端技術の粋を結集した“世界を超える”プレステージスペシャルティ

車・交通

大貫直次郎

いわゆる“デートカー”として一世を風靡した初代トヨタ・ソアラは、デビューから5年あまりが経過した1986年になるとフルモデルチェンジを実施。世界最先端技術の粋を結集した2代目に移行する――。今回は “最高級プレステージスペシャルティ”を謳って登場した新世代のSUPER GRAN TURISMOの話で一席。

 

【Vol.89 2代目トヨタ・ソアラ】

 

1981年2月に発売されたトヨタ自動車のソアラ(Z10型系)は、ビッグスペシャルティカーという新ジャンルを作り出すと同時に、いわゆる“デートカー”という自動車文化を創出。さらに、日本のカーテクノロジー発展の先駆的役割を果たすというエポックメーキング車に発展していた。

 

 

■トヨタの最新技術をフル投入した第2世代の高級スペシャルティ

 

先進のヒューマンエレクトロニクスを積極的に採用したハイテク感あふれるインテリア。3.0GT-LIMITEDは豪奢なレザーシートをおごる

大成功を収めたクルマのモデルチェンジは、基本コンセプトを大きく変えるべきではない――市場の志向を最大限に重視するトヨタにとって、それは既定路線だった。ただし、ソアラはトヨタの技術力を象徴する1台。次期型では、より先進的なテクノロジーを豊富に盛り込む必要があった。結果的に開発陣が打ち出した次期型のメインテーマは、「世界最先端技術の粋を結集した最高級プレステージスペシャルティ」の実現。具体的には、“世界に並ぶクルマ”から“世界を超えるクルマ”を目指した。折しも当時は“Japan as №1”のフレーズのもと、日本の工業製品が高く評価され始めた時代。世界最先端で最上のクルマを生み出す機運は、十分に熟されていたのだ。


トヨタ渾身の最高級プレステージスペシャルティとなる2代目ソアラは、Z20系の型式を付けて1986年1月に市場デビューを果たす。キャッチフレーズは初代と同様の“SUPER GRAN TURISMO”。さらに、「絶え間なく進化するものだけが新しいステージに立つことができる」という一文が加わり、進化したビッグスペシャルティカーであることを目いっぱいに主張していた。

 

ボディとガラスの面一化を図ったフラッシュサーフェスキャノピーを採用。超ワイド薄型ヘッドランプやクリスタル感のある透明ポリカーボネイト製のラジエターグリルが印象的だった


エクステリアについては、従来型と同様のノッチ付き2ドアクーペフォルムをベースとしながら各部を大幅にリファインする。ボディとガラスの面一化を図った球体イメージのフラッシュサーフェスキャノピーを筆頭に、透明二重レンズの超ワイド薄型ヘッドランプやクリスタル感のある透明ポリカーボネイト製のラジエターグリル、クリア塗装を施した透明軟質プロテクションモールなどを採用し、輝きのある高級感の表現と空力特性の向上を実現した。一方、室内デザインには先進のヒューマンエレクトロニクスを積極的に導入する。計器盤には視線移動の際に焦点が合わせやすい新開発のスペースビジョンメーターをセット。同時に、操作性を追求した電子コンビスイッチ&ステアリングサテライトスイッチや6インチカラーディスプレイを配したトヨタ・エレクトロマルチビジョン、空調とオーディオ機構のモード切替表示が可能なマルチコントロールパネル、細かく電動調整ができるマルチアジャスタブルパワーシート&マイコンプリセットステアリングなどを装備する。また、インパネからドアトリムまでを質感の高いスウェード調表地材で覆うグランベールインテリアを新規に採用した。


シャシーについては、理想的なアライメントおよびジオメトリーに仕立てた新設計の4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用する。また、バネには金属コイルスプリングのほかに世界初の電子制御エアサスペンション、さらにショックアブソーバーの減衰力を自動制御するTEMS(Toyota Electric Modulated Suspension)を設定した。一方、制動機構には電子制御式スキッドコントロール装置の4輪ESC、操舵機構にはPPS(Progressive Power Steering)を装備。ホイールベースは従来型より10mm長い2670㎜に仕立てる。搭載エンジンは新開発の7M-GTEU型2954cc直列6気筒DOHC24V空冷インタークーラー付ターボ(230ps)を筆頭に、1G-GTEU型1988cc直列6気筒DOHC24V空冷インタークーラー付ツインターボ(185ps)、1G-GEU型1988cc直列6気筒DOHC24V(140ps)、1G-EU型1988cc直列6気筒OHC(105ps)という計4機種を用意。トランスミッションには7M-GTEUエンジンに電子制御式2ウェイ・OD付4速AT(ECT)、1G-GTEUおよび1G-GEUエンジンに5速MTまたはECT、1G-EUエンジンに5速MTまたは2ウェイOD付4速ATを組み合わせた。

 

 


■“世界にひとつ、日本にソアラ”のキャッチを冠したマイナーチェンジ

 


7M-GTEUエンジン搭載の3.0GT-LIMITED/3.0GT-LIMITEDエアサスペンション仕様車/3.0GT(3.0系は全長4675×全幅1725×全高1335~1345mm)、1G-GTEUエンジン搭載の2.0GT-TWIN TURBO、1G-GEUエンジン搭載の2.0GT、1G-EUエンジン搭載の2.0VX/2.0VZ(2.0系は同4675×1695×1345mm)という7グレード構成でスタートした2代目ソアラは、後にバブルと称される未曾有の好景気の後押しもあって、販売台数を大きく伸ばしていく。とくに人気が高かったのは最上級仕様の3.0GT-LIMITED系グレードで、400万円オーバー(東京標準価格で3.0GT-LIMITEDが447万9000円、3.0GT-LIMITEDエアサスペンション仕様車が483万5000円)という高価格にも関わらず、多くの受注を獲得した。


開発陣の2代目ソアラにおける“世界最先端技術の粋の結集”というこだわりは、デビュー後も鋭意続いていく。1987年1月には、7M-GTEUエンジン搭載車に5速MTを追加。クラッチには高出力に対応したプル式クラッチスプリングを採用する。また、1G-GEUエンジンはノックセンサーを組み込むとともに最大トルクをアップ。さらに、1G-GTEUエンジン搭載車にエクストラ仕様を追加した。


1988年1月になると、“世界にひとつ、日本にソアラ”というキャッチを謳ったマイナーチェンジを敢行。7M-GTEU/1G-GTEUエンジンのプレミアムガソリン仕様化(240ps/200psに出力アップ)や内外装の刷新、サスペンションのセッティング変更などを行う。さらに、1989年1月には1G-EUから1G-FEエンジン(135ps)への換装や1G-GEUエンジンの改良(150ps)、1G-GTEUエンジンのターボタービンの変更(210ps)などを実施した。

 

 

 

■電動クーペカブリオレの「エアロキャビン」を設定

 

ソアラというと初代とこの2代目を想起する人が多いだろう。1991年に登場した3代目は大型化し、ソアラ人気も下降線をたどっていく


1989年4月には、魅力的なスペシャルモデルが設定される。3.0GTをベースに電動格納式メタルトップを組み込んだ「3.0GTエアロキャビン」が500台限定で発売されたのだ。ルーフとリアガラスはB/Cピラーを残しながら電動で2分割に折りたたまれ、Cピラーとトランクリッドのあいだに設けるルーフ格納スペースにきれいに収まった。後席部を格納スペースにあてたため、乗車定員は5名から2名に変更。リアクォーターウィンドウの縮小およびリアノッチ部の延長も図られた。また、通常はオプション設定のエアロバンパーやリアスポイラーなどが標準装備化され、3.0GT-LIMITEDに採用するレザーシートも組み込まれる。ボディはクリスタルホワイトトーニングⅡで彩られ、価格は430万9000円と高価だったが、すぐに限定台数に達して販売を終了した。


バブル時代の寵児として発展した2代目ソアラは、1991年5月になると全面改良が行われて3代目のZ30型系に移行する。その3代目は完全な国際戦略モデルに変身し、ボディサイズもエンジン排気量も完全な3ナンバー規格となった。3ナンバー車の3.0GT系を設定したものの、日本の市場動向を踏まえて5ナンバー規格を基本に据えていた2代目ソアラ。キャッチフレーズ通り、 “日本にソアラ”と声高にいえるのは、もしかすると2代目が最後だったのかもしれない。

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大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バ...

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