続出するキレる老人やオッサン…脳疾患以外に男性の更年期障害の疑いもあるんじゃないかと

人間関係

桑満おさむ

 

 

■レジや受付で怒鳴りまくる高齢者続出

 

高齢者は世界的には60歳以上、WHOや日本では65歳以上と定義されています。スーパーのレジの行列、駅の切符売り場、病院の受付等で突然怒鳴り声を聞くこと、多くありませんか? 当院でも診療内容や診療費についてネチネチ受付で頑張るのはほとんどがオッサン、それも高齢者に定義される方がほとんどです。

 

一般的にキレる高齢者は「脳関連の問題」「元々のキャラクター」と解釈されていますけど、男性の更年期障害って考え方もできます。突然、ご主人やおじいちゃんが「キレるオッサン化」した方は「男性更年期障害」(「Late onset hypogonadism symdrome」、略してLOH症候群)の可能性も検討してください。

 

 

■キレる高齢者への一般的な解釈

 

脳の構造の問題として、全体的な脳の制御機能がコントロールできなくなったために、大脳辺縁系の働きがメインになっちゃうのです。大脳辺縁系(Limbic System リンビックシステム)は人間の原始的な感情・行動を管理指示している部分です。学生時代に「ミスターリンビック」と呼ばれていた友人がいました。自分の湧き出す感情をそのまんま直接的に行動しちゃう、予想不可能な動きをする奴でした(女性方面だけにこの発作が出ていましたw)。

 

この原始的な脳の作用をコントロール制御しているのが、前頭葉で思考を司る働きをしています。この前頭葉は高齢化するにしたがって、萎縮します。通常の萎縮に加えてリスク因子があります。

 

・喫煙、肥満……動脈硬化によって脳の血管が詰まり、萎縮する

 

・外傷……格闘技や外傷によって脳自体がダメージを受ける

 

・うつ病……アルツハイマーとの関連が指摘されている

 

他にもありますが、前頭葉の働き<<大脳辺縁系の働き、となるので、感じたことを直に行動に移してしまうのです。なぜか自分より弱い人を見分けるかのように女性に対して、猛烈に苦情を大声で叫んでいる高齢者は動物的な辺縁系の機能が働き、負け戦に参加しないのです。

 

 

■男性更年期障害として、キレる高齢者を考えてみると

 

LOH、男性の更年期障害は女性の閉経のように明確に年齢的である程度判断できるものではありません。それこそ、35歳から80歳以上までに起こりうる疾患です。問診票として多くの項目がありますがいくつかの例を挙げます(詳細は帝京大学泌尿器科のサイトをご覧ください)。

 

・仕事の能力が低下したと感じる……これはイライラの原因になります

 

・物悲しかったり、怒りっぽいですか……大脳辺縁系が制御されていないのです

 

・体調がすぐれず、気難しくなりがち……怒りやすい、頑固の症状ですね

 

・性欲が減退したと感じる……キレる高齢者の性犯罪はあまり聞きませんよね

 

・勃起力が減退したと感じる……これがLOHの診断の核となっています

 

こんな症状が重なったら、そりゃキレるオッサン、キレる高齢者、キレる老人になるのは当然です。思い当たる方は「男性更年期障害(LOH症候群)とは」をどうぞ……。

 

 

■社会的な地位が高かった人ほどキレやすい高齢者になるとの説

 

これは前頭葉の機能が低下することにより、新しい環境を受け入れることができなくなったからと考えます。「保続」と言う状態があります。保続には運動性と意図性の二つの種類がありますが、運動性保続の場合は一度自分が起こした行為を繰り返す特徴がありますので、会社で威張っていた状態を繰り返す、レジ等でのクレームを繰り返すことも、これが原因かもしれません(詳しくは脳方面の医学関係者のサイト等を参考にしてください)。

 

高学歴ほど認知症になりやすいとの説もありますが、それに反して「社会脳(social brain)」という考え方が1990年以降出てきています。社会的な環境の変化に対応するために進化してきたと考えられる社会脳は、高学歴の方がすぐれていると考えられています。高学歴の方が認知症になった場合はアルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型のようなものを考えたほうがいいでしょうね。

 

 

■とにかくイライラしているオッサン多すぎ

 

スーパーのレジより、デパートのレジや売り場の方がキレているオッサンを見かけます。あと、航空会社のカウンターで怒りまくっている人はほとんど高齢者じゃないでしょうか? 相手が絶対に反撃をしてこないと判断しているのは、原始的な脳である大脳辺縁系がしっかりと働きつつ、前頭葉が萎縮していることで説明できます。

 

じゃあ、大脳方面とLOHとの見分け方はどうするか? まずは頭部のMRIやMRAで異常がなく、朝立ちの回数が減った・性欲が減少した場合はLOHが強く疑われます。ようは男性ホルモンであるテストステロンの減少が疾患の原因なのです。テストステロンって聞くと「戦闘・攻撃・凶暴」のホルモンとお考えの方もいますが、そんなことありません。

 

フィリップ・マーロウが小説のセリフで「If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.」と言っているじゃないですか。強くて優しいのが本当の男です!!

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桑満おさむ

「地元密着型」というコンセプトで1997年目黒区で開業。 専門は泌尿器科ですが、専門以外の病気であっても「五本木クリニックに相談しよう!」と思っていただけるクリニックを日々作りあげています。 美容皮膚科・美...

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