スマホで精子チェックができる時代に。男性側不妊に役立つか?

ヘルス・ビューティー

清水なほみ

 

株式会社リクルートライフスタイルが、スマートフォンで自分の精子の濃度と運動率が簡単に測れるサービス『Seem(シーム)』を提供すると発表しています。スマートフォン顕微鏡レンズが入った「Seemキット」を、2016年4月末より東京都内・近郊の一部クリニック、薬局にて期間限定でテスト販売するそうです。

 

「Seemキット」に含まれるのは、スマートフォン顕微鏡レンズ・精液採取用カップ・採取棒の3点。射精1回分の精液を専用の採取用カップに入れて浄化したうえで、採取棒を使ってスマートフォンの顕微鏡レンズ上に1滴検体を乗せるだけのようです。あとはレンズをiPhoneにセットし、専用アプリ『Seem』で動画を撮影すると、動画がプログラムで自動解析されて、精子の濃度と運動率が表示される仕組みです。

 

病院で精液検査をするときも、基本的な流れは同じです。採取された精液を洗浄して、顕微鏡下で観察します。病院では、人がアナログで精子の数を数えたり運動率を見たりしていますが、それをスマートフォンで自動解析するようですね。自動精度の制度がどのくらいなのかがわからないので、検査結果の精度については検証が必要ですが、病院で検査を受けるのと変わらない精度なのであれば、男性不妊のスクリーニング方法としてはかなり画期的なものになると思われます。

 

不妊症の原因の半分は男性側にありますが、検査を受けることへのハードルが高く、男性側の検査をなかなか受けてもらえないという現実があります。また、受診の時間が取れないなどの理由で、自宅採取した精液を病院にもっていって検査を行うケースも少なくありませんが、採取から時間がたって検査を行うと検査結果が実際よりも悪く出てしまうこともあります。

 

もし、この「Seem」のシステムが、精度も問題なく利用できるのであれば、自宅で採取してすぐの検体で検査できますし、何回か検査をしてデータを比較することも簡単にできます。何より、誰にも知られずに手軽に検査ができるというのは、「内心気になってはいるけど受診は無理」と思っている男性の背中を押してくれることになるでしょう。

 

検査の精度に問題が出るとしたら、「実際よりデータがよく出てしまう」か「実際よりデータが悪く出てしまう」かのどちらかです。前者の場合は、本来なら受診が必要な人が「異常なし」の結果を見て安心してしまうリスクがあります。ただ、このようなシステムでは通常「正常」の基準を厳しくすることの方が多いので、問題があるのに問題ないと出てしまう可能性は低いのではないかと思われます。後者の場合は、ひとまず受診するきっかけにはなりますから、余計な心配を抱える期間ができてしまいますが、病院で再検査を受けて異常ないことが確認できます。ただ、あまりにも多くの「本当は受診が必要ない人」が病院で検査を受けることになると、病院側の受け入れとしての問題が発生する可能性があります。

 

おそらくは、テスト販売期間中の精度データなどが今後発表されることと思いますので、精度に問題なければ積極的に活用していきたいシステムですね。

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清水なほみ

女性医療ネットワーク発起人・NPO法人ティーンズサポート理事長。日本産婦人科学会専門医で、現在はポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。女性医療の先駆者の下、最先端の性差医療を学び、「全ての女性...

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