稲田防衛大臣もヒラリーも…「女の涙」が響くとき、嫌われるとき

人間関係

 

臨時国会で厳しい追及を受けた稲田防衛相が涙ぐむ場面がありました。人の涙というのは同情や感動を誘うケースもありますが、今回は「詰めの甘さが招いた事態」という見方が多いようです。もらい泣きしやすく、運転免許の更新で見せられるビデオでも泣いてしまう筆者ですが、今回の防衛相の涙は冷静に見てしまいました。皆さんはどう感じたでしょうか。泣いてしまう時点で、政治家としては失格と思う人もいたと思います。しかし過去には涙ぐんだことによって国民の支持を得た女性政治家もいます。

 

 

■女性政治家の涙はアリ? ナシ?

 

あのヒラリー・クリントン氏もそのひとり。彼女は2008年米大統領選の民主党候補を決める予備選で、オバマ氏にリードを許し苦戦していました。ニューハンプシャー州予備選の前の小集会でのこと。ヒラリー氏は、ある質問に「簡単なことではない」と答え涙ぐみました。その涙は“アイシークイーン”と呼ばれていた彼女の冷徹なイメージを変え、予備選での見事な逆転に繋がったと言われています。実際、涙ぐんだ後の出口調査とその直前の世論調査では、多数の票が流れていました。

 

これに味をしめたわけではないと思いますが、その後のスーパーチューズデー前日に、ヒラリー氏は母校のエール大学でまた涙を浮かべています。しかしこのときは「またか」という見方が多く、支持を得ることはできませんでした。

 

政治だから涙はナシという問題ではなく、心に響く涙、嫌われてしまう涙とがあるようです。その違いはどこにあるのでしょうか。

 

 

■心を動かされる涙には「共感」と「タメ」がある

 

心を動かされるケースを集め整理して見つけたのは「共感」というキーワード。しかし泣いている人の言動に共感できる場合でも、泣くタイミングは重要です。

 

わかりやすいサンプルとして最高視聴率62%、社会現象にもなったNHKドラマの「おしん」を思い出してみましょう。貧しい家に生まれた主人公のおしん。彼女は7歳で米と引き換えに奉公に出されます。最初のもらい泣きポイントは、彼女が奉公先に連れて行かれる日に、何度も母の名を呼び、涙するシーン。奉公に出される朝もおしんは歯を食いしばり健気に振る舞います。しかし舟に乗せられ、いよいよ母と離れるシーンになると堪えていた涙が溢れ、思わず母を呼ばずにはいられなくなるのです。

 

子供が親と別れる辛さというのは、共感しやすいトピックですが、あれだけもらい泣きした人が多いのは、我慢したおしんの「タメ」があってこそ。奉公先で辛いイジメに遭っても、彼女はスグには泣きません。もしも彼女が「奉公なんてイヤだ」と駄々をこねて泣いたり、いじめられるたびに泣いたりしていたら52.6%というオバケのような平均視聴率を叩きだすことはなかったでしょう。

 

逆の例として記者会見で号泣した、あの号泣議員氏のケースを思い出してみましょう。形勢が悪くなると突然泣き出す。質問へ回答も充分にしないで号泣。まるで駄々っ子のような姿を見せられて呆れた人は多いのでは?共感もなく、タメもない涙に私たちは同情しにくいのです。

 

次に、職場で突然泣いてしまう女性について考えてみましょう。

 

 

■男性が「職場で泣く女」を理解できない理由

 

「上司に叱られて泣く」「反論ができなくなって泣く」など、職場で突然泣きだしてしまう女性。多くの男性はそんな女性を冷ややかに見ているようです。

 

その理由として筆者は、男性特有の「恥」の感情に注目しています。男性の場合「人前で泣くべきではない」という心理が強くあります。涙を流すといった感情表出には、気持ちをスッキリさせる効果がありますが、これは特に女性に有効。男性の場合、感情表出に恥の感情が伴うため、泣くことが逆にストレスになることも報告されています。

 

男性にとって泣くというのは、よほどのケースでないと許しがたいもの。女性の涙を見せられ、あたふたしてしまったり、「守ってやりたい」と感じたり。そんな優しさのある男性でも、職場で泣く女性には共感しにくいようです。30代~40代の男性に行ったグループインタビューでは「それ以上指導できなくなる」「成長の機会を逃す行為」「自分が悪いことをしたような気分になる」といった意見がありました。

 

男性は女性に比べ、相手の感情を想像し思いやる共感性が低い傾向もあります(ヒラリー氏の一回目の涙で流れた同情票も、女性票のほうが多かったそうです)。まだまだ仕事の現場は男社会。職場での女性の涙は理解されないと思ってよさそうです。

 

 

■女性の皆さん! 涙はとっておこう

 

かくいう筆者も、涙をこらえられず職場で涙を流した経験があります。結果として評価は落ち、指導しているつもりの人からの一切のアドバイス、情報提供がなくなりました。配慮のない上司のアドバイスにも有益な部分はありましたし、情報共有がない中で成果を出すのは想像以上に大変なこと。そこから評価を巻き返すのにかかった時間を考えると、涙の代償は大きかったなと思います。

 

オンナの涙は武器だと言われます。恋人の美しい涙で、心動かされたことがある男性もいると思います。でも職場の涙は危険がいっぱい。武器に使いたいときでも、グッと堪えるくらいに留めておくのが良さそうです。感情コントロールは簡単なことではありませんが、女性の皆さん、美しい涙を流すためにも涙はとっておきましょう!

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藤田尚弓

藤田尚弓

All About 話し方・伝え方ガイド。企業と顧客のコミュニケーション媒体を制作する株式会社アップウェブを経営。言語・視覚の両面から「伝わる」ホームページやパンフレットなどの制作を通し、日々コミュニケーション...

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