災害時に、平常時の月経について考えてみてください

ヘルス・ビューティー

宋美玄

 

熊本の大震災で亡くなられた方に心より哀悼の意を示し、被災された方に深くお見舞い申し上げます。

 

21年前、阪神大震災の時に震度6強の地区で被災しましたが、そのころよりも諸対応がスムーズになっていると感じます(マスコミは相変わらずヘリを飛ばしているようですが……。余震に怯える中、あの音は邪魔でしかなかったので残念です)。

 

今回、Twitterで被災時の月経について話題になっているのを見ました。生理用ナプキンが足りないことに対し「生理、我慢できないの?」という男性がいたというような話とか……。

 

平常時でも月経はとても不自由で不快なものですよね。生理用品が足りなくなるかもしれない不安はおそらくほとんどの女性が体験したことがあると思います。被災された方に必要な生理用品が届きますように。

 

日本に住んでいる限り、いつ自分がいる場所が何らかの自然災害に見舞われるか分かりません。今回被災されていない方には月経との付き合い方について改めて考える機会を持っていただければと思います。

 

日本女性は月経の時に市販の生理用ナプキンを使っている人がほとんどだと思います。タンポンを使っている人も多数派ではないけれどもそれなりにいますが、基本的に紙ナプキンとタンポンがなければとても困ると思います。不要な布などをあてて吸わせることもできますが、布の再利用は出来ませんし。

 

一口に被災と言ってもどのような状況でどのような避難生活を送るか分かりませんが、使えるアイテムや選択肢は多い方がいいので、一度試していただきたい、知っておいて欲しいものを3つお知らせします。

 

 

●1.ミレーナ

 

子宮の中に入れる器具で、黄体ホルモンが少しずつ染み出てきて効果が5年間持続します。避妊効果があるだけでなく子宮内膜(剥がれ落ちて月経が起こる)が薄くなるので、過多月経や月経困難症に対しても健康保険が適用されています。初めは不正出血が起こることも多いですが(私も2ヶ月間ごく少量の出血がありました)、月経が非常に軽くなる、もしくはなくなることも多いです。月経がないというのは災害時に非常に助かりますし、日常でも快適です。

 

 

●2.低用量ピル、ミニピルなどのホルモン療法

 

月経の量が少なくなったり、月経を数日先延ばしにすることができたりします。避難する時に持って行く必要があるので、がれきの中から救出されたというような状況では難しいですが、お財布や携帯電話を持って避難出来るような状況の場合は携帯できると助けになります。

 

 

●3.月経カップ

 

妊活中の方はミレーナもホルモン療法も使えないので、シリコン製の月経カップを使ってみてください(日本でも最近認可されたそうです)。少量の水でも洗えますし、なければウェットティッシュでふくだけでも構いません(滅菌したり消毒したりする必要はありません)。「月経血カップを使ってみた」を参考になさってください。

 

産婦人科女医たちと話していたのですが、Twitterではよく「月経辛い自慢」のようなツイートがすごくたくさんRTされてきたりするので、月経には振り回されるもの、と認識されている方がとても多いのだと思います。ピルの普及率は諸外国に比べて低いですし、外陰部や膣など自分の体の一部に対するタブー感も強いようで、タンポンやカップには抵抗がある人も多いと思います。

 

ですが、これらを選択肢として持っておくことは限られた状況でサバイブしなければいけない時には不利にはならないと思います。

 

最後に、こういった情報を踏まえて「月経を体に任せて一般的な生理用品を使っている人が災害時に困るのは自己責任」だとすることは論理が飛躍しすぎています。他人に厳しく自己責任論が大好きな人がこのような飛躍した理屈を述べているそうですが、明らかにおかしいです。

 

子宮頸癌は検診でかなり早期発見出来て助かることが可能ということを啓発すると、子宮頸癌で亡くなる方を「検診を受けなかったから自己責任」という人が出てくるのがおかしいのと同じです。

 

少しでも多くの人に月経に振り回されない、月経の不快さを軽減する方法を知っていただきたいと願う限りです。

 

繰り返しになりますが、現在被災されている方には必要な衛生用品が行き届きますように。

 

参考にしていただけると幸いです。

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宋美玄

アラフォー産婦人科女医。「カネとヒマがあれば誰でも出来るようなことで満足するな」をモットーにオンもオフもパワー全開。一児の母。

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