上司と部下、仕事に失敗したときの「なぜできなかったの?」をめぐるすれ違い

人間関係

citrus 桜井洸希

 

部下が仕事で失敗したときには、上司として報告を求めます。その時に発する、

 

「なぜ、できなかったの?」

 

の言葉。あなたも、よく耳にしませんか? しかし、実はこの当たり前のような言葉一つを巡り、上司と部下の間ですれ違いが起こっています。このときどんなすれ違いが生じていて、それを解消するためにはどのような方法をとれば良いのでしょうか。上司と部下それぞれの思いをひも解き、解決方法について考えます。

 

 

■上司は失敗を教訓にしてほしくて「なぜ、できなかったの?」と問う

 

上司は部下に対して、失敗を今後につなげてほしいと思っています。まだまだ若い部下にとって、仕事の失敗はつきもの。上司にとって、想定の範囲内です。肝心なのは、失敗を成長の糧にすること。そのためには、自分なりに原因を追究し、そのための解決策を見出してほしいのです。部下と一緒に原因分析をし、今後の仕事をブラッシュアップしていくために、部下に対して「なぜ、できなかったのか」を質問しているのです。それが明確にならない限り、今後の改善はあり得ません。

 

もちろん、責めたい気持ちも心の底にはあるでしょう。部下の失敗のつけは、上司である自分に回ってきますから。それでも、原因を追究し今後に繋げることは、上司部下双方にとってメリットが大きい。部下にとっては、仕事で結果を出すための力に繋がり、また実際に部下が成果を出すことで、上司自身の指導育成に関する評価が上がる。だからこそ、なんとしても、失敗を「怪我の功名」としてもらいたいのが上司なのです。

 

 

■部下は怒られると思いその場を乗り切るための言い訳を始める

 

部下は、上司から投げかけられる「なぜ、できなかったのか」のセリフを叱責と捉えてしまいます。そして、その報告の場を乗り切りたいと、様々な言い訳を考えるようになりがちです。なかなか根本的な原因を追及しようとはしないようです。失敗報告の場面は、部下にとって非常につらい時間。やらかしてしまった申し訳なさと、怒られるのでないかと言う恐怖心で、頭の中はいっぱいです。そのタイミングで「なぜ?」と理由を問われると、その言葉は心にグサッと突き刺さる。本能的に「この場から逃げたい」という衝動にかられ、言い訳を始めます。「忙しかったので」「連日の残業で疲れていたので」など、失敗の本質から外れた言葉ばかりに終始し、根本的な解決策が見出せないままになってしまうことが多いようです。

 

確かに「二度と同じ失敗はしたくない」という前向きな気持ちもあります。しかし、それ以上に上司から威圧感を感じてしまっているという事実。「なぜだ!」と上司から切迫され、前向きな思考力は停止し、どんな言い訳を使ってでもその場を逃れることにしか、頭が働かなくなってしまう傾向が強いのです。

 

 

■上司は「How?」で改善点を探り、部下は自分なりに改善策を提示すべし

 

このすれ違いを放置しては、たとえ部下の成長を願った上司の問いかけであったとしても、部下にとっては叱責の言葉でしかありません。これでは部下の成長に繋がるはずもなく、お互いにとって不幸です。それでは、このすれ違いを解決するためには、どのような手段があるのでしょうか?

 

某レストランの店長さん(男性/40代)は、ホールスタッフがお客様から接客について苦情を受けたときに、気を付けていることがあります。苦情を受けたことに「なぜ苦情を受けたんだ?」と理由を聞くのではなく、「どうしたらお客様が喜んでくれると思う?」と改善策についての考えを聞くようにしているのです。つまり、「過去」ではなく、「未来」に焦点を当てています。「Why?」では、過去の原因がフォーカスされています。過去の失敗に引け目を感じてしまっている部下にとっては、そこを突かれると非常に辛い気持ちになる。一方、「How?」は、未来の行動に焦点が当たっているため、問われた方はプラス思考になれます。「どんなふうに接客したら良いかな…?」と、今後うまくいくための方法を、ホールスタッフ自ら積極的に考えられるようになるのです。

 

一方で、部下は問いかけから逃げず、主体的に上司に考えを伝えることが重要です。まずは部下の成長を願う上司の気持ちを汲み取ること。そして、その場で建設的なアイデアが浮かばないのであれば、「少しお時間をください。改善策を考えてみます。」と一言告げて、その場を離れましょう。一呼吸置けば頭がクリアになり、自分なりの原因分析と改善策を上司に対して提示できるようになるのです。

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桜井洸希

サラリーマンのためのお悩み解決アドバイザー

桜井洸希

「サラリーマンのためのお悩み解決アドバイザー」として活動するエッセイスト。数万人の従業員を抱える某巨大組織に勤務する傍ら、世のサラリーマンが抱える仕事のお悩みに対する解決方法を提示するため、コラムを連載している。その解決方法は、正統派のものからアクロバティックなものまで、多岐に及ぶ。

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