マッチングアプリ全盛の今、「電話によるアナログサービス」に若者が食いつく理由

人間関係

 

つい先日の1月18日。「恋愛・結婚をはじめ男女関係のあらゆるお悩みを電話とメッセージで24時間365日、完全匿名でご相談可能」な『Lovers相談室』で、アドバイザーとしてひっそりデビューしたワタクシ山田ゴメスであるが、いわば「電話による会話」を売りとするアナログなサービスに「はたしてホントに需要はあるのか?」と正直、最初は不安を抱いていた。でも! 予想以上にコアな“愛好家”ってのが、いる所には実在するものなんですね……。それも中高年だけじゃなく20代の若い世代にも!? やはり、メールやLINEなどでコミュニケーションの大半が成立してしまう昨今の世の中、逆に「ちゃんと声と声で交わすナマのやりとり」ってやつが新鮮なのかもしれない。

 

で、そのいっぽうで、ネット社会の最先端を行く“出会い”のツールであるマッチングアプリが、アメリカをはじめとする西欧諸国だけじゃなく、ここ日本でも凄まじい勢いで定着、一般化しつつある。

 

先日、こんなことがあった。電車に乗っていたら、となりの小太りで毛髪も薄めのボサボサで……年齢は50代に届くか届かないかくらいのおっさんが、マッチングアプリらしきものをやっていた。不謹慎ながら、ちょっと盗み見してしまったんだけれど(※相手は30代のY美さんだったw)、とにかく真剣に真剣にスクロール&返信をしているのである。ある意味、アラフィフでここまでスマホを使いこなすのは、かなりの柔らか頭だとも捉えられなくはない。しかも、そのヒト……女性を探すための検索ワードが「高田純次」だった。

 

相当にマッチングアプリを研究し尽くしているな、と感心した。枯れセン狙いというニッチ中のニッチを穿り出そうとする、じつに堅実(?)な作戦で……。これまでさまざまな試行錯誤を繰り返し、「三の線の中高年男性で若い女性にも“オス”としてモテている数少ない有名人が高田純次」なる結論に到ったのだろう。岩城滉一だとか舘ひろしだとか柴田恭兵だとかだと、あまりにリアリティ無さすぎだし……。

 

「だからどうした」と問われれば、つまりがこういうことである。マッチングアプリを(現時点での)進化の頂点とする電話やネットを媒介とする出会いのシステムは、たしかに数年前だと「利用しているのが他人にバレたら恥ずかしい」なんて感覚を誰しもが持っていた。しかし、今やあんなおっさんですら、電車のなかでとなりからチラ見されようがおかまいなしで堂々とやっちゃっているのだ、と。ましてや、若い子たちはやっていることを公言してますから! あと5年も経てば、下手すりゃ結婚式で司会者から「お二人の出会いのきっかけはペアーズでした、ティンダーでした」なんて紹介をされても、全然当たり前になっているのかもしれない。

 

脳神経外科医の菅原道仁先生も、我らの共著『「モテ」と「非モテ」の脳科学〜おじさんの恋心はなぜ報われないのか〜』で、マッチングアプリについて、次のような分析をなされている。

 

どんな相手が来るのか、まったく予想できない「合コン」と比べ、はるかに合理的なツールである「マッチングアプリ」に、欧米の人たちが飛びつくのもわかる気がします。いわば、マッチングアプリは、男女交際における一番面倒臭い「出会い」の部分が簡略化、カジュアル化されているわけです。たった10年ほど前までは、職場やサークルなどを通じて仲良くなるケースを省くと、男女の出会いは「ナンパ」のみでしたから。

 

たしかに、マッチングアプリだと、いくらメイン写真がキメショットだとしても、少々手間をかけて、相手のプライベート写真をフェイスブックやインスタグラムで調べれば、素のショットがどんどん出てくる。実際に対面したとき、ボール一つ分程度は外れていることはあっても、デッドボールまで食らうことは滅多にないわけで、冷静に比較してみれば、合コンよりもはるかにリスクは少ないと言える。書籍中にある菅原先生のお言葉を、もう少々続けて抜粋しよう。

 

シェイクスピアの「まことの恋をする者は、みな一瞬で恋をする」といった名言にもあるとおり、原則として人間の「好き嫌い」は第一印象で決まってしまうものなんです。そして、その定理に極めて忠実なかたちで、最短距離を突き進めるのがマッチングアプリだと僕は思います。

 

「恋愛感情」というのは、脳がドーパミンを放出する報酬系のシステムに乗っ取っているので、麻薬的な作用が生じやすい状態を引き起こします。大脳辺縁系の「感情」を司っている扁桃体が活発に働くため、「理屈」は後付け──前頭葉による「納得」の役割しか果たしません。

 

したがって、マッチングアプリは脳科学的にも正しい根拠があるツールで、より「一目惚れ」に特化したシステム。誤解を恐れず言ってしまえば「恋愛の脳科学的機能を合理的にアプリ化したシステム」なんです。

 

そもそも人を好きになるときって、だいたいは後付けじゃないですか。まず原始的な脳で好きになってから後からその理由を穿り出す……。それを否定するタイプの人がパラメーター、いわゆる昔で言うところの「3高」とかに頼ってしまう。実際、そういうところから入っていった恋愛より一目惚れから始まった恋愛のほうが長続きしますしね。

 

「恋愛のきっかけ」を最先端のツールが生み出し、「恋愛の悩み」を原初的なツールで解決する──よくよく考えてみると……けっこう歪で、パラドックスな世界ではないか?

 

 

【関連書籍】 『「モテ」と「非モテ」の脳科学〜おじさんの恋心はなぜ報われないのか〜』(ワニブックスPLUS新書)

 

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ネットニュースパトローラー

山田ゴメス

1962年大阪府生まれ B型。 ネットニュースパトローラー(※citrus限定肩書き。たまにスポーツ新聞や週刊誌も。略して「NNP」)。 関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッショ...

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