「好き」の奥に潜んだ、「自分が好き」の罠

人間関係

 

好きなことなら、長続きする。

 

ところで、それが本当に好きなのでしょうか? もしかして、それをしている、あるいは、持っている自分が好き、という可能性はありませんか? やめなさい、と言われてもやってしまうことは、本当に好きだといいます。そして、好きなことなら、長続きするので、好きなことを本当に大切にしましょう、ともいいます。

 

私は、この考えに大賛成です。が、好きなことのはずなのに、続かなかったり、イライラしたり、どうもうまくいかない。そんなこともあります。本当に好きなことなら、放っておいても、やっているものです。叱られても、ですね。本が好きな子は、少しでも空いた時間を見つけて、本を開いています。動くのが好きな子は、隙あらば遊びに行こうと、ウズウズしています。

 

さて、男の子に多いようですが、何かを集めることが好きな子がいます。石ころだったり、プラスチックのかけらだったり、大人の感覚では、「え? ゴミでしょ……」と言いたくなる、そんなものです。

 

しかも、「どうせ、今こだわっているけど、三日もすれば、集めなくなるのに、捨てたら怒るんだから……」という話がセットであることも多いですね。こういう時は、ガラクタ(!?)そのものよりも、集めている自分が好き、ということかもしれません。人にはわからないかもしれないけれど、道端で、「偶然」見つけた、「レアな」ものを、「コレクション」している自分。そんな自分が好きなのかもしれません。

 

話は飛躍しますが、例えばベンツ……。ベンツという車、そのものが好きなのか、それとも、ベンツに乗っている、所有している自分が好きなのか。そんなこととも、根っこは似ているかもしれません。まぁ、石ころやガラクタならいいと思います。あるいは、自分で管理できる範囲ならベンツにこだわってもいいと私は思います。

 

が、大人がお子さんに与える環境を考えるとき、今日のテーマを意識してみることは、大切ではないかと思います。受験を勝ち抜いて、わが子らしさが生きる環境、あるいは、ご両親が惚れ込んでしまう教育理念や方針、内容を求めているのか……。それとも、いわゆる「いい学校」に子どもを合格させた自分が好きなのか。この違いは、決定的なものです。

 

私が言いたいことは、その違いに気づいておくことが大事だ、ということです。どちらがいいとも、悪いとも言っていません。どちらかのフリをすることで、子どもは心を疲れさせる、ということを言いたいのです。

 

「あなたのためなのよ」と、本当かどうかわからないことを言われるより、「私が気に入っているんだから、今はこれにしなさい」と、ハッキリ言われた方が、「ひどいよ~お母さんの都合じゃないか~」と文句を言えるだけ、明るく過ごせます。

 

クラスでは、習い事や塾など、放課後の時間の使い方について、相談を受けることもしばしばです。そんな時、ゆっくり話を伺うと、「この習い事、完全に私の趣味なんですよね……」と苦笑いされるお母さんもいらっしゃいます。私は、それを自覚して、しかも他人に言える、というオープンなところがステキだと思うんです。

 

お子さんが小さいうちは、お母さんの趣味でいいんだと思います。好きなのは、そのものなのか、それとも、それをしている自分なのか、が重要なポイントだと、私は思います。

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私立小学校校長

青木洋介

1976年生まれ、都内私立小学校校長。 2013年「むさしの学園小学校の母親を変える教室」出版。 低学年から高学年までの担任を経験する中で、子どもが安心して活躍するためには、まず、母親がイキイキしていることが大...

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